ビットコインマイニング現状報告:マイニングの74%は「再生可能エネルギー」か


環境に悪影響を及ぼしかねない程の電気を消費している、とよく批判されているビットコインマイニングだが、CoinSharesの調査によるとエネルギー消費量の74.1%は「再生可能エネルギー」であることが明らかになった


 
 
 
 
ットコインマイニングは、一般的に考えられているよりも実は環境にやさしいのかもしれない。

暴落に続く暴落が見られ、市場が完全に冷え切っていた昨年末、収益性がマイナスになったことから「死のスパイラル」が発生するという声すら挙げられていた、ビットコインマイニング。
 

☞米経済教授、ビットコインは「死のスパイラルに突入」

☞収益性がついにマイナス!?BTCハッシュレートが大幅減少

 

それでもBTC価格はゼロへ向かうどころか、米経済学者の期待とは裏腹にムーンショットを見せた。

そんなビットコインの重要な金融方針の一つであるブロック報酬の半減まで既に1年を切っているが、マイニングの現状はどうなっているのだろうか。

ロンドンを拠点とするクリプトリサーチ企業CoinSharesの調査報告によると、ビットコインマイニングの収益性は非常に高まっており、またマイニング電力消費量の内「74%」は再生可能エネルギーだという。
 
 
1ビットコインを生成するには5,600ドル
 
今回のCoinSharesのレポートでは、ビットコインマイニングの限界費用、電気消費量、またマイニングプールの世界分布など市場データが少ないマイニング市場に関する様々なインサイトが共有された。

まず、1BTCを生成するためのコスト(=限界費用)において、仮に1kWhあたりの電力量単価が0.05ドルの場合、設備投資から18か月時点の限界費用が、2018年11月では8,500ドルだったのに対し、2019年5月では5,600ドル。

(言い換えると、ビットコインマイニングの「ROIの損益分岐点」が5,600ドルということ。)

また、より性能の高いマイニング機器を保有していたり、電力量単価がより安価な地域で事業を展開するマイナーは、1BTCを3,000ドル以下で獲得できるようだ。

ビットコインの現在の市場価格がおよそ8,000ドルであることを踏まえると、ビットコインマイニングの収益性は昨年末よりも遙かに高まっていると言えるだろう。
 

出典:THE BITCOIN MINING NETWORK

 
また、一般的なマイナーがマイニング機器のシャットダウンを始めると言われれているBTC価格を示すことが多い「キャッシュフローの損益分岐点」は、2018年11月では平均3,000ドルだったのに対し、2019年5月では3,300ドル。

CoinSharesによると、このような変化が見られた理由にはハッシュレート全体が「〜25%増加」したことや、マイニング機器の性能が「〜10%上昇」したことが挙げられるという。
 
 
マイニング消費電力は「ペルー以上香港以下」!?
 
グローバル規模で展開されるビットコインマイニングは、毎秒4.7GWの電力を消費しているようだ。

この数字には、Proof-of-Workで消費されるハッシュ計算の4.3GWに加え、マイニング機器を冷やすなどの間接的な電力消費量も含まれるという。

また、年間ベースの電力消費は最大41TWh。

これは米CIAが提供する「Wolrd Fact Book」に記載されている電気消費量が多い国ランキングで第56位にランクインしているペルーに匹敵する。
 

出典:COUNTRY COMPARISON :: ELECTRICITY – CONSUMPTION

 
 
ビットコインの60%は中国でマイニングされている!?
 
分散化」を掲げるビットコインにおいて、マイニング分布のかねてより物議を醸しているトピックだ。

マイニングプールが中国に集中していることが業界初期から懸念されているビットコインだが、CoinSharesの報告によると現状は依然として改善されていないという。
 

出典:THE BITCOIN MINING NETWORK

 
それというのも、現在のところビットコインマイニングの60%は中国で行われており、しかもハッシュレート世界全体の50%は四川省に集中している。

四川省がマイニングのメッカになっている背景には、中国南西部で4-5月に発生する洪水が電力発電のエネルギー力の上昇を促し、電気料金を大きく引き下げるということがあるようだ。
 

☞中国マイナー、「BTC報酬半減」に向けてもうすぐASICを再稼働させる!?

☞夏がチャンス!?中国マイナーは「中古マイニング機器」を買い増しか

 

また、残りのハッシュレートの内訳としては、米ワシントン州やニューヨーク州を始めとする北米地域やアイスランドやスウェーデンのような北欧地域が中心だという。

このようなマイニングプールの分布を踏まえた上で、CoinSharesは再生可能エネルギーの供給が十分にある地域にマイニングが集中していることを指摘。

控えめな計算で74.1%の電力供給がクリーンエネルギーであると見積もり、BTCマイニングが「世界中の他のあらゆる大規模な産業と比べるとより再生可能エネルギー主導となっている」と結論付けた。

かねてよりマイニングの電気供給源の重要性が専門家から指摘されていた中、大半の電気消費量が再生可能エネルギーで賄われていることが確認されたビットコインは、これまで一般的に信じられていた程環境へ悪影響を及ぼしている訳ではないのかもしれない。

それでも、ビットコインマイニングだけでなく、ビットメイン社を始めとするマイニング機器製造企業も集中している中国が持つビットコインエコシステムへ潜在的な影響力にはこれからも注目だ。
 
 


PickUpストーリー
 
 
☞Bitcoin.com代表取締役が語る「鉛筆から学んだ衝撃的な発見について」

☞OWL Hong Kong独占インタビュー~海外移住という節税方法とは?~

☞過去9年間で200,000,000%上昇、BTCは史上最速で成長している新資産クラスか

☞10,000BTCでピザを買う男にはなりたくない!ビットコインは若い世代の資産か

Blockstream創設者が語る「デジタルゴールドが生まれたきっかけについて」


当記事に記載されている情報は、投資判断における十分な情報を提供することを意図しておらず、また提供するものでもありません。仮想通貨分野における投資には、様々なリスクが伴います。当サイトは、本稿の内容を活用または信用したことにより生じた損害や損失に対しても、一切責任を負いません。同様に、本ページの内容を活用または信用したことよって間接的に生じた、あるいは生じたと申立てされる損害や損失に対しても、責任を負わないものとします。