自称サトシ・ナカモト、ライト氏「ビットコインは仮想通貨ではない」

自称サトシ・ナカモト、ライト氏「ビットコインは仮想通貨ではない」
ビットコインに対して様々な意見があるものの、「Bitcoin SV」を推奨しているクレイグ・ライト氏ほど物議を醸すような発言をする業界人はあまりいないだろう。

例えば、俗に言われる「ハッシュ戦争」の前に、ライト氏はBitcoin ABCの後押しをするロジャー・バー氏へ送信したメール上で「くたばれ」と罵っている。

☞ロジャー・バー氏、自称サトシ・ナカモトに「騙されたかもしれない」

また、当業界では「詐欺師」と呼ばれることが多い同氏は、自称サトシ・ナカモトを語るものの、確固たる証拠を示すことが出来ていない。

☞Bitcoin ABC開発者セシェー氏、「私はサトシ・ナカモトじゃない」

そんな当業界の問題児とも言えるnChain開発チームを率いる同氏だが、ビットコインについてどのような意見を持っているのだろうか。

CoinGeekの取材に対して、ライト氏がビットコインに対する独自の見解や量子コンピュータがBTCの脅威とならないことについて言及した。

ビットコインは「暗号」&「通貨」ではない

ライト氏によると、ビットコインが暗号法を使用していると見なされない理由は、(匿名通貨モネロとは対照的に)誰もが取引を確認できる公開台帳を使用しているビットコインが暗号法に基づき取引を隠していないからだという。

また、ビットコインが「通貨」ではない理由について、そもそも法律家が定義する通貨が国家主体であるため、通貨は「法定通貨」のことを指すと主張。

「お金は通貨を意味するわけではないが、通貨はお金を意味する」と付け加えた。

さらに、同氏がチーフサイエンティストを務める開発チームnChainが、「なぜ膨大な数のブロックチェーン関連の特許を申請しているのか」というインタビューアーの質問に対して、以下のように述べた。

「物事をどのように進化するかを規定できる…現実では人々に文学や芸術を含める全てを創造して欲しい場合、実際に彼らに報酬を与え、作品を作らせる動機を与えなければならない。」

これに関して、特許を取得することで他のプロジェクトにBitcoin SVのブロックチェーン技術を使用させられるようになる、というインタビューアーの解釈に頷いた。

また、当業界でよく議論される「分散化」の概念についても、同氏は独自の解釈を持っているようだ。

従来の金融を民主化することを掲げるような分散化の概念は「戯論」だと切り捨て、以下のような持論を展開した。

「金融を民衆化するのが目的ではない。ビットコインやイーサリアムでもそんなことは出来ない。分散化には誰も変更できない信頼できるプロトコールが必要。人々が言っているような分散化を実現させるには、開発者に(プロトコールへの)変更を加えさせないようにしなければならない…彼らの権力を奪い、プロトコールの上にしか開発を許さないようにする必要がある。開発者がビットコインの癌であり、社会の癌だ。」

量子コンピュータは「ビットコインの脅威にならない」

IBMが仮想通貨に対する量子コンピューターの脅威をアピールする中、そのような主張は「誇張だ」とライト氏は指摘する。

☞IBM幹部が警笛を鳴らす、量子コンピュータはビットコインの「脅威」

それというのも、同氏によると80年代から開発が進められている量子コンピュータは誕生するかどうかですら不明であり、また実際にそれが登場してもビットコインへの脅威にはならないという。

「まず、量子コンピュータには様々なアルゴリズムが模索されているが、それらは存在しない。ビットコインのハッシュがすぐに崩されることはない…政府からお金を絞っているプロジェクトを遂行しているIBMは、実際に彼らが約束しているようなものを作れないだろう。現実的には、もし量子コンピュータが存在するようになれば、専門的なものにおける制限された計算に使用されるだろう。(量子コンピュータがビットコインの脅威になるというのは)経済学、物理学、計算の理論を理解していない人たちによるおとぎ話みたいなものだ。」

さらに、電力消費量の問題が挙げられるビットコインのマイニングに関して、「システムを攻撃したい人は作り話をする」と述べ、グーグル検索やVisaのクレジットカード決済における効率性の悪い電気使用について言及した。

量子コンピュータがビットコインの脅威にならないと主張する専門家は、ライト氏だけではない。

ビットコインホワイトペーパーにも参照されている技術を生み出し、業界初期からBTCの開発を手掛けるBlockstream創設者のアダム・バック氏も今後数十年間は脅威と見なせるような量子コンピュータが出現する可能性は低く、また「ビットコインは静かにゆっくりと量子コンピューティングに備えることができる」とコメントした。

ブロックチェーンアプリの特許を大量に取得することでBitcoin SVエコシステムの成長を図るnChain開発チームと自称サトシ・ナカモトのこれからに注目が集まる。

原典:Craig Wright: Bitcoin is not a cryptocurrency

ここまでの内容と考察

自称サトシ・ナカモトを語る人物としてかねてより物議を醸しているクレイグ・ライト氏がビットコインに関する独自の見解を述べたという、今回のニュース。

イーサリアム共同創設者を始め様々な仮想通貨業界の著名人から「偽物」や「詐欺師」と呼ばれているライト氏ですが、Bitcoin SVを通じて同氏が目指すビジョンを実現できるでしょうか。

(賛否両論はありながらも)アグレッシブに特許を申請しているnChainですが、同社執行役員であるジミー・ニュエン氏は以下のように述べています。

「企業がnChainのIP(知的財産)の多くを自由に使用できるBSV上に構築することを奨励する」

今後も様々な業界著名人の意見やビジネス方針に注目していきましょう!

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