CFTC委員長、良心的な仮想通貨規制を推奨した「クリプトパパ」のスピーチ

これまで比較的クリプトに友好的な規制方針を掲げていたCFTCだが、やはり米規制当局内でもビットコインに対する抵抗はあったようだ。

任期満了が近いCFTC(米国商品先物取引委員会)の委員長であるJ・クリストファー・ギアンカーロ氏がルーマニアのブカレスト市で開催されたEurofiでスピーチをした。

EurofiにおけるCFTC委員長としての同氏の最後スピーチでは、仮想通貨規制についても言及された。

もうすぐ任期満了、「クリプトパパ」のEurofiスピーチ

「EurofiにおけるCFTC委員長としての最後のスピーチである可能性が高いので、いくつか自由な意見を述べるが許して欲しい。もちろん必須ではない…”物事をよく知りたいなら、よく見るべき。もしそれを好きでいたいなら、遠くから見るべき。”」

このようにルーマニア劇作家ルカ・カリアジアレ氏の名言を引用してEurofi金融フォーラムのスピーチを始めたのは、「Crypto Dad (クリプトパパ)」としても親しまれ、もうすぐ任期を満了するCFTC委員長、ギアンカーロ氏。

J. Christopher Giancarlo describes HODL in the U.S. Senate Committee on Banking

これまでのCFTCの仮想通貨に対する方針は「ビットコインのような暗号資産に関する新しいデリバティブ商品の開発」を育むことであったものの、それに対する周囲からの抵抗があったことが明かした。

「暗号資産の開発とそれの基盤となる技術開発を抑制するために私たちに法的権限を使用させようとするような要求に抵抗してきた。その代わりに、市場の動向を注意深く監視しながら、BTC先物のような新製品の導入を妨げないようにした。これは、市場によってビットコインの適切な価値を判断させるのに非常に重要だ。」

また、米国商品先物取引委員会の公式ページで公開された前述の箇所のスピーチには、サンフランシスコ連邦準備銀行の経済文書を参照されていた。

同文書では、BTC先物取引の開始は楽観主義者とペシミストの間における「投機的需要」のバランスが向上し、特に後者がBTC価格の「下落に賭ける方法 (ショートポジションを持つこと)」を提供したことが説明されている。

CCNの報道によると、ショートポジションを持つことを可能にしたビットコイン先物取引には様々な意見があったものの、この機関向け商品はギアンカーロ氏なしには実現しなかったという。

それというのも、ギアンカーロ氏は以前からイノベーションを促進する仮想通貨規制に注力しており、具体的には「訴訟の提起」とfirst do no harm approach (最初は過度な規制をしない)」を掲げていた。

☞CFTC委員長、「機関投資家が市場を成熟させる」

また、ギアンカーロ氏が任期の終わりを迎えようとしているものの、クリプトコミュニティは米規制当局の支持者を失うわけではなく、例えば「クリプトママ」として親しまれているSEC委員へスター・ピアース氏が米国におけるフレンドリーな仮想通貨規制を推奨している。

クリプトパパは素晴らしいスピーチをした。「市場は必ずしも完璧というわけではないが、人間が経済的生産性と繁栄を促進するための最も効果的な手段であることを証明してきた。」

「仮想通貨」のような最先端技術に理解を示していたクリプトパパのこれまでの活躍にはKudos(あっぱれ)だ。

原典:Remarks of Chairman J. Christopher Giancarlo at the Eurofi Financial Forum, Bucharest, Romania

ここまでの内容と考察

クリプトパパがEurofi金融フォーラムでこれまでのCFTCの仮想通貨に対するアプローチに関してスピーチをしたという、今回のニュース。

BTC先物取引には様々な意見があるものの、仮想通貨という「曲者」のような最新技術のイノベーションを阻止せずに促進しようとしてギアンカーロ氏の仮想通貨業界への貢献したことは間違いないでしょう。

ちなみにですが、前述にあった経済文書には以下のようなことが書かれていました。

「2017年12月以前は、ビットコインの金融派生商品がなかった。これは、BTC価格の下落に賭けることが不可能ではないにしても、極めて困難であることを意味していた…価格の上昇に対する賭けは簡単であり、ただ購入するだけだった。ビットコインの投機的な需要は、価格が上昇することに楽観な投資家からのみだった。また、2017年12月17日まで、これらの投資家は正しかった。”自己完結的な予言”と同様で、楽観主義者の要求はビットコインの価格を押し上げ、より多くの人々が参加するように刺激し、価格を押し上げ続けた。しかし、ビットコインの価格が下落するだろうという考えを持つ悲観主義者たちには、ポジションを持つために利用可能な仕組みがなかった…この一方的な投機的需要は、12月17日にビットコイン先物取引がCMEで開始した時に終了した。」

これからも世界の規制当局の仮想通貨に対する規制方針に注目していきましょう!

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