GLOBIANCE取引所創設者が語る 「近未来を見据えたマルタ仮想通貨規制について」

マルタ島のGLOBIANCE取引所代表取締役であるOliver Marco La Rosa(オリバー・マルコ・ラ・ローザ)氏に仮想通貨ニュース.comが独占インタビュー!

「ブロックチェーン島」という異名を持つ程、仮想通貨規制が世界で最も先進的だと称賛される、マルタ。

ブロックチェーン業界をこれから牽引していくとマルタ首相が国連総会で力説したように、仮想通貨の取り組みは他国よりもスピードが速く、本格的だ。

しかし、そもそもマルタはなんで世界に先駆けて規制を制定するような大きなリスクを取るのだろうか。

マルタを拠点とするGLOBIANCE取引所CEOのローザ氏によると、同国は分散型台帳技術における(映画ロード・オブ・ザ・リングに登場する魔法使い/旅の一行の先導者)ガンダルフのような存在だという。

出典:2003, THE LORD OF THE RINGS: RETURN OF THE KING: Gandalf the White in full battle – Photo by Pierre Vinet/New Line Productions

BTCを初めて聞いた時は仮想通貨市場に飛び込めなかったという、ローザ―氏。

しかし、その時ですら「何か自分を駆り立てるもの」を仮想通貨に感じたという。

そんな同氏が語ってくれた、マルタから仮想通貨エコシステムを促進するこれからの仮想通貨取引所の役目。

また、業界全体として「次のフェーズ」に達するまでの、長いようで短い道のり。

そして、仮想通貨の将来を真剣に見据えたマルタの仮想通貨規制について、ありのままお届けする。


ー仮想通貨業界に入るまでは、どのようなことをなされていたのですか?

現在は仮想通貨取引所の創設者兼CEOですが、これまでは主に「システムアドミニストレーション」や「銀行業務」に関する仕事がメインでした。

20歳くらいの時にオンラインゲーム関係の企業を立ち上げたことから私のキャリアは始まり、それの売却に成功した後、ドイツのフランクフルト市にあるシティバンク銀行で銀行業務のITサポートを8年くらいやっていました。

それからマルタへ行き、そこでまたヨーロッパの顧客を対象にした銀行業務に関する仕事をしましたね。

銀行業務の経験を通して金融機関がどのような仕組みで機能しているかを理解しているということは、仮想通貨取引所を設立する際にとても役に立ったと思います。

しかし、 仮想通貨業界にいきなり飛び込めたわけではなかったです。

そもそも仮想通貨を知るようになったきっかけは、あるITマネジャーが私のところに来て「ビットコインに投資してみない?」と聞いてきたのが始まりでした。

正直な話、最初にそれを聞いたときは心の準備ができてなかったです。(笑)

でも、彼が数字で私を納得させました。

2017年のICO投資とそのリターンはシンプルに魅力的。

また、いわゆる「中央集権型」の銀行で長年働いた後、人々が自由に取引できる「分散型」の仮想通貨について話を聞くのはとても清々しく、また何か私を突き動かすものがありました。

そして、自分で仮想通貨取引所を作ろうと決心し、 マルタで規制されたGLOBIANCE取引所を設立。

オンラインバンキング、仮想通貨取引所、また決済サービスを備えているこの取引所は、マルタFSA(金融サービス機構)から認可されて事業展開する最初の取引所の中の一つです。


ー長年の銀行業務の経験を踏まえた上で、仮想通貨のような新しい技術についてどう思いますか?

まず思うことは、多くの人が仮想通貨エコシステムへ吸い込まれていくような社会的な「変革」は、案外すぐそこまで来ているということ。

日常的な決済に仮想通貨を使うという慣習はまだマルタにありませんが、世界では徐々にそれが始まっています。

また、仮想通貨が金融世界を大きく変化させるため、従来の金融機関がこれまでのような社会における重要度を保てなくなるようになるでしょう。

実は、従来の銀行の問題点は銀行自体にあると言えるかもしれません。

例えば、マルタのいわゆる「ビッグバンク」達は、仮想通貨関連のビジネスをブロックしています。

どういうことかというと、取引所でトレードをするために、ユーザーは銀行から取引プラットフォームへ法定通貨を入金しなければなりませんが、銀行はそれをさせないようにしているケースがあるんです。

これは大きな問題ですよね…いくら銀行が仮想通貨を嫌いだとしても。

「好きなようにお金を使う」という自由をユーザーから奪っており、このような権利が銀行にあるべきでない。

このような現状を踏まえると、仮想通貨には誰もが「自由に」使えるという大きな利点がありますよね。

また、他のアドバンテージとしては「送金時間の短縮」が挙げられます。

例えば、従来の銀行サービスを利用して金曜日午後に送金を行った場合、実際にお金が贈られるのは月曜日午前中。

一方、仮想通貨の中には送金を数秒以内に完了できるものがあり、これは多くの人にとって便利ですよね。

法定通貨のように銀行口座を解説する必要もありませんし。


ーマルタ政府はそもそも何で仮想通貨にここまで積極的なのですか?

仮想通貨が将来の「経済を促進するもの」だとマルタ政府は思っています。

だからそれに必要な投資を行い、マーケティングにお金を使い、マルタ首相は世界を飛び回ってスピーチをし、政府は世界中から人々を呼び込み、マルタ経済を発展させようとしています。

出典:Malta – Prime Minister Addresses General Debate, 73rd Session

そもそもマルタはオンラインゲーム、ギャンブルおよびカジノの規制を世界に先駆けて整備したことがありました。

ドイツやデンマークを含めるヨーロッパ諸国は、これらに関する規制においてマルタが提供しているライセンスを真似しているケースが実は多いんです。

そのため、大規模な国家に真似されるマルタは、他に何か新しいものを見つけなければなりません。

このような背景のもと、マルタ政府はブロックチェーンに関するタスクフォースを4年前に立ち上げ、同技術を調査しその可能性を模索しました。

4人で構成されたこのタスクフォースは、ブロックチェーンがマルタ経済を将来的に促進できるような「触媒となる」と結論付け、それに説得された政府は現在のような規制枠組みを制定。

この規制には、大きく分けて3つの重要な柱があります。

まずは、マルタデジタルイノベーション局を確立するための「MDIA (マルタデジタルイノベーション権限法案)」。

具体的には、DLTプラットフォームやスマートコントラクトを認証したり、それらを広めるための倫理的な教育を促進するだけでなく、消費者やユーザーのデータ保護を支援や企業の透明性と監査も推進します。

2つ目の、「ITAS(革新的な技術の配置およびサービス法案)」は、プロジェクト関係者が革新的技術またはサービスを提供するのに適しているかを定める規制です。

また、3つ目の「仮想金融資産法案」は、トークンがユーティリティかセキュリティのどちらに該当するかなどの判断するための主にICOに関する規制です。


ー多くのブロックチェーン新興企業がマルタへ進出していることがよく報じられていますが、実際にマルタでICO実施する利点には何があるんですか?

出典:EUCC公式ページ

現在、ほとんどの国で仮想通貨は違法とは見なされませんが、多くの企業は近い将来を予測できないような環境で事業を営んでいる状態が続いています。

そんな中、法的枠組みが確立しているマルタでは、将来的に事業が中断されるような心配がない。

また、仮想通貨業界を適当に規制するための先進的な法的枠組みを作成しています。

言ってしまえば、マルタは「ガンダルフ」のような国。

例えば、マルタ政府は「AIが出現したら取引がどのようになるか」など、次に何が来るかについて考えながらどの国よりも先に仮想通貨やICOを規制しています。

また、定期的なチェックと監査を行うMDIA(Malta Digital Innovation Authority)という企業や取引所の管理をする規制機関も存在したり、消費者保護法も制定されているので、ICOに参加したい投資家には特に安心ですよね。

ちなみに、保険会社がデジタル資産を保証することもできます。

これは、規制がない市場ではほとんど不可能と言えるでしょう。

ちなみにですが、マルタがこのような仮想通貨の法整備を迅速にできるのは、それがマルタ政府にとってそこまで難しくない、ということもあると思います。

オンラインゲームで似たようなものを過去に作ったこともありましたし。

注目され始めた当初はあまりいい評判がなかったオンラインゲームやカジノでしたが、マルタが規制に準ずるオンラインカジノの運営を実現可能にさせました。

これと同様なことがブロックチェーン業界にも言えるのではないでしょうか。

どの政府も自らブロックチェーンを触りたくないですからね。


ー最近話題となっている「分散型取引所」についてどう思われますか?

私たちは、「中央集権型」の取引所を作ることにしました。

分散型取引所では、顧客が行う取引を把握するのが困難だったり、収益を上げるのが容易ではないです。

実際のところ、「完全に」分散化されているような取引所を運営するのは、規制が整っているマルタではこれからもなかなか難しいかも。

というのも、KYCを実施する取引所はどうしても中央集権型である必要があります。

取引所は、誰が取引を行っているのかということこと、お金がどこからきているのかということを把握する必要があり、規制は大体この二つを絶対にカバーしなければなりません。

しかし、このような規制に準ずるGLOBIANCE取引所は、将来的に銀行パートナーと協力し、全ユーザーが銀行口座を持てるようになります。

もちろんクレジットカードの導入も視野に入っていますよ。

私たちは仮想通貨決済が大衆へ本格的に普及するのは今だとは思っていなく、最初はクレジットカードのようなものから始まると考えています。

現状では、仮想通貨を持っていてもそれを受け取ってもらえないことがほとんど。

また、クレジットカードが誕生してから、現在のようなものへと成長するまで随分と時間がかかりましたよね。

仮想通貨の普及も、同様な過程を踏むことになるでしょう。

まだ始まったばかりですが、進化を遂げるためには人々が実際にそれを使い始めることが絶対に必要。

そのため、クリプトクレジットカードなどは仮想通貨の普及においては重要な一つのステップだと思います。

大衆が仮想通貨を日常的に使用するような日は来るでしょうが、現在はまだそのフェーズではありません。


ー業界全体として、どのやったら「次のフェーズ」にいけるでしょうか。

まず、マルタのような小さな国や特定地域で仮想通貨の「商用利用」が進むことだと思います。

小さな店やレストランを含める全てで仮想通貨決済が採用されるようになれば、人々はそれの存在に気づき、水に慣れ、時期に使用するようにもなるでしょう。

また、仮想通貨決済の「使いやすさ」を向上させることが重要。

多くの人は、それとなくクレジットカードや決済アプリを利用しますが、誰も仕組みなんてわからない。

技術的にどうなのかというのはユーザーにとって正直関係ありません。

また、マスターカード払うか、Visaで払うかということも実際にはそこまで気にする人なんていないでしょう。

一般ユーザーはただ決済をするだけであり、何を使ってそれをするかは関係ない。

仮想通貨決済もこのようにならなければなりません。


ー最後に何か一言ありますか

GLOBIANCE取引所は、これまでのような銀行にはならないで、今後世界で最も成功するような新たな「銀行」のような存在になることが目標です。

出典:globiance取引所

イメージ的には、オンラインバンキングと仮想通貨取引所が合わさった感じで、トレーダーはお金を取引所に送ったらそこに安心して放置しておけます。

また、何かの支払いをする必要がある場合は、私たちの決済アプリやクレジットカードを使用可能。

マルタFSAによって規制されている取引所であるため、仮想通貨と法定通貨を交換することもできます。

最近だと多くの人は取引所がハッキングされて資産が無くなることが心配かもしれませんが、いくらセキュリティの頑強さをアピールする取引所でも「ハッキングが100%ない」なんてことはないでしょう。

しかし、規制された環境には保険会社があるため、もしもの場合に備えられる。

これからは、運営一日目からしっかりと規制され、安心できるような取引所を使うべきかもしれません。

  
以上、GLOBIANCE取引所代表取締役オリバー・マルコ・ラ・ローザ氏のインタビューでした!

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