ビットコインに将来性はあるか、下落を予期したノーベル賞受賞経済学者による批判

BTCに将来性はあるか、下落を予期したノーベル賞受賞経済学者による批判

残りも僅かとなった2018年は、BTC市場にとってなかなか厳しい一年だったと言えよう。

同市場における過去の下落と比べると今年のものは若干「緩やか」だったと表現されるものの、現BTC価格は昨年の最高値から約80%値崩れしていることは紛れもない事実。

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また、弱気市場は来年も継続するとの声や、底値はまだ付いていないという見解もある。

そんな中、ビットコインのファンダメンタルズを分析し、今年7月から市場が大幅に下落することを示唆していた米経済学者がいたようだ。

進化ではなく退化!?BTCはテクノロジーの歴史を「300年」戻す

「お金の歴史に反している仮想通貨への熱狂は非常に奇妙…クリプト愛好家は最先端技術を駆使して開発を進め、300年前の通貨システムを築くことを祝っている。なぜそんなことをしたいのだろうか?どんな問題を解決するのか?私はまだその質問に対する明確な答えを見ていない。」

このようにNYタイムズのコラムでBTCを厳しく批判していたのは、米経済学者Paul Krugman (ポール・クルッグマン)氏。

国際貿易理論」を提唱しノーベル経済学賞を受賞したこともある、本物の実力者だ。

同氏によると、通貨の歴史における技術的進化を踏まえた上で、ビットコインはお金の歴史を「300年」戻すような技術だという。

その理由として、ビットコインの高価な送金手数料が取引における「摩擦」を生み出していることについて挙げた。

お金は徐々に「摩擦の少ない取引」に向かって進化しており、長い歴史を経てクレジットカードやデビットカードを中心とした現在のような仕組みになるまでに至った。

しかし、BTC取引にはマイニングに関連するコストが発生するため、エコシステムに「摩擦」を再導入する形になり、通貨を退化させることになると同氏は指摘。

また、政府が「金銭的利益を生み出す特権を乱用した」と認めながらも、中央銀行はその仕事を「非常にうまく」行い、低摩擦取引と通貨の安定した購買力を提供していると述べた。

さらに、BTCが「現物と価値が紐付いていないこと」について言及し、以下のように続けた。

「仮想通貨の価値は現実と結び付いていない。それらの価値は、完全に自己充足的予言な期待に完全に依存している…これは完全な崩壊が本当にある可能性を示唆する。ビットコインが無価値であることを突然恐れ、投機家が集団的な疑いの瞬間を持つとしたら、ビットコインは無になるだろう。」

一方、法定通貨は「銃を持った男たちがは価値があると言っているので、根本的な価値がある」と述べ、人々がそれに対する信念を失ったとしてもその価値はなくならないと強調した。

(ここでの「銃を持った男たち」とは、政府を始めとする法定通貨の使用を強いることができる機関のこと。)

さらに、ゴールドも人々の信念によって価値が成り立っているものの、(BTCとは異なり)宝石類に使用されるなどの現実世界における使用用途を持っていると付け加えた。

最終的な結論としては、ビットコインの価値に疑問は残るものの、闇市場や脱税における使用用途があるため、価値が完全にゼロになる「可能性は低い」とした。

実際に価格は80%減。ビットコインの将来性は?

実際にほとんどのクリプト価格が最高値から80-90%下落した市場の現状を踏まえると、「投機家が集団的な疑い」を持つかもしれないという同氏の指摘は正しかったかもしれない。

また、一般投資家が主導した昨年の強気市場では、価値の保存という使い道に対するBTC投資がされていたとは言い難い。

これに関して、サンタクララ大学経済学者経済学者は以下のように述べている。

「歴史的な偶然で価値の保存手段として広く受け入れられているゴールドとは異なり、BTCは普遍的に受け入れられてないデジタル商品だ。業界初期のビットコイン投資家とマイナーは、パラダイムシフトの真の信者であり、将来の利益のために必要な投資をした。しかし、最近の投資家は、平凡な貪欲主義の投資家だ。」

このように投機を奨励する風潮が依然として強いBTC市場では、クルッグマン氏が示唆していたように、ビットコインの価値が大勢によって疑われた可能性は十分にある。

しかし、ビットコインに対する同氏の指摘が全て正しいだろうか。

「摩擦」が問題となっているビットコインの取引手数料・送金時間は、急速に成長している「ライトニングネットワーク」が普及することで大幅に改善されると言われている。

☞BTCで日常決済できる日も近い!?ライトニングネットワークが好成長

また、価値が何らかの資産によって裏打ちされていなく、投機面が依然として強いビットコインだが、中央銀行が発行する通貨とは「異なるオプション」としての価値がある、という見解もあるようだ。

☞絶対に知っておきたいビットコインの「本当の価値」とは、元NSA内部告発者が語る

さらに、通貨としてのユースケースの他にも、元JPモルガン・チェースの執行役員はゴールドとは別のオプションとなる「デジタルゴールド」としての将来性をビットコインに見出しており、信頼性を確立することが重要だという。

☞元JPモルガン執行役員、ビットコインは「デジタルゴールド」へ

金融大手や規制当局が本格的なビットコインに関する取り組みを実施している今日、BTCの価値についてもう一度再吟味する必要があるかもしれない。

原典:Transaction Costs and Tethers: Why I’m a Crypto Skeptic

ここまでの内容と考察

ノーベル賞を受賞している米経済学者がビットコインの価値が大幅に縮小することを既に予期していたという、今回のニュース。

ビットコインに対する批判のほとんどは同氏が指摘する内容ですね。

しかし、ビットコインの主要ユースケースが現在でも確立していないのは問題かも…

分散型エコシステムでビットコインが一体何かというは誰かが決めるものではなく、自然と時間が経つにつれてわかるようになるものかもしれませんが、それでも方向性が定まらないのは業界人だけでなく一般ユーザーにとっては特に分かりにくい。

ちなみにですが、ホワイトペーパーには「P2P版の電子通貨」としての使い道が明記されていますが、それを「貫き通すべき」だや「それが全てではない」など様々な意見があります。

しかし、法定通貨と比較するBTCの絶対的なアドバンテージとしては、発行枚数上限が明確に決まっていることや、なにせ「銃を持った男たち」を必要としないことが挙げられます。

☞重要なのはビットコインの「金融方針」!?米経済学者が語る

また、実際に機関投資家や金融大手がビットコインを「価値の保存手段」と見做すことで、このユースケースに対する人々の信念がより強まる可能性も将来的にはないとは言い難い。

☞賢い投資家はBTCを「価値の保存」手段と見ている!?ノボグラッツ氏が語る

「信念」ベースで価値が決まるビットコインは、果たして今後誰もが一般的に使用するような存在になるのでしょうか。

この辺は、「現実主義者」や「理想主義者」で意見が分かれる面白いところ。

今後もビットコインの将来性に関する話題に注目していきたいですね!

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