ボリバル一年間インフレ率1700000%、ベネズエラを救えるのはビットコインか

市場景気は完全無視?米仮想通貨運用企業が前年比10倍超の資金を調達

発行枚数が2100万枚と厳格に定められているという、歴史上かつてない金融方針を掲げる、ビットコイン。

供給が需要に全く反応しないというユニークな性質を持つことで従来の金融システムとは異なる「お金」の仕組みを生み出したBTCは、経済が不安定な国や地域で実用化されているようにまで普及してきた。

特に、ハイパーインフレにより紙幣が「紙切れ」と化したベネズエラでは、クリプトが「価値の保存手段」として利用され始めている。

そんな中、ベネズエラの経済学者カーロス・ヘルナンデス氏が、同国の経済におけるBTCの実用性について、自身の経験を基に説明した。

法定通貨の保有は「経済的な自殺」

ヘルナンデス氏によると、現在二人の大統領が存在し政治と経済が事実上停止しているベネズエラでは、とりわけ食料不足が深刻になっているようだ。

外国政府は食料援助に積極的なものの、政治的な理由でベネズエラ軍はそれを撥ねつけているという。

それもあり、現在ではベネズエラの食料品やその他の生活必需品の価格が急上昇。

また、かねてより不安定だったベネズエラ通貨のボリバルは極端なインフレの影響を受けており、それを保有することは「経済的な自殺」に等しいという。

「私が最後にチェックしたとき、ボリバルのインフレ率は一日でおよそ3.5パーセントだった…また、 2018年における年間インフレ率は、約170万パーセント。私は海外に銀行口座を持っていないし、ベネズエラ政府の通貨管理の下では、米ドルのような外貨を使う簡単な方法がない。」

ボリバルと同様に価格変動が多いビットコインだが、非国家主体で発行される分散型の仮想通貨のボラティリティは一国内の経済に基づいていない。

そのため、ベネズエラではBTCのような通貨が広く普及するようになったそうだ。

「国境のないお金」は単なるバズワードではない

保有していたボリバル全てをBTCと交換したというヘルナンデス氏だが、実際に決済するためには再びボリバルと交換しなければならないという。

しかし、多くのベネズエラ人が使用する仮想通貨取引所localbitcoins.comでこのプロセスは10分程度だそうだ。

localbitcoins.com公式ページ

しかし、一度に多額のビットコインを法定通貨に変えることはできないようだ。

「政府はまだクリプト取引を監視していないが、ボリバル取引は監視されている – 資金がどこから来たのかを銀行に説明できるまで、約50ドル以上のお金は自動的に口座で凍結する。」

また、ビットコインはベネズエラにおける生活だけでなく、国から去る時にもに役立つという。

「ベネズエラの軍人は、国から去る人々のお金を略奪することで知られている…崩壊している経済と独裁政権に住んでいる人々にとって、”国境のないお金”は単なるバズワードではない。」

このように経済が安定していな地域で活躍するビットコインだが、それにも「限度」はあるようだ。

例えば、牛乳を購入するためにBTCをボリバルと交換した後、実際に牛乳を売っている店が見つからない場合、ボリバルの価値が下がることを懸念し、何か他の物を買うことを強いられるという。

政治・経済が不安定な国において、ビットコインのような分散型の通貨はあったらいいではなく、なくてないけないような存在なのかもしれない。

原典:Bitcoin Has Saved My Family

ここまでの内容と考察

ベネズエラ経済学者のヘルナンデス氏が、自身の経験に基づきながらビットコインのような国境のない通貨の重要性について説明したという、今回のニュース。

インフレや中央集権型の銀行の問題が浮き彫りになっている現在のベネズエラのような国に住む人にとって、仮想通貨にはしっかりとした存在意義があるようですね。

ちなみにですが、匿名通貨でお馴染みの「DASH」も積極的にベネズエラで活動しているようです。

☞スマホ必要なし!ベネズエラ経財崩壊から国民を救うダッシュのSNS送金

米国でも2020年から景気が後退すると言われている中、果たしてビットコインを始めとする仮想通貨は価値の保存手段として見られ始めるのでしょうか。

今後も仮想通貨の普及やその可能性に注目していきたいですね!

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