BTC強気派ポンプリア―ノ氏:リブラコインではなく「カリブラウォレット」が重要か


ホワイトペーパーが公開されてからおよそ2週間が経過したフェイスブック先導の企業間通貨「リブラコイン」に対して、従来の金融また仮想通貨の専門家が様々な見解を述べている。


 
 
 
 
ェイスブック主導の「リブラコイン」が世にお披露目されてから、およそ2週間が経過した。

1ヵ月のアクティブユーザーが約20億人と言われているフェイスブックが指揮を執っていることもあり、リブラコインの話題は仮想通貨メディアだけでなく、主流メディアでも大きく取り上げられた。

もちろんリブラコインの評価は割れているが、現時点でもその潜在的な影響力は否定し難いと言えるだろう。

例えば、米国下院が個人情報に関する問題や「米国や世界経済の脅威」になる可能性が懸念されるため、フェイスブックCEOを含める関係者に対して「モラトリアム」を課したことが最近報道されている。

(*モラトリアムとは、特定の問題・懸念等が解決されるまで、活動または法律が一時的に停止すること。)

各国の中央銀行や政府が危険視する程のスケールで展開されるこのデジタル通貨に対して、従来の金融や仮想通貨のエキスパート達は今どのような見解を持っているのだろうか。

 
 
リブラバッシング:「犯罪目的で使用される」
 
ノーベル経済学賞受賞したこもある著名経済学者は、リブラコインを「脅威」というよりも、(BTCがよく非難されるのと同様に)犯罪目的で使用される「必要性のない」コインだと見ているようだ。

米ドル、日本円、人民元の値動きが安定しているため「今日の通貨の問題はインフレではなく、デフレだ」と主張する米コロンビア大学経済学教授ジョセフ・スティグリッツ氏によると、新たな企業コインでは従来の金融システムの「本当の問題」を解決できないという。

一般的な通貨システムにおける具体的な問題として、スティグリッツ氏は価値の保存手段および交換手段として使用される通貨の間で競争がないことや決済処理を担う企業の規制が(特に米国で)欠如していることを挙げた。

また、スティグリッツ氏によると、そもそも従来の銀行サービスを介した金融犯罪が技術革新によって困難になっている昨今、リブラコインのような「不正行為を促進するための新しい手段」は必要ないという。

それどころか、政府は犯罪目的で使用されることが懸念されるリブラを「シャットダウンすべき」だそうだ。

これについて、まずスティグリッツ氏はリブラのビジネスモデルが同コインの価値を担保するために確保される資産からの利子によるものだと指摘し、リブラがそれを全くユーザーへ支払わないだろうと主張。

このようなビジネスモデルを展開するリブラに対して、誰もフェイスブックに「無利子の保証金」を与えないことが予想されるため、リブラコインが使用するユーザーは限られるという。
 

おそらく米国の現大統領を含む悪意のある活動に従事する人々は、汚職、租税回避、麻薬取引、またはテロなどの悪質な活動が検出されないために、かなりのお金を払うことを厭わない。

 
さらに、かねてより個人情報漏洩などが問題視されていたフェイスブックを「財政的な健全性において信頼するのは愚か者だけだ」と結論付けた。
 
 
リブラコインは「仮想通貨」?
 

 
「犯罪目的に使用される」というお馴染みの仮想通貨バッシングをリブラコインに当てはめたような見解が示されているのと同時に、リブラコインに纏わるもう一つ話題として「BTC Vs. リブラコイン」がよく挙げられている。

短期国債や法定通貨によって価値が担保されているリブラコインは、ビットコインや一部のアルトコインと直接的に競合するような「仮想通貨」だろうか。

クリプト格付け企業Weiss社アナリストであるユアン・ビラバーデ氏は、米ドルや日本円などの法定通貨で価値が裏打ちされたステーブルコインは「仮想通貨ではない」とかねてより主張している。

また、クリプト教育者として知られるアンドリアス・アントノポラス氏は、「オープンで、パブリックな、中立的で、国境がなく、また検閲耐性を持つ」という仮想通貨の定義からリブラコインは外れていると指摘した。

仮想通貨やステーブルコインの定義および規制は各国でも異なり、例えば日本の資金移動業について規定した「資金決済に関する法律」によると、米ドルや日本円などの法定通貨で価値が裏打ちされたコインは「通貨建資産」という扱いになる。

すなわち、リブラコインは最低でも日本では仮想通貨ではない。

しかし、リブラコインの公式サイトには同コインが「仮想通貨」であることが明記してある。

また、リブラコインは「仮想通貨(暗号通貨)という形で高品質な価値の交換手段」を提供する、と最近公開された記事で、リブラコインのウォレットサービスを提供するフェイスブックの子会社Calibra (カリブラ)のディレクターであるデイビッド・マーカス氏は主張した。

それでも、BTCファンだと公言しているマーカス氏は、次のように述べている。
 

多くの人がリブラコインとビットコインを戦わせたいようだが、 私の考えではこれらは同じカテゴリーにない。 BTCが相関性のない投資用の資産である一方、 リブラコインは安定した価値の交換媒体として設計されている。私はこれまで、そしてこれからもBTCファンだが、異なる目的のためだ。

 
 
知られざる「カリブラウォレット」のポテンシャルとは?
 
世間一般からのスポットライトが「フェイスブック」や「BTC Vs. リブラ」に当てられている一方で、前述にもあったように、リブラコインを手掛けた張本人は、同コインが従来のような仮想通貨であるかないかではなく、「世界の基軸通貨」となるような安定した価値の交換手段として機能するかどうかに焦点を当てているようだ。

そんな中、リブラコイン関連の話題で本当に注目すべき市場参加者は、フェイスブック子会社が提供する「ウォレットサービス」だと指摘する業界人もいる。
 

 
フェイスブックの取り組みは仮想通貨エコシステムにとって前向きな発展だとCNBCのインタビューで述べたMorgan Creek Digital Assets創設者アンソニー・ポンプリア―ノ氏によると、カリブラは特に重要なプレーヤーだという。
 

フェイスブックが何十億人という人々へデジタルウォレットを提供するが、これはリブラコインだけのものだとは限らない…将来的にはビットコインやイーサリアムを始めとする他の仮想通貨や株式、債権、通貨、コモディティがトークン化された有価証券も入るかもしれない。また、ヘルスケアデータやソーシャルデータなどの個人情報もデジタルウォレットに入るかもしれない…

 
さらに、カリブラが成功するためには将来的に「ビットコインを加えなければならないだろう」と付け加えた。

また、(一般的な見解とは対照的に)ポンプリア―ノ氏によるとリブラコインに規制上の問題はないという。

ポンプリア―ノ氏は、フェイスブックがプロジェクトを打ち切れるような規制当局や中央銀行のような機関と既に掛け合っていたことを指摘し、冒頭にもあったようなリブラに対する米国議会の反応について次のように述べた。
 

反発は(フェイスブックが予め話し合っていなかった)連邦議会の議員を始めとする立法機関からあるようだ。彼らは規制することで(フェイスブックの)取り組みを中断できるような力を持たない。もしかすると新たなルールを作ったり、規制当局へ圧力をかけるかもしれないが…

 
さらに、立法機関は米ドルと競合する可能性があるリブラコインを「恐れている」と述べたものの、時間が経つにつれ「妥協点が見つかるだろう」とコメントしてインタビューを締めくくった。
 
 
韓国大手サムスンが仮想通貨ウォレットを搭載したスマホを販売し始めているのと同じく、フェイスブックが数十億人に向けて提供するウォレットはリブラコインそのものよりも当業界にとっては影響力が大きいかもしれない。

それでも、70年代から著名経済学者によって予期されていたような従来の国家通貨と競合できるような通貨の誕生は、金融業界が大きく変化し始めた重要なシグナルの一つであることは間違いないだろう。

ゴールドマンサックスも独自コイン発行を検討していることが報じられるようになった中、法定通貨、仮想通貨、企業コイン、中央銀行コイン(CBDC)が競合するような新たな時代は本当に到来するのだろうか。
 
 


 
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