バンコール共同創設者、「取引所は技術革新で遅れをとっている」

昨年から特にサイバーセキュリティが大きな課題だと言われている、仮想通貨取引所。

しかし、トークン経済がより発展していくためには、既存取引所インフラは更なる「技術革新」を要されるのかもしれない。

仮想通貨交換サービスを提供するバンコール共同創設者のガリア・ベナーツィ氏が、将来のトークン経済を見据えた上での既存取引所インフラの問題やトークン経済についてConsensysMediaのインタビューで言及した。

「取引相手なし」でトークンを瞬時に交換可能に!?

「数百万というトークンが今後誕生することが予想できる中、既存の取引所インフラはそれをサポートすることが出来ないだろう。規模が小さく取引量が少ないなど流動性の観点から高いリスクがあるトークンは、取引をするにおいて利益を生み出すことが期待されない。そのため、社会で実用性があったり特定コミュニティに便利なトークンでも流動性がなければ生き残れない。」

このように語ったのは、トークンの流動性に関する問題を解決することを目指すバンコールプロジェクトの共同創設者、ベナーツィ氏。

出典:Galia Benartzi – Bancor (Interview)

同氏によると、バンコールは前述の問題を「スマートコントラクト」を基盤とする解決策で、「取引相手」なしでトークンを交換することを可能にしているという。

また、バンコールはお金の概念を「人々が協力するための道具」と捉えていることを強調した。

「(お金は)人類の歴史で幾つかのフェーズを進んできた。フェーズ1では、ゴールド、塩、オイルなどお金は大地から生まれ、実際に目で見え、数えられ、信じれるものだった…フェーズ2のお金は政府が刷るもので、国内で使えたり、国を超える取引にも使用できた。現在のフェーズでは、お金は人々から生み出される…この現代社会のお金がベストだろう。」

さらに流動性が少ないお金に価値はないと主張し、「お金」について以下のように考察した。

「お金に価値がある理由は、飛行機や昼食など好きな時に好きな物へ交換できるからだ。昨今のトークンや国家主体の通貨を見てみると、流動性の問題が伺える。好きな時に交換できないお金には価値がない…もしトークンが他の通貨に交換できない場合、それは流動性がないと判断でき、その価値が疑われる。」

具体的な例として、一つのサービスでしか使用できない既存の「ポイント」システムについて言及した。

出典:Galia Benartzi – Bancor (Interview)

「もしある航空会社のマイレージポイントが溜まっていたとしても、それを使ってあなたが行きたいところへ飛行機が飛んでいなければ価値がない。しかし、そのポイントを使って食料品店で夕食を買えたらそれの価値が突然生まれるだろう。」

すなわち、ポイントまたはサービスがトークン化されたようなユーティリティトークンが実際に他の物へ使えなければあまり価値がない、と同氏は見ているようだ。

既存の取引所モデルの問題を指摘するバンコールだが、被害額が2350万ドルにも及ぶハッキングを昨年受けていたことが大きな話題となっていた。

これに関して、cryptonews.comの取材に対してベナーツィ氏は以下のようにコメントしたという。

「私たちは内部的な物事のやり方の多くを変更した。これは新しい産業に入る上での学習の一部だと考えているが、全ての可能性のある微妙な差を100倍認識させるようにした。」

トークン経済が発展するためにも、トークンの使用が簡易になるようなインフラ整備が必須なのかもしれない。

原典:Galia Benartzi – Bancor (Interview)

ここまでの内容と考察

バンコール共同創設者が、インタビューで既存仮想通貨取引所の問題やトークンの流動性に関するトピックに触れたという、今回のニュース。

実際に様々な既存サービスがより簡単にトークン化されるためにも、バンコールのようにどんなトークンでも流動性を保てるような技術に対する需要は増えるかもしれませんね。

(バンコールを仕組みを簡単に説明すると、需要供給に基づいて価格を自動的に決めるようにプログラムされたスマートコントラクトに対して取引を行う、というようなものです。)

ちなみにですが、バンコールという名前は国境を跨ぎ世界の価値の尺度となるケインズ経済学で提唱されている概念からきているそうです。

今後も仮想通貨市場の技術革新や業界人の独自の見解に注目していきましょう!

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