Polymath共同創設者、プロジェクトの現状やセキュリティートークンの未来を語る

「セキュリティー(有価証券)をトークン化する」という斬新なブロックチェーンのユースケース生み出した、Polymath(ポリマス)プロジェクト。

2020年までには20兆ドルの規模まで成長すると見られているセキュリティートークン市場の「パイオニア」と称される同プロジェクは、破竹の勢いで2018年を突き進んできた。

直近では、デジタル資産取引プラットフォームである、「Blocktrade.com」とパートナー契約を締結している。

そんな同プロジェクト共同創設者であるChris Housser (クリス・ハウサー)氏が、今月10日に開かれたミートアップで、セキュリティートークンの未来やポリマスの近状について語った。


ポリマス共同創設者クリス・ハウサー氏(写真右)

ポリマス、セキュリティートークン発行プラットフォームの「キング」となるか

弁護士という仕事を辞めるほどブロックチェーンに「情熱」を持っていたという、ハウサー氏。

プライベートエクイティをトークン化することを試行していたもう一人の共同創設者であるTrevor Koverko(トレバー・コバルコ)氏と出会ったことがきっかけで、プロジェクトを2年前に立ち上げたという。

そんな同氏率いるポリマスが提供する分散型プラットフォームでは、世界中の誰もが「許可なく」簡単にセキュリティートークンを発行できる。

これは、セキュリティートークン発行を手掛ける「Harbor (ハーバー)」のような、「中央集権型」のプロジェクトと大きく異なる。

イーサリアムでトークンを発行する際に、Vitalik Buterin(ビタリック・ブテリン)氏のようなイーサリアム創設者に連絡する必要がないのと同様に、ポリマスでセキュリティートークンを発行するために、誰からも許可を得る必要がない。

しかし、同プラットフォームを通じたセキュリティートークン発行において、「POLY(ポリ)」と呼ばれる仮想通貨を使用する必要があるそうだ。
 

 
これは、セキュリティートークンには分類されず、プラットフォームを使用するための「ユーティリティートークン」。

この種のトークンは、サービスを利用するための「クーポン」のようなもので、一般的なプロジェクトが発行するトークンはこれに分類される。

しかし、ポリマスはあくまでもセキュリティートークン「発行」を手掛けるだけであり、セキュリティートークン「取引」自体は「t0(ティー・ゼロ)」プロジェクトが提供するような、セキュリティートークン取引プラットフォームで行われるという。

セキュリティートークンの未来とポリマスの展望

ミートアップでは、セキュリティートークンに興味津々な参加者達が、業界第一線で活躍するハウサー氏に様々な質問を投げかけた。

例えば、昨年大きな話題を呼んだ「ICO」と、これから大波が来るだろうといわれる「STO(セキュリティートークン・オファリング)」の本質的な違いに関する質問がされた。

これに対し、同氏は短期でリターンを得ようとする風潮がICO市場にある一方、STOで販売されるセキュリティートークンは価格の「長期に渡る安定した推移」が期待できるとした。

また、今後のセキュリティートークンの普及に関して、SEC(米証券取引委員会)や他の規制当局がセキュリティートークンを承認することによって、それが「想像を遥かに超える」スピードで加速する、と同氏は強調する。

セキュリティートークンの普及が本格的に始まるのは、まだ少し先のことかもしれないが、セキュリティートークンに関する取り組みは水面下で着々と進められているようだ。

例えば、多くの仮想通貨取引所は、「規制された」セキュリティートークン取引プラットフォームとなるために現在ライセンス取得中だと同氏は指摘する。

そのような取引所の代表的な例として、

・Bittrex (ビットレックス)
・Coinbase (コインベース)
・Gemni (ジェムニ)
・Circle (サークル)

を挙げた。

セキュリティートークン発行プラットフォームとして「キングの座」に君臨するポリマスだが、今後どのような革新を従来の金融業界へもたらすのだろうか。

世界中がセキュリティートークン市場の活性化に努めるポリマスの動向に注目する。

ここまでの内容と考察

ポリマス共同創設者であるハウサー氏がミートアップでセキュリティートークンの未来について語ったという、今回のニュース。

トークンの性質上、規制が曖昧なICOと異なり、STOで販売されるトークンは法律的な位置づけも明確。

より多くの投資家が安心してセキュリティートークンに投資できるようになるのではないか、と期待されているようです。

セキュリティートークンの大波が来るといわれている中、ポリマスのようなセキュリティートークン発行プラットフォームは今後必要不可欠となるかもしれませんね。

ちなみにですが、セキュリティートークン市場を活性化させる動きとしては、John McAfee (ジョン・マッカーフィー)氏も後押しするSwarm.Fund(スワーム・ファンド)財団が「MAPプロトコール」と呼ばれるセキュリティートークン取引を効率化させるプロトコールを発表しています。

これにより、毎回KYCなどを行わなくともセキュリティートークンの取引が可能となるそうです。

盛り上がりを見せるセキュリティートークン市場に今後も注目していきたいですね。