ついに実現!クリプト頭分と仮想通貨ペシミストの一騎打ち

ついに実現!クリプト頭分と仮想通貨ペシミストの一騎打ち
以前から待ち望まれていた業界著名人2人による議論がついに実現したようだ。

イーサリアム共同創設者であるビタリック・ブテリン氏と著名なクリプト懐疑論者であるヌリエル・ルビーニ氏が、韓国ソウル市で開催された「Deconomy Forum」のパネルディスカッションで議論を交わした。

ブテリン氏、イーサリアムは「価値の尺度」にならない

「仮想通貨の基本的価値とその持続可能性」と題されたパネルディスカッションで、仮想通貨に対して正反対の見解を持つブテリン氏とルビー二氏が討論した。

今回やっと実現したかねてより注目を集めていた今回の議論は、中央集権化、拡張性の問題および検閲抵抗など、様々な当業界のテーマを網羅したものとなった。

@Robinso74285772のツイートより

仮想通貨特有の「検閲抵抗性」やより多くの人々が金融サービスにアクセスできるという将来的な有用性をアピールするブテリン氏に対し、プライバシーと反検閲の議論は「ジョーク」だという、ルビー二氏。

ルビー二氏は政府にクリプトエコシステムを却下できるような権限があるため、仮想通貨は「政府が許可する範囲」で抵抗できるだけだと主張した。

また、多くの規制当局がKYCを実施するという従来の金融機関の慣習を推奨していることもあり、匿名性と検閲抵抗は「疑わしい」ものだ、と付け加えた。

さらに、脱税、人身売買、テロ資金などの重罪における仮想通貨のユースケースを列挙したルビー二氏は、政府が仮想通貨を受け入れるような「インセンティブがない」と指摘し、その一方で「匿名で行われる資金調達」に反対する行動を取るような動機はあると述べた。

しかし、ブテリン氏によると仮想通貨における匿名性は従来の金融と「相互排他的ではない」と切り返す。

例えば、「脱税」を防ぐために、企業は匿名取引を開始する前に監査を実施し、また「ZK-SNARK」取引における乱数のハッシュを使用して必要に応じて十分な証拠を提供できるという。

ジーキャッシュに匿名性を持たせている「ZK-SNARK」技術は、取引額に関する情報を公開することなく、人々が互いに匿名取引を行えるようにする)

@cryptopymのツイートより

両者はブロックチェーンの拡張性や分散化を掲げている当業界の中央集権化についても議論を繰り広げた。

まず、ルビー二氏は、取引能力の低いビットコインやイーサリアムなどの分散型ネットワークは、「拡張性が十分ではない」だけではなく、マイナーが中央集権化していると指摘。

一方、ブテリン氏は「シャーディング」などの解決策がノードやマイナーにとって最大の効率性を可能し、拡張性と分散化の向上に貢献すると述べた。

また、興味深いことにもルビー二氏とブテリン氏はインフレが暴走しているベネズエラにおけるビットコインのユースケースにも異なる見解を持っていた。

☞ボリバル一年間インフレ率1700000%、ベネズエラを救えるのはビットコインか

ルビー二氏によると、価値の保存手段として法定通貨のボリバルではなくBTCが使用されているベネズエラは「例外」であり、仮想通貨が国家主体の法定通貨を代替することは決してないだろうと述べた。

一方、ベネズエラにおける仮想通貨の急速な普及に関して、ブテリン氏は以下のように考察した。

「(ベネズエラにおけるビットコインの普及は)インフレとの闘いよりも仮想通貨に関連している… 資産を保護するための”代替手段”が何かということ。」

また、将来的に「中央銀行が仮想通貨を貯蓄する」というシナリオについても意見が分けれた。

☞いずれ中央銀行がビットコインの貯蓄を始める!?経済学者が語る

ルビー二氏がそのようなことは将来的に不可能と述べた一方、ブテリン氏は中央銀行には既に「金準備」があることを指摘し、その可能性を否定しなかった。

しかし、ブテリン氏はビットコインやイーサリアムが「価値の尺度」と見なされることを支持しないという。

「BTCまたはETHが世界的な価値の尺度になることを支持しない。 MakerDAOのようなものには可能性がある。 しかし、短期間の仮想通貨の大部分の価値は、法定通貨を代替することではない。」

仮想通貨は成功する見込みがない」やブロックチェーン技術は「賛美されたExcelスプレッドシート」などと批判するルビー二氏だが、金融危機を言い当てた実績がある同氏のコメントには今後も注目だ。

原典:.@VitalikButerin vs @Nouriel

ここまでの内容と考察

シニカルな発言が多いイーサリアム共同創設者であるブテリン氏と「Mr. Doom(壊滅の預言者)」と呼ばれる仮想通貨ペシミストによる議論がついに現実化したという、今回のニュース。

両者ともこれまでのスタンスをキープするというような結果となった今回の議論ですが、価値観や意見の違いが様々な箇所で見受けられるような内容でしたね。

ちなみにですが、ベネズエラにおけるビットコインのユースケースに関するルビー二氏のコメントに対して、米コーネル大学経済学者であるEmin Gün Sirer氏は以下のようにコメントしていました。

「(ルビー二氏の)”システムを信頼する”という主なポイントは、”例外的な”出来事を考慮に入れた瞬間に崩壊すると言える。というのも、主流の経済学者が主張するほど(べネスエラのような政治・経済の情勢は)例外的ではない。私たちは50年ごとに戦争をし、家族は100年ごとに移動し、金融は10年ごとに崩壊する。」

ルビー二氏は仮想通貨が法定通貨を代替することはないと言い切っていましたが、「どの法定通貨」かということも実は重要かもしれませんね。

というのも、世界には180種類くらいの法定通貨があるため、仮にビットコインが米ドルや日本円を代替できなくとも、その他100以上の法定通貨を代替できる可能性はないとは一概には言えないでしょう。

しかし、それにはやはり仮想通貨が普及するためのインフラ整備や大衆の理解を得ることが重要かもしれませんね。

今後も仮想通貨業界を牽引するクリプト著名人の議論に注目していきましょう!

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