米Coinbaseユーザーが口座を解約している?「倫理的な問題」が理由か

クリプト関連の新興企業の中で最もホットな取引所の一つと言えるであろう、米コインベース取引所。

子会社を設立して機関投資家向けの資産管理サービスを計画したり、最近では仮想通貨XRPを自社取引プラットフォームで扱うのを発表したことが話題となっていた。

また、上場銘柄を積極的に増加させる方針を示していることもあり、さらに利便性が高まることが期待できるコインベースだが、同取引所に対して不満を持っているユーザーも少なからずいるようだ。

米取引所コインベースによるブロックチェーンアナリティクス企業Neutrinoの買収を巡り、ツイッター上で「#DeleteCoinbase (コインベースのアカウントを消去しよう)」という声が盛んに挙がっている。

テクノロジーではなく、「人権」や「監視」が問題か

今回コインベース取引所が買収したNeutorino社の製品は、複数のパブリックブロックチェーンにわたる仮想通貨の流れを監視、分析、追跡できるツールだ。

それの重要な用途としては、法執行機関による資金の追跡を可能にし、エコシステムをより安全なものにできることが挙げられるという。

それにも関わらずユーザーがアカウントを削除している理由は、Neutrino社の執行役員たちの経歴が関係しているようだ。

それというのも、Neutrino社CEOであるギアンカーロ・ルッソ氏、CTOアルバート・オーナギ氏、またCROマルコ・バレリー氏は、新興企業Hacking Teamの先導役を務めたことがあり、人権侵害で知られる複数の政府にスパイウェアを販売したことがある。

例えば、Hacking Teamはサウジアラビア政府と直接的な関係を持っており、反体制派ジャーナリストのジャマール・カショッギ氏を殺害したとされる執行グループと協力していた。

また、マザーボードの報告によると、Hacking Teamのスパイウェアはエチオピアやアラブ首長国連邦でのジャーナリストの監視や逮捕に使用されたという。

Hacking Teamに対する世間一般からの評判も良いわけではなく、「Reporters Without Borders(国境を越えた記者団)」は政府による様々な批評家の取り締まりを支援した同社を、「インターネットの敵」の一社として選出した。

また、イタリアの経済開発省は2017年に同社の監視技術のエジプトなどへの輸出は「海外の人権に対して明らかなリスク」をもたらす、と発表している。

そんな企業のメンバーがNeutorino社を運営していることもあり、業界人の一部は今回の買収に批判的なようだ。

例えば、資産運用会社CoinSharesのCSOであるメルテム・デミラーズ氏は、これからコインベースを使用しないと公言した。

「(ブロックチェーンアナリティクス企業の中には、)Neutrino関係者が持っているような倫理的な問題がないサービスが他にもある…今回の一件は、よりオープンで包括的な金融システムの構築するというコインベースのメッセージと衝突している。」

また、今回のNeutrinoの買収はビットコインが「監視資本主義」に使用されることを意味する、と付け加えた。

(「監視資本主義」とは、人々の行動を監視することによって得たデータで収益化すること。)

今回の一件に関して、コインベース取引所はNeutrinoチームの過去を把握しているものの、「コインベースはHacking Teamの行動を容認も否認もしない」と述べた。

また、コインベース取引所のセールス責任者であるクリスティーン・サンドラー氏は、Neutorino社を買収した理由について以下のように述べた

Coinbase Exec on Controversial Neutrino Acquisition, Adding Support for Ripple’s XRP

「現在のプロバイダーは(コインベースの)顧客データを外部へ売っている。そのため、それを制御することは私たちにとって重要だった。 (Neutriono社は)データを安全に保ち、クライアントを保護する独自技術を持っている。」

コインベースが新規投資家にとって便利であることやプロバイダーの切り替えに伴う煩わしさを踏まえると、今回の一件が同取引所のユーザーベースに大きなダメージ及ぼすとは言い切れない。

しかし、倫理的な問題に対するコインベース取引所の今回の意思決定は、同社の評判に少なからず影響するだろう。

原典:Angry Bitcoin Fans Delete Coinbase Accounts to Protest Neutrino Acquisition

ここまでの内容と考察

米大手取引所コインベースによるNeutrino社の買収が物議を醸しているという、今回のニュース。

買収されたNeutorino社の技術ではなく、「倫理的な」問題が議論の焦点となっているようですね。

ちなみにですが、ツイッター上では以下のような声が挙げられていました。


「コインベースの重要な顧客ではないが、私はもう止めた。そもそもファンではなかったが、これは酷すぎる…アカウントを削除した。みんなもそうするべきだ。」

また、コインベースユーザーの中には、アカウントを削除したくとも、それが出来ていない人もいるそうです。

というのも、コインベースのアカウントを消すには残高が「ゼロ」であるため、少額の仮想通貨が残っているユーザーは口座を解約したくともそれが出来ないとのこと。

果たして今回の買収は、将来的にコインベースのビジネスに何かしらの影響を与えるのでしょうか。

コインベースの代わりとなるような、米国で誕生する新しい仮想通貨取引所の出現からも目が離せませんね。

今後も仮想通貨市場のホットな話題に注目していきましょう!

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