セキュリティートークン市場、「大金が流れ込むまでには数年かかる」

何かを「根っこから変え、新しい実を得よう」というような挑戦に時間がかかるのは、言うまでもない。

一方、いつになったらその実が食べられるようになるのかが気になるのも、当たり前のことだろう。

「有価証券をトークン化する」という非常に明確なブロックチェーン技術のユースケースの一つであり、昨年から大きな話題となっている、セキュリティートークン。

規制面が比較的明確なこともあり、今年上半期にはセキュリティートークン取引が本格始動するなどの楽観的な声や、2020年までに市場規模が10兆ドルに達するという予想もある、注目度の高い専門分野だ。

しかし、「高い期待は現実と一致しないかもしれない」と制する業界第一人者もいる。

ブロックチェーン投資ファンドSPiCE VCの創設者であるタル・エルヤシブ氏が、インフラ整備を必要とするセキュリティートークン市場の現状について今週末に開催されたカンファレンス「ETHデンバー」のパネルディスカッションで語った。

セキュリティートークン先駆者、インフラ整備までには「数年かかる」

米国証券法に基づくセキュリティトークンを発行したSPiCE VCの創設者であるエルヤシブ氏が、「トークン化されたデジタル資産」に関する概念がまだ初期の段階であることについて言及した。

それというのも、セキュリティートークンが最大限の力を発揮できるようなインフラが整っていないそうだ。

「数年以内にビジネスインフラの中枢が登場する…今年中に機関投資家が参入するだろう。」

また、セキュリティートークンは単なる「名前だけでない」と主張する同氏によると、 それは「トークンが何であるか」を示唆するだけではなく、「(トークン発行の)プロセス全体の管理」における意味合いも含んでいるという。

セキュリティトークンの到来に関して、慎重な姿勢を見せたのでは同氏だけでない。

パネルディスカッションに参加していたセキュリティトークンアドバイザリー企業Satis GroupのCOOであるシャーラ・バローズ氏を含める他の参加者も同様な意見を共有した。

また、セキュリティートークンの将来性は否定しないものの、それの普及には時間を要すると述べる業界人は多く、例えばBTC救世主バイアン氏は今後5年間で全ての資産がトークン化する、と発言している。

規制の明確化は年内に可能か?

有価証券を直接的に扱うことからも、特に規制面にフォーカスが当たるセキュリティートークン市場だが、SEC(米国証券取引委員会)がそれに関する規制を整えるまでには「恐らく1年かかる」とエルヤシブ氏は見ているそうだ。

また、それまでは当業界の成熟度に関する「誇張された主張」に注意すべきだ、とバローズ氏は警告した。

「大金が当業界に流れ込んでいるという記事は、現実と厳密には一致していない。そこに辿り着くまでには数年かかるだろう。」

少しずつ盛り上がりを見せているものの、まだまだ普及するには時間がかかると言われているセキュリティートークン市場の今後に注目が集まる。

原典:Crypto Securities Are Years Away from Mainstream, Technologists Say

ここまでの内容と考察

スパイスVCのエルヤシブ氏がセキュリティートークン市場の近状について言及したという、今回のニュース。

ブロックチェーン技術の使い道としては特に注目が集まっているセキュリティートークンですが、それが一般的に扱われるようになるための「インフラ確立&規制整備」には、やはり時間がかかるようですね。

しかし、それに関する水面下の動きは着実に進んでいると言えるでしょう。

例えば、ナズダックはセキュリティートークン取引プラットフォームへと移行することを検討しているようです。

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日本国内でのセキュリティートークンに関する活動にも注目しながら、今後も同市場の拡大を追っていきましょう!

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