まだ少し時間がかかるか、セキュリティートークン市場の現状

近い将来に普及が進むといわれている有価証券がトークン化された、セキュリティートークン。

それを販売する「STO(セキュリティートークン・オファリング)」は、セキュリティートークンの規制の明確さから、様々な問題が不安視されるICOを代替するのではないか、とまで言われている。

最近では米証券取引所からも注目を集めているセキュリティートークン市場だが、現状ではどのような取り組みがなされているのだろうか。

爆発的な市場の拡大は一体いつになる?

Security Token Academy(セキュリティートークン・アカデミー)が、STOに焦点を当てたイベントを米マンハッタンで開催した。

昨年よりも飛躍的に出席者が増加した当イベントには、将来的に有価証券がブロックチェーン上で発行されること見込む多くの金融業界経験者が参加した。

以前までブロックチェーン技術を悲観的な目で見ていた従来の金融業界だが、セキュリティートークンにおけるユースケースには将来性を感じているそうだ。

ブロックチェーン技術の活用は、バックオフィス業務を合理化し、資産の証券化を容易にする。

例えば、約定日から3営業日目に株式の受渡しが実行される「T + 2取引」と比べ、セキュリティートークンは数分以内に取引が簡潔してしまう。

また、規制やコンプライアンスも、もちろんスマートコントラクト上に記述できるという。

そのため、将来の金融サービスはセキュリティートークンによって大きく変化するのではないか、と多くの金融経験者から期待されているようだ。

そんなセキュリティートークンの話題で持ち切りだった当イベントのスピーカーのコメントを抜粋したものは以下だ。

Jeremy Allaire(ジャーミー・アレイアー)氏 – Circle(サークル)創設者兼CEO

「誇大宣伝と興奮は多いが、それは非常に正当なものだ。セキュリティートークンのインパクトは予想以上に大きいだろう。」

Carlos Domingo(カーロス・ドミンゴ)氏 – Securitize (セキュリタイズ)創設者兼CEO

「業界人は、セキュリティトークンに懐疑的だ。以前は100%の人々がそれが何であるかを知らなかったが、現在ではそれが99%になった。」

Vince Molinari(ビンス・モリナーリ)氏 – Templum(テンプラム)創設者兼CEO

「規制第一、技術第二。これが現在の市場で勝つ方法だ。」

Howard Marks(ハワード・マークス) – StartEngine (スタートエンジン)創設者兼CEO

「SEC(米国証券取引委員会)を分散化する必要がある。」

Alex Molé(アレックス・モーラ) – Neufund(ニューファンド)投資家向け広報責任者

「米国外の多くの規制管轄区域が、STOが米国に追いつくいい機会だと見ている。米国では既に資本サービス市場が確立しているため、スピードが遅い。しかし、これは、長年に渡る大規模な革命となるだろう。」

Troy Paredes(トロイ・パレデス) – Paredes Strategies(パレデス・ストラテジー)創設者、元SEC委員長

「なぜSTO が活発に実施されていないかって? まだ時間がかかるだろう… 」

少しずつ盛り上がりを見せるセキュリティートークン市場だが、SECを始めとする規制当局が本格的にゴー・サインを出すのは、いつになるのだろうか。

原典:Security Token Launch Event: What’s Going on with Blockchain & Securities

ここまでの内容と考察

セキュリティートークン市場が最近注目を集めており、STOに焦点を当てたイベントを米マンハッタンで開催されたという、今回のニュース。

セキュリティートークンに関するニュースは最近多く、例えば直近では、ビットフィネックスの元CSO且つテザー財団創設者がSwarm財団に参加するということがありました。

また、ツイッター上でもセキュリティートークンへの期待を表すツイートが増加傾向にあります。

STOが流行るだろうと言われている中、最近低迷しているICO市場はどうなるでしょうか?

やはり規制や投資家からの不信によって消滅してしまうのでしょうか?

今後もブロックチェーン技術を基盤とする革新的な資金調達方法に注目していきたいですね。