フェイスブックの「フェイクマネー」、リブラについて独経済学者が語る


独経済学者ソーステン・ポーライト氏が、Mises Instituteへ寄稿した記事で、フェイスブックとその他のパートナ企業が手掛ける新たなデジタル通貨「リブラ」について考察した。


 
 
 
 
「何十億もの人々に力を与えるシンプルな世界通貨と金融インフラ」を目指す、仮想通貨プロジェクトとしては史上最大の規模を持つリブラだが、それの将来性に関しては懐疑的な声も少なくない。
 

☞フェイスブックの夢物語!?リブラコインはビットコインと競合できないか

 
独経済学者ソーステン・ポーライト氏によると、フェイスブック主導のデジタル通貨の取り組みには「経済的および倫理的な欠陥」があるという。

 
 
成功しても「良いお金」ではない!?
 
電子決済が世界的なトレンドとなっている中、人気ソーシャルメディアを通じて送金できるリブラコインが「成功するチャンスはかなり良い」という独経済学者によると、銀行は同コインに「心配しなければならない」という。
 

銀行ではなく、リブラ連盟が取引手数料を徴収し、誰が、いつ、どこで、何に対して支払ったのかに関する貴重なデータを受け取るようになる。顧客が貯蓄目的でリブラを使用し始めると、銀行はさらに疎外されるようになるだろう。

 
しかし、リブラコインは「良いお金」ではないとポーライト氏は続け、それが「法定通貨」によって価値が担保されていることを理由に挙げた。
 

法定通貨はインフレの影響を受け、多く人々を犠牲に一部の人々を豊かにする。法定通貨の発行は信用市場に歪みを与え、投機的なバブルや景気・不景気を引き起こす。また、法定通貨は経済を過剰債務に導く。

 
そのため、法定通貨と同様に「経済的および倫理的な欠陥」を持つリブラコインは、法定通貨を代替する通貨ではなく、それを「コスト面から効率的に使用するもの」だと主張。

さらに、ポーライト氏によると良いお金としては「明らかな選択肢」であるゴールドによって同コインの価値が100%担保されていないことから、リブラは慈善目的なプロジェクトではないと述べた。

しかし、リブラコインがそもそも「良いお金」として意図されていないという見解も多く、リブラのチーフ経済学者兼米MIT教授のクリスチャン・カタリーニ氏も、次のようにツイートしている。
 

リブラは効率的で、低コストな、価格変動の低い価値の交換手段であることを目的としている。法定通貨を補完するものであり、それによって支えられている。

 

「脱ドル化」を促進できるとも一部の業界人から指摘されているリブラコインだが、本当に来年から同コインが価値の交換手段として使用されるようになるのだろうか。

ゴールドマンサックスもデジタル通貨に興味を示している中、フェイスブックだけではなく、その他のテックジャイアントによる民間通貨の取り組みにも注目だ。

 


 
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