ブロックチェーンで手作業を「自動化」、世界トップ投信企業もコアサービスに採用済みか


世界最大の投資信託企業Vanguard(バンガード)が、今年2月から金融データ管理のためにブロックチェーン技術を使用していたことをForbesが明かした。


 
 
 
 
4次産業革命の一つの重要な柱と見なされている「ブロックチェーン技術」は、既に金融サービスへ大きな変化をもたらせている。

Forbesの報告によると、一般投資家向けの投資信託や上場投資信託(ETF)を普及させたVanguard社は、インデックスファンドに関する金融データの管理にブロックチェーン技術を活用しているようだ。

しかも、インデックスファンドを利用する何百万人もの顧客が気付いていない中、Vanguardはブロックチェーンの実装を今年2月から既に行っていたという。
 
 
金融大手初!?大規模なブロックチェーンの実装
 
Vanguardによるブロックチェーンの実装は、過去に報告されている金融機関による分散型技術の採用の中でも、特に大規模なものだと言えるだろう。

それというのも、運用資産の4分の1(約1.3兆ドル)に関するインデックスデータの管理において、Vanguardはブロックチェーンを今年2月から活用している。

また、既存システムの効率化を図るために採用されたブロックチェーン技術は、パブリックブロックチェーンではなく、ネットワーク参加者が限られる「プライベートブロックチェーン」。

明確には、米NY発スタートアップ「Symbiont」が提供するプラットフォームが使用されているという。

実際にVanguardが投資信託のインデックスに使用する情報源に変わりはないが、Symbiontのプラットフォームでは「データの取り込み」を自動化できるため、これまで手作業で行われていた業務の一部を「オートメーション化」できるそうだ。

インデックスデータの課題について、Symbiontは公式ページで次のように説明している。

米国では上場株式よりもインデックスファンドの数が増えている。公開株とは異なり、各インデックスにはカスタムな定義があり、発行元のみによって明かされる。そのような構成データを取得するには、電子メール、特注データフィード、および独自のインデックスプラットフォームを組み合わせる必要がある。

しかし、このようなプロセスには「継続的な調整が必要」だ。

実際にも、Vanguard社フィンテック戦略チーム責任者のワーレン・ ぺニントン氏は、有価証券データを含む個々のファイルを受け取った後に、そのデータを整備し、別のデータベースにロードして、正確性を確認するためのチェックを行う必要があったと述べた。

データチームのメンバーがCRSPのものと同じデータを同期することを一日中確認しなければならなかった。

 
 
ブロックチェーンで既存プロセス自動化を図る
 
一方、Symbiontが手掛ける分散型プラットフォーム「Assembly(アセンブリ―)」は、「インデックスが変更される度に更新される同期データベース」を提供し、これまで必要不可欠だったマンパワーを省くという。

 

出典:https://symbiont.io/technology

 

もちろん、単純作業が自動化するようなシステムに、必ずしもブロックチェーン技術を使用する理由はない。

それでも、Symbiontは「顧客の信頼」を高めるためにブロックチェーンを追求しており、(Assemblyでは特定参加者によってデータの安全性が保たれるため)金融機関が新興企業のデータ管理を信頼せずにプラットフォームを利用できることがセールスポイントになっているようだ。

Vanguardは今回のブロックチェーン実装は成功だったと報告しているが、ぺニントン氏によると「取引の決済」のような重要なプロセスにおいて同技術を採用する「準備はまだできていない」という。

分散型技術を採用することで既存システムの効率化を図る金融機関はVagaguardだけではない。

メガバンクHSBCは、為替取引貿易金融におけるブロックチェーン技術のユースケースの実用化を推進している。

また、金融大手JPモルガンは、イーサリアムブロックチェーンをモデルにした独自プラットフォームを展開した。

金融サービス業界以外にも、ソーシャルメディアや特に保険業界で大規模な「disruption (創造的革新)」が予想されているブロックチェーンだが、変革されていく様々なビジネスが今後どのように形作られるかに注目だ。
 
 


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