ビットコイン世代 Vs. ゴールド世代、ビットコインは「若い世代」のお金か


Euro Pacific CapitalのCEOピーター・シッフ氏とDCG社のCEOバリー・シルバート氏がビットコインとゴールドの有用性についてSALTカンファレンス2019で論争を繰り広げた。


 
 
 
 
(ゴールド)を推奨していることで知られる米著名リバタリアンが、ビットコインサポーターを難詰している。

ゴールドを推奨するEuro Pacific CapitalのCEOピーター・シッフ氏とビットコインに「All in(すべてを賭ける)」というDCG社のCEOバリー・シルバート氏がSaltカンファレンス2019でディベートを行った。

シッフ氏は現物がないビットコインに「価値がない」と見ている一方、シルバート氏はビットコインの資産としての優位性や国際規模の金融包括を実現するポテンシャルを見出しているようだ。
 


 
 
ゴールドの使い道は?
 
インフレや金融政策の影響を受ける法定通貨は良しとしないシッフ氏だが、ビットコインにも価値を見いだせていないようだ。

シッフ氏によると、ビットコインを含めるドル、ポンドなどの「fiat(ゴールドのような現物と交換できない不換通貨)は最終的に崩壊するという。

一方で、「本当のお金」であるゴールドは、1,000年後にコンピュータチップを作ることができるため「長期に渡って価値を失うことがない」と主張した。

これに対して、バリー氏はWorld Gold Councilの統計を基にコンピュータチップや歯科に使用されているゴールドの年間需要が減少していることを指摘。
 

出典:Gold supply and demand statistics

過去9年間で電子機器におけるゴールドの需要は15%減少したが、スマホの売上は500%増加している。

上図からも読み取れるように、ゴールドの供給量が一定なのにも関わらず、テクノロジー分野におけるゴールドの需要は実際にも減少傾向にあるようだ。

しかし、シッフ氏はゴールドの主なユースケースは「宝飾品」だと述べ、マイニングのような継続した電気消費を必要としないゴールドの「価値の保存手段」としての有用性を強調した。
 
 
「努力なし」で超ハイリターンを実現する!?
 
シルバート氏によると、若い世代がゴールドをこれからも継続して「価値の保存手段」として認識する可能性は低いという。

今後25年間で、68兆ドルの富が若い世代へ受け継がれる…若い世代は、両親や祖父母のようにゴールドを見ていない。金本位制や戦争の時に、私たちは育っていない。

そして、この「68兆ドル」の全て従来のようにゴールドへ割り当てられることはないと主張。

また、ゴールドの市場規模が8兆ドルなのに対して、BTC市場が1,000億ドルであることを指摘し、資産価値が2倍になるのに「ゴールドは沢山失敗する必要があるが、ビットコインの場合は(努力が)必要ない」と付け加えた。

しかし、このコメントに対してシッフ氏は、「若くて経験のない愚かな子供がビットコインを買うだけだ」と透かさずに切り捨て、「成長するにつれて学ぶだろう」と言い添えた。
 
 
市場規模8兆ドルの「神話」
 
幾度も弱気市場を乗り越えている当業界では盛んに技術革新が見られるものの、シッフ氏はBTC価格が「ゼロへ向かう」可能性の方が高いと見ているようだ。

その理由として、シッフ氏はゴールド保有者とビットコイン保有者の投資動機が根本的に異なることを指摘した。

人々は価格上昇を期待してビットコインを買っている。一方、インフレや通貨の価値が下がるのを恐れ、またいくらかの流動性を望んでいる人々はゴールドを購入している。価値の保存手段になるためには、価値が必要。ビットコインには価値がないため、将来のために保管する意味はない。

このコメントに対し、シルバート氏はビットコインが提供する価値について以下のように説明した。

ビットコインの可能性には2つある。まず、8兆ドルのゴールド市場を獲得すること…私の意見では、ゴールドは神話であり、価値の保存手段としての地位を失うだろう。もう1つは、(ビットコインの)使い道から生まれる価値だ。銀行口座を持たない人々に銀行サービスを提供できる能力。また、送金の費用を劇的に削減する能力。

 
 
ビットコイン世代 Vs. ゴールド世代
 
シルバート氏が指定するように、世代別の投資に対する意見が大きく異なることは度外視できない。

例えば、Deloitte社が報告した調査結果によると、若い世代(ミレニアル)を特徴づけるような価値観の一つに、ポジティブな「social impact (社会的影響力)」を与えることが挙げられるという。
 

出典:The Deloitte Global Millennial Survey 2019

 
そのため、「Social Impact Investment(社会的インパクト投資)」や政治・経済に対する「信頼が非常に欠如している」ミレニアムが、グローバル規模の経済包括を実現するポテンシャルを持ち、非国家主体なビットコインにより惹かれる可能性は否定できない。

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しかし、BTCが投機目的に使用されているというシッフ氏の指摘も否定し難い。

それというのも、BTC価格はピュアな需要供給によって上昇するため、将来のハイリターンを期待する投資家が集まれば集まる程上昇する。

しかも、シルバート氏やEarn.com創設者であるリリー・リュー氏が指摘するように、価格が上昇するのに「努力」はほとんど必要とされていないため、「詐欺ではないか」という見解も少なからず挙げられているある。

仮想通貨全般に対する社会からの注目度が高まる中、将来を担う若い世代がビットコインをどのように認識するかに注目だ。

 
 


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