Ripple&MoneyGram、戦略的パートナシップでリップル社製品の普及をブーストか


米サンフランシスコを拠点とするフィンテック企業「リップル」が、海外送金サービス大手MoneyGramの株式を買収する契約を交わしたことを今月17日にFortuneが明かした。


 
 
 
 
P2P取引による瞬時な国際送金を可能にした仮想通貨の登場により、送金サービス企業のような仲介者は存在意義が問われると同時に、これまでになく急速な技術革新を強いられている。

そんな中、国際送金サービス大手MoneyGramが、国際送金分野を分散型技術で変革するスタートアップ「リップル」と手を組んだようだ。

しかも、MoneyGramが主要ビジネスにXRPを使用するリップル製品を利用するという、XRPエコシスムの大幅な拡大を示唆するような戦略的な合意に両社はこぎついたという。
 

 
 
フィンテック企業と送金サービス大手の戦略的な提携
 
前述にあった2社による「戦略的な合意」は、より効率的な国際送金を実現するために技術革新を図る必要がある確立した送金サービス大手と、「打倒SWIFT」を掲げ、摩擦の多い既存送金インフラを新技術で変革しようとする新興企業の両社にとって利益をもたらすものだという。

まず、その内容の一つとしては、およそ3,000万ドルに値するMoneyGramの株式発行数全体の8%から10%を、1株当たり4.10ドルでリップルが取得することが挙げられる。

また、MonegyGramには、リップルからの2,000万ドルの追加資金注入の選択肢が与えられるという。

すなわち、リップルは2年間の有効期限を持つ今回の契約で、実質的に5,000万ドルをMoneyGramへ注ぐことになる。

その見返りとして、リップルはMoneyGramの主要パートナーとなり、XRPを用いた外国為替決済を実現するリップルのエンタープライズ製品「xRapid」がMoneyGramの主要ビジネスに利用されるようになるようだ。

国際送金においてオンデマンドな流動性を提供する同製品は、XRPを介して1つの通貨から目的の通貨へ瞬時に交換することを可能にするという。

これによって、従来の送金インフラのようにPre-Funding (支払い用積立資金)への依存を減らすことができるそうだ。
 

*国際送金におけるPre-Fundingとは、金融機関が決済義務を果たす前から決済口座に利用可能な資金がある必要があるという要件のこと。

例えば、米国の顧客が送金サービス(MoneyGramなど)を通じてアフリカの銀行(受取人の取引銀行)へ送金する際に、送金サービスが予め送っていた資金をこの銀行が利用する。これにより、SWIFTシステムを介した送金に要する時間を削減できる。

 

これにより、外貨為替におけるコストを削減できるだけでなく、MoneyGramが外国銀行口座を持つ必要性を省くため、「財務業務がより円滑になる」ことが期待できるという。

今回の発表を受けてMoneyGram社の株価は148%の急上昇を見せ、市場内時間外取引で約3.60ドルまで回復した。

また、直近1週間で約15%程価格が上昇しているXRPでも、同発表後に「約4%」の上昇が確認された。
 

出典:https://coincodex.com/

 
 
リップル社CEO:クリプト業界の「マイルストーン達成」
 
今回の発表後に、リップル社CEOのブラッド・ガーリングハウス氏がBloombergのインタビューに応じた。
 

 
国際送金における顧客が抱える「本当の問題」を解決することにリップル社は焦点を当てているとで語った同氏によると、世界2番手の送金サービスとの提携には「業界にとって大きなステップだ」という。

世界最大級の送金サービス企業Western Unionがリップル社製品に関して「既存システムよりも高価」と報告している中、「MoneyGramはリップル製品を使用することでコスト削減を達成できるのか」というインタビュアーからの質問に対して、ガーリングハウス氏は次のように述べた。

(WesterUnionは)私たちのβ版製品が、彼らの最適化されたシステムに匹敵するものだと言った。私の見解としては、彼らが何十年も掛けて投資した製品に私たちのβ版製品が同等であることに嬉しく思った。

それでも、リップル社製品はMoneyGram社の既存システムを効率化できると述べ、特にPre-fundingにおけるコストをXRPが削減できることを強調した。
 
 
リップル社に忍び寄る影?
 
同インタビューでは、リップル製品の潜在的なライバルとなり得るフェイスブックのステーブルコインに関しても触れられた。

ガーリングハウス氏は、フェイスブックの取り組みは「仮想通貨やブロックチェーン市場にとって非常に前向きなシグナル」だと述べたが、現時点でリップル製品がフェイスブックと競合するかどうかまでは定かではないようだ。

それでも、フェイスブックの新技術が「リップルの脅威になるか」という質問に対して、フェイスブックは「消費者向けの企業」である一方で、リップル社は「エンタープライズのインフラを提供し、世界中の支払いネットワークを繋げている」ことをガーリングハウス氏は指摘。

また、現時点ではフェイスブックのコインは「テクノロジーの準備が出来ていなく、リリースされるのは2020年だと聞いた」と付け加えた。
 
 
Pre-Fundingによって眠っている世界の金融機関の決済口座(=ノストロ・アカウント)が約5兆ドルとマッキンゼー社によって報告されている。

ガーリングハウス氏は、リップル技術によってこの資金が潜在的により効率的に使用可能になると主張しているが、そんなリップルの新たな国際送金インフラのビジョンに賛同する金融機関は今後も増え続けていくのだろうか。

分散型技術によってこれまでの国際送金に関する常識が変化している中、そんな技術革新を牽引するリップルの動向に注目だ。

 


 
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