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ウォール街の「抜け道」、米規制当局ではなくブロックチェーン技術がIPOを救うか
- 2019/6/6
- 仮想通貨の基本情報, 仮想通貨の最新ニュース
テクジャイアントUberの新規公開株(IPO)主幹事証券会社であるモルガン・スタンレーが、株式を保有しない空売りを行っていたことについて、20年以上のウォールストリートの経験を持つケイトリン・ロング氏がコメントした。
ライドヘイリングで知られる米テック企業Uber社の株価が、本日になってようやくIPO価格まで回復した。
主幹事証券会社のモルガン・スタンレーが(一般的には違法な)「naked short selling(ネイキッドショートセリング)」を行っていたことをCNBCが明かしたことで、株式市場の欠陥が改めて顕著になった今回のIPOだが、この問題をブロックチェーンで解決できるかもしれない。
少なくとも、ウォールストリート経験22年のケイトリン・ロング氏はそのように思っているという。
アメリカ規制当局SEC公認の「抜け道」
そもそも手放す株式を確保せずに売り契約を結ぶという「ネイキッドショートセリング」は違法行為だ。
市場価格を下落させて自らに有利な相場を形成することで利益を稼ぐ行為は、株価を適正価格から遠ざけるだけでなく、株式市場や実体経済の混乱を招く可能性がある市場操作だと一般的に見られている。
(ビットコイン救世主として知られるパトリック・バイアン氏は、ゴールドマンサックがこのような不正行為に手を染めたとして7年以上裁判で戦った。)
しかし、投資家保護を掲げるSEC (米国証券取引委員会)は、思いがけないことにもIPOにおいて2015年からネイキッド・ショート・セリングを認めている。
"NAKED SHORTING was generally outlawed after the financial crisis, but…it has continued in the institutional investing world & remains common practice…Naked short selling as part of a syndicate in an IPO is still legal, according to SEC rule." 🤢🤮🤬 https://t.co/jGEB6Fp9Ce
— Caitlin Long 🔑 (@CaitlinLong_) May 15, 2019
ネイキッドショートセリングは金融危機後に非合法化されたが、機関投資家の世界で続いており一般的な慣習であり続けている… SECのルールでは、ネイキッドショートセリングはIPOの債券発行引受組合にとって合法だ🤢🤮🤬
一般的に、IPO引受企業(例えばモルガン・スタンレー)は、IPO開始後最大30日間まで発行者(例えばUber)が当初に設定した発行枚数よりも最大「15%」多い株式を売却することが可能だ。
この仕組みにより、下落する株価を支えるために引き受け企業は公開市場から超過分の株式を購入(=グリーンシューオプション)できる。
しかし、今回モルガン・スタンレーのような証券会社が行ったネーキッドショートセリングでは、超過分15%の株式が引受人によって売却され、後でそれらが公開市場で買い戻される。
銀行がこれを行う理由としては、(投資家へダメージを与えながらも)損失を被るリスクを減らせることが挙げられる。
そもそも銀行にとってIPOは「ハイリスク・ハイリターン」なもので、仮に株式が設定したIPO価格を下回って取引された場合には大きな損失を生み出す。
しかし、SECがネイキッドショートセリングを許可してからというもの、仮にIPOが円滑でない場合でも銀行は株価の低下から利益を得ることが可能だ。
その一方で、IPO投資家にはこのような保護が全くない。
ブロックチェーンで株式発行枚数を制限できる!?
ブロックチェーン新興企業「Symbiont」の元チェアマンでもあるウォール街のベテラン、ケイトリン・ロング氏によると、株式をブロックチェーン上で発行することでネイキッドショートセリングの問題は解決できるという。
それというのも、従来のシステムでは発行済みの株式数よりも多くの株式を簡単に発行できるが、ブロックチェーン基盤のシステムではそれが不可能。
そのため、有価証券がトークン化された「セキュリティートークン」が普及するにつれて、例えSECが許可しようともネイキッドショートセリングを行うのが困難になる可能性が高い。
ブロックチェーン技術でウォールストリートの「mischef(悪事)」を改善しようとするのは、ロング氏だけではない。
例えば、BTC救世主として知られるOverstock.com創設者兼CEOのバイアン氏も、ウォール街による「市場操作」の問題を解決するセキュリティートークンプラットフォーム「tZero(ティー・ゼロ)」を手掛けている。
☞ビットコイン救世主、「ブロックチェーン革命のポテンシャルは何よりも大きい」
もしUber株式がブロックチェーンで発行されていたら、株価のパフォーマンスはどのようなものだったろうか。
ブロックチェーンによる従来の金融業界の「disruption(破壊的創造)」に注目だ。
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