NY州司法長官が法的圧力をかける、「テザー」へ向けられた疑惑

テザーと深い関係性を持つビットフィネックス取引所が、ニューヨーク州司法長官から顧客資産と企業資金合わせて「8.5億ドル」の損失を隠蔽をしているのではないかと睨まれている。
 
 
「唖然としたがビックリしていない」という米ワイオミング州でクリプト関連の規制整備を進めるケイトリン・ロング氏のツイートが、今回の報道に対する業界人の多くのリアクションかもしれない。

それというのも、かねてより問題視されていたテザーの「準備金」に関する話題が再び浮上した。

しかも、今回は投資家保護を最優先し、仮想通貨規制を強化している米NY州の法律を破ったとして、関係者が最高裁判所へ出頭を求められているようだ。
 
ビットフィネックス、8.5億ドルの損失隠蔽か

「発行、配布、交換、広告、交渉、購入、投資アドバイス、または証券の販売」をNY州のライセンスなしに促進した、という理由で米NY州司法長官であるレティシャ・ジェームス氏によって訴訟された、iFinex社

かねてよりビットフィネックス取引所とテザーを運営するフィンテック企業として知られている。

出典:FILED: NEW YORK COUNTY CLERK 04/25/2019 04:15 PM

米国在住のユーザーまたは米法人に対するサービスを中止した同取引所だが、訴訟内容には地元トレーダーが積極的に同取引所とステーブルコイン「テザー(ティッカー:USDT)」を利用してる疑いがあると記述されていた。

しかし、これは同取引所が抱えている問題の氷山の一角と言えよう。

それというのも、ビットフィネックスは行方不明となっていた8.5億ドルをカバーするために、テザーの準備金に手を出した可能性があるという。

私たちの調査では、テザーの管理もしているビットフィネックス取引プラットフォームの運営者は、顧客資産と企業資金合わせて8.5億ドルの損失を隠蔽をしている

この「8.5億ドル」は、スイス金融ライセンスを所有するGlobal Trade Solutions A.Gが親会社となっているパナマを拠点とする「Crypto Capital Corp.」へ書面による契約または保証なしに送金されたものだ。

これに関して、Crypto Capitalの代表はポーランド、ポルトガル、米国の政府機関が没収したと主張しているが、何かしらの「詐欺」が関与しているのではないかと提出書類には書かれていた。

また、ビットフィネックスはこの額の埋め合わせとしてテザー準備金の少なくとも7億ドルを損失および取引プラットフォームからの出金処理のために使用していた可能性があるという。

尚、ビットフィネックスは損失について投資家と情報共有を一切していなかった。

Tetherは危険!ワイスレーティング社によるテザーの報告
 
今回の報道について、十分にUSDTの価値を担保していないテザーは「部分準備銀行制度の下ビジネスを展開する銀行と同じ」だ、と一部の業界人は指摘した。

これは、USDTが米ドルと1:1で価値が裏付けられていると認識されていることが多いからかもしれないが、公式サイトには準備金について以下の様に記載されている。

「準備金」とは、伝統的な通貨および現金同等物を意味し、これには他の資産および時折テザーが関連会社を含める第三者に対して行うローンによる売掛金も含まれる場合がある

実際にも、USDTの価値が裏打ちされていない、というわけでなないようだ。

今年3月19日にテザーとビットフィネックスは、融資限度9億ドルで「3年間契約金利6.5%」という取引を交わしており、これはDigFinex社が保有していた「iFinex社の6千万株」を基にしたシェアチャージ契約で成立している。

テザーは、その約1週間後の同月27日に、Crypto Capitalのアカウントに入金していた6.25億ドルをCrypto Capitalのビットフィネックス口座へ振り込んだ。

8.5億ドルの行方を失ったことを隠蔽していたビットフィネックスや、同取引所と深い関係性があるテザーは、これからユーザーからの信頼を回復するのに一苦労程度では済まないだろう。

 
 


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