KPMG、ビットコインはまだ「価値の保存」として使えない

ビットコインの開発普及に進捗がみられる中、それが日常的に使われるようになるためには、どのような課題を乗り越えなければならないのだろうか。

四大監査法人の1つであるKPMG社の調査報告によると、ビットコインが「価値の保存」手段として扱われるようになるためには、クリプト業界が従来の金融機関によって再定義される必要があるという。

仮想通貨に対する信頼が欠如している!?金融サービスの必要性

Institutionalization of Cryptoassets(クリプト資産の機関化)と名づけられたKPMB社のレポートによると、「信頼性」と「拡張性」が仮想通貨から欠如しているため、それを価値の保存や交換手段として使用できないそうだ。

出典:KPMG公式サイト

また、クリプト業界が安定した成長を遂げるためには、従来の金融機関によるサポートを得なければならないという。

これに関して、KPMGチーフ経済学者であるConstance Hunter (コンスタンス・ハンター)氏は、

「広範囲に及ぶ金融サービスが増加することで、トークン経済への信頼やその規模が拡大し、市場の成長と成熟に繋がるだろう」

とコメントした。

具体的には、フィンテック企業、銀行、決済機関、取引所、ブローカー・ディーラーおよびその他の大企業による市場参入が必要不可欠だという。

これらのような主要機関の関与が仮想通貨のようなグローバル規模の経済システムに存在する「摩擦や非効率性を低減する」、とKPMGは見ているようだ。

仮想通貨市場のこれから、「規制」の必要性を改めて確認

また、今後同業界が直面する課題の1つとしては、「規制への準拠」が挙げられるという。

ビジネスが規制当局へ明確に製品を定義する必要があると同時に、包括的な法的パラメータを定義するような規制当局によるアプローチが、大企業の市場参入を促すとした。

また、近い将来の仮想通貨市場について、

「新しいビジネスモデルと市場参加者が、今後数年間で大幅にクリプト業界を再定義することだろう」

と述べ、金融機関や大企業に配慮した規制の重要性について指摘した。

特に米国で仮想通貨に関する規制が強まる風潮にある中、業界が前進するためには金融機関や大企業による市場参入が不可欠だ、とKPMGは先を見据えているようだ。

原典:KPMG: Cryptocurrencies like Bitcoin are Not Store of Value [Yet]

ここまでの内容と考察

KPMGが仮想通貨市場に関するレポートを公開し、クリプト業界には金融機関からのサポートが必要だと報告したという、今回のニュース。

クリプト業界初期の理念からはかけ離れたような内容ですが、将来的な世界規模の仮想通貨の普及を踏まえると、やはり従来の金融機関の強力を得ることは重要なのかもしれませんね。

今回の報道に関し、ツイッター上では以下のような声が挙げられていました。

「KPMGの報告によると、仮想通貨の価値は第三者の必要性を排除する能力にあるが、信頼できる第三者機関へそれが普及するまでは、合法的な資産クラスではない(!)」

最近では仮想通貨の資産管理サービスの誕生によって機関投資家の市場参入が期待されていますが、これを行う企業は紛れもない「仲介者」。

もちろん、ビットコイン市場の動きや市場参加者の数に影響を与えるかもしれませんが、仮想通貨はそのようなサービスを前提としていません。

そもそも仮想通貨は、銀行や中央集権型の機関が発行するようなお金なしで、価値の交換や保存を実現させようとしています。

仮想通貨の普及は、今後どのように進めていくことができるのでしょうか。

先進国だけでなく、政治・経済が腐敗しているような国における仮想通貨のユースケースにも注目が集まりますね。

今後も「仲介者の存在」を前提としない、仮想通貨普及に注目していきましょう!