KIN財団、イーサリアムを見限り独自ブロックチェーンへ

拡張性問題」がプラットフォームの商用利用を妨げていると問題視されている、イーサリアム。

「分散型プラットフォーム」の代名詞とも言える同プラットフォームだが、実際にそれが大衆が利用できるような拡張性を持つようになるまで後数年掛かると言われている。

そんな中、欧米で人気メッセージアプリKik (キック)が、イーサリアムから自社開発した分散型プラットフォームへ移行する計画を明かした。

ステラですら手数料高!?手数料「ゼロ」を目指す

約3億人のユーザーを誇るメッセージアプリ「Kik(キック)」に導入される仮想通貨として大きな注目を集め、昨年9月に実施したICOでは100億円以上の資金調達に成功している、Kin(キン)財団。

同財団は、多大なユーザー数を抱える同アプリにおける取引に使用される仮想通貨において、イーサリアムの「拡張性問題」が致命的だと見なしており、イーサリアムとStellar (ステラ)の二種類のブロックチェーンを採用する方針を以前から明かしていた。

>> 北米人気アプリ「Kik(キック)」が2つのブロックチェーン同時使用!

しかし、非常に安価と言われているステラの取引手数料ですら「高価」だと今年5月に判断し、手数料を完全に排除できるようにステラからハードフォークを実施したという。

これにより、高い拡張性を持つだけでなく、ユーザーが「手数料ゼロ」で使用できる分散型アプリを実現する思惑だ。

これについて、キン財団創設者兼CEOであるTed Livingston(テッド・リビングストン)氏は、

「私たちのビジョンと戦略は、1つのブロックチェーンに1つのKIN。これを支えられるインフラ構築に向けて進化を続けている。」

と期待のコメントを寄せた。

また、同財団ブロックチェーン開発者であるGadi Srebnik (ガディ・シュレブニック)氏は、KIN公式ブログで、

「独自ブロックチェーンへ完全移行すると、(ステラとイーサリアムの両方を使う場合に必要となる)スワップ(トークン交換)の複雑さが解消され、2種類のKinトークンが混在することがなくなる。これは、取引所とアプリの両方におけるトークンの統合プロセスを簡素化できるだろう。」

とイーサリアム・ステラプラットフォームから移行することの利点について説明している。

ロードマップを短期間の内に数回変更している同財団だが、独自のブロックチェーンを構築することにより、実用性のあるユーザー向けの分散型アプリを開発できるかもしれない。

原典:Kik Selects Stellar Over Ethereum for Token Launch

ここまでの内容と考察

キン財団が、イーサリアムから独自のブロックチェーンへ移行するという、今回のニュース。

やはりイーサリアムの拡張性問題は、キックメッセンジャーのようなユーザー数が多いアプリにとって、「深刻な問題」なのかもしれませんね。

この報道に関し、ツイッター上では以下のような声が挙げられていました。

「キントークンにとって、久しぶりに強気なニュースだ。独自のブロックチェーンへ移行することにより、取引所への上場を容易化させ、セキュリティに関する問題を解決する。これは、実際に使用される仮想通貨となるための大きなステップだ。」

ちなみにですが、イーサリアムの他にも、いわゆる「パブリックブロックチェーン」の全てが拡張性の問題に直面していると言われており、例えば、従来の金融機関がそれを使用するのは「不可能」だと言われています。

やはり、

イーサリアム/ステラで資金調達

独自ブロックチェーンへ移行する

というような流れが、現段階のパブリックブロックチェーンではどうしても必要なのかもしれませんね。

また、今後キン財団のような取り組みを始めるプロジェクトも増加してくるかもしれませんね。

「分散型プラットフォーム」としてイーサリアムのユースケースや、それを利用するクリプトプロジェクトの動向に今後も注目していきましょう!