香港規制当局、「仮想通貨禁止は意味なし」

日本や米国などの先進国で、「規制が強化される」という風潮が高まっている、現在の仮想通貨市場。

香港の金融監督当局も、仮想通貨取引プラットフォームを規制することによって「投資家保護」を強化することを検討している。

しかし、規制当局がそれを取り締まれる範囲は、あくまでも「証券取引法に限られる」と、SFC(香港証券先物委員会)の委員長は語る。

一国のクリプト取引「禁止令」、海外の取引所を使うだけ

「国境を越える本日のインターネットでは、仮想通貨取引禁止は意味ないだろう」

前述のように述べたのは、SFC委員長であるCarlson Tong Ka-shing(カールソン・トン・カ-シン)氏。

「例えそれを国内で禁止できたとしても、海外プラットフォームを使って取引を行うことは容易だ」

と付け加えた。

中国本土が仮想通貨取引を「完全に禁止」しているのに対し、投資家へ「注意を喚起する」だけという姿勢を取っているSFC。

しかし、機関投資家が参入したり、市場が成長するにつれ、SFCは正式な規則枠組みを設けることを強いられることとなるだろう。

それでも、同規制当局の取り組みは、「証券取引法」に限定されるとカ-シン氏は主張。

また、

「有価証券ではない可能性があるプラットフォームへ対する規制は、慎重に検討する必要がある」

と仮想通貨の規制確立を焦るべきではないとした。

そんな仮想通規制が未だ明確化されていない香港で、Circle(サークル)創設者兼CEOであるJeremy Allaire (ジェレミー・アレア)は、新たなライセンスや規制の枠組みに関して、香港当局と積極的に協力するという。

「投資家の保護」と「デジタル資産の長期的な可能性を確保する」という二点に焦点を当てた規制の確立に注力を注ぐそうだ。

今年6月に発表された年次報告書では、仮想通貨市場を監視し、必要に応じて罰金を科す、と述べているSFCだが、果たして明確な方針が立てられるのは「いつ」になるのだろうか。

原典:Hong Kong to Propose Regulation for Cryptocurrency Trading

ここまでの内容と考察

未だ香港の仮想通貨規制が曖昧な中、SFC委員長がそれに関して比較的仮想通貨に肯定的な姿勢を見せたという、今回のニュース。

やはり「技術革新」を促進しながら、「規制」を確立するというのは、並大抵のことではないようですね。

ちなみにですが、上述で話題になったカ-シン氏は、海外政府の仮想通貨規制にも興味を持っており、それらと「情報共有をしていきたい」とも語っています。

これは仮想通貨規制を検討する多くの政府の意見と似ており、あまり突飛な行動を取らないで「とりあえずは様子見」、という保守的な姿勢。

この辺は、他の国に先駆けて仮想通貨規制の枠組みを確立させようとするマルタ政府と対照的ですね。

国境なし」、「金融の自由」、「仲介者排除」などを掲げ、正直規制当局にとっては頭が痛いようなビジネスを展開しようとする仮想通貨スタートアップ。

社会が大きく変化する境目が、開発、規制、知識の共有が難航する、「本日」なのかもしれませんね。

今後も各国の仮想通貨規制や、その方針に注目していきたいですね。