銀行危うし!?世界貿易におけるブロックチェーンへの期待

銀行危うし!?世界貿易におけるブロックチェーンの使い道

ブロックチェーン技術のユースケース(使い道)において、世界貿易での活躍が期待できるという調査結果が先日発表された。

問題はやはり銀行?

世界貿易は、一般的に「信頼」できる機関からの長期投資(設備投資)や短期投資に大きく依存している。

「Trade Finance(貿易金融)」とは、この短期投資のことを指し、世界貿易の大部分を支える基盤だ。

そんな貿易金融では、銀行が「仲介者」となり、商品の製造、出荷、支払いの受領などにおける国際取引のタイムラグを橋渡し、リスクを軽減させるような役割を果たす。

しかし、その仲介手数料はなんと世界の貿易総額の3分の1以上を占め、毎年数兆ドルに相当する。

また、大手銀行は、企業の「評判」(信用記録)に基づいてのみ資金を提供。

信用度は高いが、定評のある企業ほど評判が良いとは言えないスタートアップは、金利上昇、信用状手数料の増加、必要資本の増加などの様々な問題に直面する。

そのため、従来のインフラは新規事業の発展や多様化を阻害していると言われている。

仲介者は必要ない!?

世界経済フォーラムとベイン&カンパニーが共同で行った調査によると、ブロックチェーン技術を採用することで、貿易金融市場に1兆ドル(約111億円)追加できるそうだ。

世界の貿易金融ギャップ(望ましい水準と実際の差)は現在1.5兆ドル(約168兆円)で、2025年には2.4兆ドル(約269兆円)にまで拡大すると見込まれている。

そんな背景の下、ブロックチェーン技術がより普及することで、この欠落した1兆ドル分の資金を削減できると研究者は主張した。

分散ネットワークは、サプライチェーンに沿って金融機関間で業務記録を共有し、企業の信頼性に透明性を持たせることを可能にする。

そのため、

「ブロックチェーン技術は、信用リスクを軽減し、手数料を削減し、貿易障壁を取り除くのに役立つだろう。」

と貿易金融におけるブロックチェーン技術の潜在的な可能性について研究者は考察した。

また、ブロックチェーン基盤の貿易金融システムは、貿易金融ギャップの7%(1050億ドル)を占め、サプライチェーン全体取引の75%が「書類ベース取引」であるアジア経済にとっては、特に有益であると付け加えた。

原典:Malta is Eying the Waves Cryptocurrency to Tokenize Financial Assets

ここまでの内容と考察

世界貿易におけるブロックチェーン技術のメリットに関する調査報告が発表されたという、今回のニュース。

他の業界と比べ、比較的古いインフラが現存するこの業界でのブロックチェーン技術のユースケースは様々な利益をもたらすでしょうね。

また、上述のように、銀行のビジネスは少しずづ縮小されるかもしれません。

しかし、アジアサプライチェーン全体取引の75%が賞類ベースということを考えると、従来のシステムから分散型システムへの移行には少し時間がかかるかもしれませんね。

今後も仲介者の必要性を無くし、より効率的で公平な仕組みを構築できるブロックチェーン技術のユースケースに注目していきたいですね。