バイナンスショック Part. 2、BTCブロックチェーンの再編成でハッカーへの報復は無理か


バイナンス取引所CEOが、ハッキング後のAMAセッションで、ブロックチェーン再編による流出金の処置について言及したものの、直ちにその可能性を否定した。


 
 
イナンス取引所が7,000BTCを流失した一件は、同社CEOも戸惑うような思いがけない方向へ事が進んだようだ。

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流出量がバイナンスのBTC保有量2%であることや緊急時の資産を確保されていたことからも、今回のハッキングに対するコミュニティの焦りはほとんど見られず、市場も全くと言っていい程反応しなかった。

また、アナリストの報告では、バイナンスはたった47日間で流出額と同額の収益を上げられるという。

そんな中、ハッキング後のAMAセッションに参加したバイナンスCEOチャンペン・ツァオ氏が、BTCブロックチェーンを再編を検討していること示唆するコメントをしたことが物議を醸した。
 
 
BTC取引をリバースするのは「勝ち目のないゲーム」

どうやら事の発端は、ハッカーがバイナンスから首尾よく奪い取った7,000BTCに対して、BTCブロックチェーンの「Re-Org(再編)」を提案したビットコインコア開発者ジャーミン・ルービン氏のツイートから始まったようだ。

ブロックチェーンの再編とは、マイナーへの経済的な動機付けをすることでネットワークのハッシュパワー51%を獲得し、ブロックチェーン上に既に記録されている過去の取引を無効にするというアイデア。

ルービン氏はこれを推奨するツイートをバイナンスCEOのAMAセッションが開始する2時間前に呟き、バイナンスチームがそれを1時間前にツァオ氏と共有。

その後、「頭がいっぱいだった」とその時を振り返るツァオ氏が、AMAセッションでブロックチェーン再編の可能性について言及したという流れだ。

これまでにも大規模な取引所ハッキングがある度にブロックチェーンの再編は議論されてきたが、それが実際に行われたことは一度もない。

それというのも、不可能だとは言い切れないものの、複数のマイニングプールとの共謀の困難さやそれに付随するコストなどを踏まえると、痛手を負った取引所にとって合理的なアプローチとは言い難い。

また、BTC開発者ジミー・ソン氏が指摘するように、取引所を襲ったハッカーもマイナーと共謀するという「勝ち目のないゲーム」になる可能性も十分考えられる。

長期の訴訟が弁護士だけしか利益をもたらさないのと同様に、再編のシナリオで利益を得られる唯一のプレイヤーはマイナーだけ。バイナンスまたはハッカーからマイナーへお金が流れるだけだ。ビットコインプロトコルはこのように設計されたもので、(過去の取引履歴を)変更するのは非常に高価。

それでも、アリ・ポール氏を始めとする一部の業界人がBTCブロックチェーンの再編の実現可能性を肯定したり、Blockstream社CEOのアダム・バック氏を始めとする多くがブロックチェーン再編は「起こらない」と切り捨てるなど、コミュニティの意見は割れた。

また、ブロックチェーンの再編について言及した張本人であるバイナンスCEOはそれが現実的だとは考えておらず、あくまでも「検討しただけ」であることを強調。

「(バイナンスはブロックチェーン再編を)やりたくないし、出来ない」と続け、BTCネットワークのセキュリティの頑強さをアピールした。

実際のハッキングよりも、バイナンスCEOの発言に対する批判の方が多いという奇癖を見せたクリプトコミュニティだが、業界全体としてもBTCに関する思考実験や復習をするいいきっかけとなっただろう。

 
 


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