本当のクリプトじゃない!?Weiss社が「ステーブルコイン」を評価しない理由

価格変動が少ない仮想通貨の総称として最近よく耳にするステーブルコインは、「仮想通貨じゃない!」と主張する業界人がいる。

仮想通貨に対する批判において必ずと言っていいほど挙げられる、価格変動の問題。

価格変動は新興市場に付き物かもしれないが、日常的に使える決済通貨としての仮想通貨の普及を妨げているとも言えるだろう。

そのため、最近ではステーブルコインへの関心が高まっている。

しかし、そんな価格変動がない「仮想通貨」にも問題は少なからずあるようだ。

クリプト格付け企業Weiss社アナリストであるユアン・ビラバーデ氏が、法定通貨によって価値が担保されるステーブルコインは「本当の仮想通貨」ではないと発言した。

なぜWeiss社はステーブルコインを評価しない?

「ステーブルコインは、単に(法定)通貨の代理として機能するデジタル資産であり、それが価格が安定している理由だ。しかし、それは人々がコントロールする新しいお金という仮想通貨の核となる使命を達成していない。」

このように述べたのは、以前から従来の金融の仕組みを仮想通貨が変革すると提唱している、ビラバーデ氏。

☞銀行ビジネスは終わり!?仮想通貨がもたらす4つのグローバル変革

ステーブルコインが価値の安定したデジタル通貨であることは認めるものの、それは「本当の仮想通貨ではない」と述べた。

同氏によると、一般的なステーブルコインが機能する理由は以下だという。

1.ステーブルコイン発行者は、(銀行などの)資産管理機関を介して法定通貨を保有する。

2.(ステーブルコイン運営母体は、)保有している法定通貨額に相当するトークンを作成する。

3.トークン価値を、米ドルのような法定通貨と固定する。

4. トークンは取引所で売買可能であり、それが法定通貨と交換できる限り価格は維持される。

一方、仮想通貨の特徴は以下だそうだ。

1. 仮想通貨の価値は、いかなる中央集権型の機関によって直接的または間接的に管理されない。

2. 仮想通貨は没収されることはなく、また没収される可能性のある法定通貨にも依存しない。

3.(取引における)どちらかの当事者が破産した場合に生じる、「カウンターパーティリスク」がない。

また、上述の特性を持つような純粋にデジタルで、他の資産価値に影響されない仮想通貨は「歴史史上初の資産」だと付け加えた。

dApp (分散型アプリ)が普及するプロセスで、大衆が仮想通貨に慣れるためにステーブルコインが短・中期的に重要な役割を果たすと予想する、ビラバーデ氏。

しかし、発行母体がトークン供給量と同等の法定通貨を保持できなかった場合、そのトークンエコシステム「全体の構造が不透明になる」ことを強調。

また、法定通貨がベースの既存金融システムそのものが不安定になった場合、ペイパルなどの一元管理されたフィンテックサービスに似ている一般的なステーブルコインは、「一掃される可能性がある」と指摘した。

このように、仮想通貨はそもそも中央集権型の機関を信頼する必要性を排除するために設計されたのにも関わらず、法定通貨で価値が裏打ちされたステーブルコインはそれに矛盾して発行母体への信頼を必要とする、という根本的な問題があるようだ。

そのため、真の仮想通貨だけがより頑強で持続可能な新たな通貨モデルを長期的に提供できる、とビラバーデ氏は結論付けた。

ビットコインを始めとする分散型の仮想通貨の目的とは異なる法定通貨で価値が担保されたステーブルコインだが、それの「あり方」が今問われている。

原典:Stablecoins Are Not True Cryptocurrencies

ここまでの内容と考察

Weiss社のビラバーデ氏が法定通貨で価値が担保されるステーブルコインについて言及したという、今回のニュース。

銀行口座を持てない人々にとってステーブルコインは便利かもしれませんが、法定通貨への依存にはリスクがあるようですね。

ちなみにですが、全てのステーブルコインが法定通貨で価値を裏打ちされているわけではなく、例えばMaker(メーカー)は仮想通貨で担保されています。

☞米著名ベンチャーキャピタル、ホロウィッツ流「ステーブルコイン」投資の儲け方

最近では便利な電子マネーサービスも多い中、果たしてステーブルコインはトレード以外の場面で活躍できるのでしょうか。

今後も仮想通貨の価格変動や新しい種類のステーブルコインに注目していきましょう!

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