DirtProtocol創設者、分散型アプリのこれまでの成功率は「0%」

「クリプト製品が登場する!」という期待が高まっていたのにも関わらず、ビットコインに続くような分散型アプリが全く見られなかった、2018年仮想通貨業界。

主流ITメディアが報道するように、昨年のブロックチェーンを基盤とする分散型アプリの成功率は「0.00%」と言えるだろう。

このような現状を踏まえ、 当業界は何を理解し、実行に移さなければならないのだろうか。

どうやったら業界全体として「次のフェーズ」へ進めるだろうか。

Dirt Protocol (ダート・プロトコール)創設者であるYin Wu (イン・ウー)氏によると、仮想通貨スタートアップは製品開発に対するマインドセット(思考様式)を改善する必要があるという。

これまでの成功率は0%、仮想通貨業界が受け止めなければならない「3つ」の問題とは?

「ブロックチェーンアプリの構築とローンチにおけるプロセスが壊れている。反復や学習に専念できるような低リスク環境内で作業するのではなく、プロジェクトが失敗しやすくなるようなルールに従っている。製品が構築される前にその製品を先行販売することにより、非現実的な期待をユーザーに持たせ、プロジェクトは失敗する。」

上述のように、Coindeskへ寄稿した記事でブロックチェーンを基盤とするプロダクト開発の問題を指摘したのは、ダート・プロトコール創設者ウー氏。

具体的には、以下の三つの問題が現在の仮想通貨業界にあるという。

1. 仮想通貨愛好家をなだめるために、(目的を達成するための手段ではなく)分権化が「答え」であるという前提で開発が進められている

2. プロジェクトに関する重要な決断が、コミュニティの声に左右されている

3. アイデアと理論を重視する市場では、ホワイトペーパーがプロジェクトの「出発点」ではなく、「最終製品計画」のように扱われている

これらの問題に対し、まず「分散化」という哲学を説くだけでは大衆市場での成功を収めることは困難であるとウー氏は述べ、ユーザーや消費者の問題を特定するなど「基礎に戻る必要がある」とした。

また、コミュニティの声を尊重し過ぎるプロジェクトは、ユーザーの声に耳を傾けながらも、 ユーザーが単純に欲しているものを与えずに、本当に求めているものを与えるべきだという。

ホワイトペーパーが最重要視されている現在の仮想通貨業界だが、「良い考えは始まりに過ぎない」という従来のテクノロジー企業の教訓を生かすべきだと語る、ウー氏。

特に、「繰り返す」ことに焦点を当て製品開発を進めることを強調し、次のように述べた。

「スマートコントラクトや分散型ネットワークを構築するための製品開発が遅い理由は、ミスの危険性が高すぎるため。ユーザーの意見を参考にして学習するのではなく、チームはまず単独で開発を繰り返し、その後意見を得るべき。」

そのため、プロジェクトはリスクが低い小規模な製品をより迅速に展開することを推奨した。

大衆向けのプロトコールが誕生すると言われている2019年、果たして次のブロックチェーンを使用する「キラーアプリ」を生み出すようなプロジェクトは登場するのだろうか。

原典:‘0% Success’: Why Blockchain Apps Just Aren’t Taking Off

ここまでの内容と考察

ダートプロトコール創設者ウー氏が、仮想通貨スタートアップの製品開発に関する問題点を指摘したという、今回のニュース。

前述にもあったように、分散型アプリを展開することで成功している仮想通貨企業は、現状では存在しないと言えるでしょう。

分散化という概念は非常に重要かもしれませんが、そのような概念だけでクリプト製品が従来のものを置き換えるとは考えにくい。

GmailやYahooメールなどの「中央集権型のサービス」を使用しているユーザーの中で、システムの仕組みまで気にかけている人は、ほとんどいないと言っても過言ではないですよね。

情報漏洩が問題となった後、実際にフェイスブックを辞めたユーザーは世界にどれくらい存在するでしょうか。

利便性が高く、多くの人が使用しているため、いくら問題があってもなかなか離れることが出来ませんよね。

いくら従来の仕組みが不公平で問題があったとしても、ブロックチェーン技術や他の分散型技術を基盤とする新たな「キラーアプリ」が誕生しない限り、なかなかそれが爆発的に普及するのは難しいかもしれません。

しかし、最近では既に確立したビジネスが、ブロックチェーンを既存サービスに採用するなど少しずつ変化が見られます。

フェイスブックもステーブルコインの開発を手掛けていると報道されていますよね。

☞ステーブルコイン開発にFacebookが乗り出す!インド国際送金市場をターゲットか

ちなみにですが、IOHK社代表取締役であるチャールズ・ホスキンソン氏は、先進国と発展途上国でクリプト製品の普及の仕方は異なるという興味深い発言しています。

☞カルダノ発案者・IOHK代表取締役が語る「新時代のガバナンスとカルダノの今後」

業界全体としてまだまだ課題は山積みかもしれませんが、金融包括を含める今まで解決されたことのない大きな国際的な問題を解消できるようなポテンシャルを持つ当業界の発展に、今後も期待していきたいですね!

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