クリプト規制強化か、米SECが本格的なICOの取り締まりに乗り出す

SEC(米国証券取引委員会)が、ついに本格的にICOプロジェクトを取り締まり始めたようだ。

主要ICOプロジェクトの2つが未登録証券の販売を行なったとし、SECがそれらへ罰金を科した。

このことについて、SKobre & Kim(コブア&キム)社の弁護士であるJake Chervinsky (ジェイク・チャービンスキー)氏が独自の見解を明らかにした。

米SECが動き出す、規制は「あえて」曖昧に

分散型取引所EtherDelta(イーサ・デルタ)創設者に対し、証券取引法の違反で約4400千万円の支払いを求めたことが記憶にも新しい、SEC。

>>シビアなSEC、分散型取引所「イーサデルタ」は証券取引法違反か

そんな米規制当局は、Paragon(パラゴン)とAirFox(エアーフォックス)という10億円以上の資金調達に成功しているICOプロジェクト2つへ、今週の初めに罰金を科した。

この動きは、主要プロジェクトを取り締まることでICO規制の先例を確立することが狙いだと見られており、SECは今後数カ月の間に米ICO市場を一掃するつもりだという。

SEC施行部の共同ディレクターであるStephanie Avakian (ステファニー・アバキアン)氏によると、現時点では数十個のICOプロジェクトがSECによって調査されてるようだ。

今回のSECによる取り組みに関して注目すべき点としては、どのようなトークンが非証券対象とみなされるのかという「明確なガイドライン」を規制当局があえて提示していないことだ。

証券訴訟を専門とする弁護士チャービンスキー氏によると、これは「enforcement by guidance (執行による指導)」と呼ばれる戦略で、市場における規制を確立させることや法的闘争を避けるために、SECは明確なルールを規定することを避けているという。

これについて、同氏は以下のように説明した。

「明確なルールを必要とする業界にとってこれは非常に不快になる可能性がある一方、規制当局はこれを好む。なぜなら、自由裁量で規制を行えるからだ。 SECが裁判所で不確かな法理論をテストすることはめったにない。例えば、あるトークンが有価証券であるかどうかという判断のような大きな問題で(裁判に)負けた場合、SECは業界全体を規制する戦略に失敗させる可能性がある。これを避ける最善の方法は?ルールを曖昧するということだ。」

このように、ガイドラインの提示を控えることで、クリプト規制をより有利に進めていくことをSECは目論んでいるようだ。

今回話題となったような証券取引法以外にも、経済制裁マネーロンダリングなど様々な規制に引っ掛かるであろう仮想通貨。

米国による厳しい仮想通貨規制は、まだ始まったばかりだろう。

原典:Lawyer: Phase Two of SEC’s Enforcement is Slow, Painful Grind For Crypto

ここまでの内容と考察

SECによるICOプロジェクトへの規制が強まっているという、今回のニュース。

以前から仮想通貨に対して否定的だった米規制当局が、さらに規制強化したという形になったようですね。

SECが発表した仮想通貨規制に関して、以下のような考察がツイッター上で挙げられていました。

「もしトークンを発行して証券として登録していなかった場合、罰金を払い、投資家にそれを知らせ(必要なら)返金する。新しいICOは、登録、開示、トークン販売。」

米国がこのような仮想通貨規制を進める中、果たして他の国はどのような方針を打ち立てるのでしょうか。

ここまで規制が本格的になってくると、米国ではICOでなく「STO」の動きがより活発化するかもしれませんね。

今後も先進国のクリプト規制に注目していきましょう!