FRB議長が「真剣に検討」、米中央銀行による「より迅速な決済システム」の可能性


FRB(連邦準備制度理事会)の議長ジェローム・パウエル氏が、民間の金融機関が提供する既存決済ネットワークと競合するような中央銀行版の迅速な決済システム開発を「真剣に検討している」ことをPOLITICOが明かした。


 
 
 
 
いに米国の中央銀行が新たな決済システム構築へ向けて動き出すかもしれない。

FRB議長パウエル氏が、中央銀行による一般消費者や企業向けの「リアルタイム決済システム」の構築を検討していることを米上院議員への書簡で明かした。
 
 
FRB、大手銀行の市場独占を妨げるか
 
パウエル氏によると、確立した決済インフラや1万行以上の銀行との関係性を築いているFRBは、民間部門のプロバイダーによって提供される既存インフラよりも、効率的でより迅速な決済を可能にするシステムを提供できるという。
 

(FRBが提供する)より迅速な即時決済は、国内の銀行が現代的、革新的、そしてより安全で速い支払いサービスを構築するための基礎を築く…これらのより迅速な支払いサービスは、資金管理を柔軟にし、いつでも支払いを行うことを可能にすることで個人と企業に明白な経済的利益をもたらす。

 
また、パウエル氏は迅速な決済システムにおける競争の欠如は「価格設定とサービス品質に関して望ましくない結果」を招いたり、「単一障害点」を生み出す可能性があると指摘した。

実際にFRBが新たな決済システムを手掛けるかどうかは現時点では不明だが、連邦登録簿に提出された400以上のコメントの分析結果によると、「90%以上」がFRBのリアルタイム決済を支持したという。

この結果についてパウエル氏は最近の金利決定に関する記者会見でも言及しており、パブリックコメントが「圧倒的に好意的」だと述べた上で、新決済システムの構築を「慎重に検討している」と言い添えた。
 
 
中央銀行Vs. 大手銀行Vs.(フェイスブックコイン)
 
コスト面における民間の金融機関に対する中央銀行の絶対的な優位性を踏まえると、FRBと大手銀行間の緊張間が高まる可能性は否定できない。

それというのも、シティバンク銀行、バンク・オブ・アメリカ、またJPモルガン・チェースを含めるClearing House Association (全米自動資金決済センター協会)は、「PayCo」と呼ばれる有限責任会社の下で迅速な決済ネットワークを立ち上げるのに10億ドル以上を投資済みだ。

POLITICOによると、大手銀行は「反撃する準備」を整えており、FRBの新たな取り組みに疑問を投じる一部の議員を味方に付けているという。

一方、FRBは銀行バッシングで支持されるようになった上院議員エリザベス・ウォーレンやクリス・バン・ホーレン氏を含める米民主党議員から独自システム構築の支援を得ているようだ。

民主党議員は決済インフラを公益化するFRBの新システムを要求する法案を提出し、大手銀行によるモノポリーを妨げる目論見を立てているという。

また、アマゾン、グーグル、アップルを含めるハイテク企業から成るロビー団体も、「金融包摂」を可能にするFRBの新たな決済システムの必要性をかねてよりアピールしている。

(フェイスブックは同ロビー団体に参加していないものの、リアルタイム決済をブロックチェーン技術を基盤とする企業間コインによって実現するリブラプロジェクトの指揮を執っている。)

民間および公共部門へ大きな影響を与えるであろうデジタル通貨の登場や法定通貨システムの近代化に関する積極的な努力が見られる昨今、デジタル経済の発展が今後どのように進んでいくかに注目だ。
 
 


 
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