資産運用大手フィデリティ、待望のビットコイン資産管理サービス開始へ

大型の機関投資家が安心してクリプト市場へ参入するための環境が少しずつ整ってきている。

米資産運用大手フィデリティによって昨年設立された新会社「Fidelity Digital Assets」が、ビットコインの資産管理サービスおよび取引執行業務を開始した。

尚、現時点ではヘッジファンドやファミリーオフィスを含める5機関を顧客として迎えているようだ。

機関投資家はひっそりとクリプトを持っている!?

活気があるとは言い難い現BTC市場だが、Fidelity Digital Assets社執行役員のトム・ジェソップ氏によると、機関投資家はポートフォリオに「何らかの形」でBTCを長期的に追加することに関心があるという。

例えば、機関投資家は株式市場と相関関係がないビットコインを危機における「価値の保存」手段と見なしたり、価格変動に惹かれ取引のチャンスを伺っているようだ。

さらに同社がファミリーオフィス、ヘッジファンド、年金ファンド、そして寄付基金を含める約450機関を対象に調査を実施したところ、その約22%が既に仮想通貨を保有していることが判明したという。

これに関して、ジェソップ氏はThe Blockのインタビューで以下のように述べた。

「データを見てみると面白いことにも、まだアーリーアダプターの市場であり、投資家はリスクを取る傾向にある。ヘッジファンドやファミリーオフィスは年金ファンドや寄付基金よりも先進的だ。」

また、仮想通貨を現時点で保有している機関投資家は、ポートフォリオにおける仮想通貨の割り当てを今後5年間で2倍にすると報告したという。

しかし、機関投資家の多くは依然として仮想通貨分野への投資に対して「様子見」だと同氏は制する。

「ある時点で、魅力的な入り口があるだろう…しかし、それと同じ理由で、例え価格が高値より大きく下回っていても、早期に参入したくないようだ。」

また、機関投資家の多くが躊躇している主な理由は、仮想通貨市場の「ボラティリティ」であると指摘したものの、それは「市場構造が成熟するにつれて解決される」と付け加えた。

フィデリティのような金融大手が提供する資産管理サービスにより、これまで悲観的だった多くの機関投資家がクリプトに対して心変わりするかもしれない。

原典:Fidelity’s bitcoin custody business is live: a conversation with Fidelity Digital Assets head Tom Jessop

ここまでの内容と考察

フィデリティが資産管理サービスを開始したという、今回のニュース。

現段階で顧客数が決して多いとは言えませんが、これからの機関投資家の市場参入に注目が集まりますね。

ちなみに、前述のインタビューでジェソップ氏はここ半年の機関投資家の動向について以下のように述べています。

「まず、多くの仮想通貨ヘッジファンドが関心を示し、それに続くように資本を仮想通貨に配分することを経営陣に納得させたヘッジファンドとの話が出てきた。その後、ファミリーオフィスから問い合わせを受けた。しかも、幾つかは既に仮想通貨へ投資済みで、資産をフィデリティーの管理下に移したがっていた…それから、アドバイザーコミュニティ、ファイナンシャルアドバイザー、そして年金基金からの関心が見え始めた。しかし、彼らが資産を仮想通貨に資産を割り当てる準備が出来ているとは言い切れない…6-9か月前に年金基金が興味を持つようになるかと聞いてきたら、私は恐らく”ありえない”と答えていただろう。」

一見市場が冷え切っただけのような思えたかもしれない昨年の下半期ですが、着実に仮想通貨エコシステムは水面下で拡大しているようですね。

今後も機関投資家や金融機関による仮想通貨の取り組みに注目していきましょう!

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