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バイナンスリサーチ調査報告:ロングだけのポートフォリオ多様化は「非常に困難」か
- 2019/7/7
- アルトコインについて, 仮想通貨の基本情報, 仮想通貨の最新ニュース
バイナンスリサーチが仮想通貨同士の相関性に関する最新の調査結果を発表した。これまでアルトコインとの相関が強かったビットコインだが、BTC時価総額が139%増加した2019年Q2ではそれに変化が見られたようだ。
ポートフォリを多様化することは「何も知らない投資家がすることだ」という、伝説の投資家として讃えられるワーレン・バフェット氏の名言がある。
「ビットコインは殺鼠剤を2乗したようなもの」という名言も残している同氏だが、ポートフォリオに関するコメントには一理あるかもしれない。
(「buy-and-hold(購入&保有)」よりもテクニカル分析の方が効率的だという意見もあるものの) 当業界に精通している愛好家の中には将来性が見込める限られた銘柄のみに投資する人もいるのではないだろうか。
一方で、従来の金融市場のアナリストやファンドマネジャーは一般的に分散投資を好む傾向にあり、またポートフォリオを効率よく割り当てるために資産同士の相関関係に注目することが多い。
(例えば、「現代ポートフォリオ理論」によると、リスクが異なる様々な種類の資産へ分散投資することで、ポートフォリオのボラティリティを抑え、また長期的なリターンを得ることが出来るという。)
そのため、市場が成熟するにつれて仮想通貨市場でもクリプト同士の相関が精査されるようになるかもしれない。
少なくともバイナンスリサーチはこのような将来を期待しており、現市場における仮想通貨同士の相関性に関する調査を行ったようだ。
ほとんどの仮想通貨は同じ方向に動く?
まず、相関係数とは、一方の資産の価値が変化すると他方はどのように変化するかという関係性を示唆する「指標」のことで、必ず−1以上1以下の値をとる。
2つの資産が「正の相関」を示す場合、それらは同じ方向に動く傾向にあるため同様のリスクを共有すると見なせる。
一方で、2つの資産が「負の相関」にある場合では、それらが反対方向に動くことを示唆するため、一方の資産を他方に対するヘッジとして使用することが可能だ。
一般的に相関係数が「0.5を超える」または「-0.5を下回る」場合は、それぞれ「強い正」または「強い負」の相関があると見なされ、相関係数がゼロに近いケースでは2つの資産の関係が線形関係にないこと(=無相関)を示す。
これらを踏まえた上で、バイナンスリサーチが報告した「2019年Q2の時価総額が大きい仮想通貨同士の相関係数」は下図だ。
バイナンスリサーチによると、時価総額が大きい仮想通貨同士の相関係数は全体的に高く、大多数は他の資産と強い正の相関を示しており(平均: 0.57)、負の相関を示すペアはなかったという。
これは、特定銘柄のみに影響する要因(=ニュース、イベントなど)が実際に価格へ影響することが比較的少ないことや、それぞれのコインの価格が「全体的な市場の変化に影響される」ことを意味する。
それでも、例外としてはGoogleからのお墨付きをもらったLINK、複数の取引所から上場廃止を決行されたBSV、またバイナンス取引所が発行母体となるBNBは挙げられるという。
また、バイナンスリサーチによると仮想通貨同士の相関性における重要な要素には次の4つがあるようだ。
・バイナンス効果…XTZを始めとするバイナンスに上場していない銘柄は、他銘柄との相関性が比較的に弱い。
・コンセンサス…PoWを採用するコイン同士の相関は、そうではないもの同士よりも平均的に相関関係にある。
・匿名機能…DASHとXMRの相関係数が0.85であるように、匿名機能を持つコイン同士は強い正の相関を示す。
・相似的機能…XRPとXLMの相関係数が0.87であるように、相似的な機能を持つコイン同士は強い正の相関を示す。
また、2019年Q1とQ2の「平均相関係数の変化」は下図のようになる。
特に注目すべき変化としては、Q2に時価総額が139%増加したビットコインと、同期間の時価総額の増加が71%に収まったステーブルコインを含めるアルトコインの相関性が弱まったことが挙げられるという。
また、PoWを採用する銘柄同士の相関性が弱まったことや、XTZ、ONT、またTRXと他の仮想通貨の相関性が強まったことをバイナンスリサーチは指摘。
さらに、バイナンス取引所を介して資金調達が行われた「IEO」によって販売された仮想通貨に注目し、特に2019年にIEOが実施されたものは時価総額トップ7位以内にランクインしている仮想通貨と相関性が弱い、とバイナンスリサーチは述べた。
上図からも伺えるように、2019Q1に実施されたIEOで販売されたコイン(CELR、FET、BTT)は、時価総額が大きい仮想通貨に対して比較的低い相関系数を示している。
今回の調査の結論として、時価総額の大きい仮想通貨同士の相関係数が非常に高いため「ロングポジションのみで仮想通貨業界内で多様化を図ることは困難」だとバイナンスリサーチは述べた。
それでも、時価総額の小さい仮想通貨への投資やロング/ショートポジションの組み合わせなどの代替戦略は「市場により中立的な」ポートフォリオ構築に役立つ、と付け加えた。
最近ではブルーチップコイン(時価総額の大きい仮想通貨)を3年間保有しているだけでおよそ2,000%のリターンがあったという報告がされている中、クリプト市場の発展と共に仮想通貨ポートフォリオの割り当て方を一度考え直す機会が必要なのかも知れない。
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