企業用ブロックチェーン、マイクロソフトがIBMを超えたか

イーサリアムを始めとする「パブリックブロックチェーン」の利便性が問われている中、企業用ブロックチェーンの市場は拡大傾向にあるようだ。

ABIリサーチ社の報告によると、マイクロソフトのBaaS(ブロックチェーン・アス・ア・サービス)が、かねてより企業用ブロックチェーン技術開発に積極的であったIBM社を上回ったという。

Microsoft、「クラウド+ブロックチェーン」の多種多様なサービス

オラクル、アリババ、アマゾンを含めるブロックチェーンベンダーを対象に、ABIリサーチ社が市場調査を実施した。

イノベーション評価」として、市場浸透、概念とパイロットの証明、生態系サポート、また「実装評価」として、プラットフォームの多様性、主要機能、開発者リソース、自社製品との統合を考慮し、ランキングが付けられたという。

それによると、マイクロソフトは、幅広いサービスが実際に実装されているため、競合他社よりも優位だそうだ。

この結果に関して、ABIリサーチ社のディレクターであるMichela Menting (ミケラ・メンティング)氏は、以下のように考察した。

「IBMはより高度なパイロットをいくつか提供しているが、プラットフォーム上の幅広い選択や既存クラウドサービスとの統合により、実装面でマイクロソフトがリードしている」

同氏が指摘するように、マイクロソフトのクラウドサービス「Azure(アジュール)」は、クラウドサービス市場で世界第2位の市場シェアを獲得できるような非常に優良な製品。

また、マイクロソフトはイーサリアムの商用利用を促進するブロックチェーンスタートアップConsensys (コンセンシス)と提携しており、アジュールを利用する顧客はイーサリアムへ簡単にアクセスできるそうだ。

「8000億円」市場まで成長する!?BaaS市場の将来性

バンク・オブ・アメリカのリサーチャーであるKash Rangan (カッシュ・ランガン)氏は、BaaS市場が将来70億 ドル(約8000億円)規模になることが既に予測できる時期に入っていると以前報告している。

マイクロソフトやアマゾンのクラウドサービスは、ブロックチェーンサービスを展開することで効率化を図れると主張し、

「アマゾンは、ブロックチェーン技術の実装による漸進的なクラウドサービスの需要の恩恵を受けるとともに、サプライチェーンにおける追跡能力を改善することで、小売業務をより効率化できるだろう」

と「ブロックチェーン技術+クラウドサービス」の利便性について、同氏の顧客へのメッセージで記述していた。

パブリックブロックチェーンの開発の進捗が難航する中、プライベートブロックチェーンは既に本格採用されつつあるようだ。

原典:Bank of America Analyst: Blockchain as a Service Market to Reach $7 Billion

ここまでの内容と考察

BaaSにおいて、マイクロソフトがIBMを上回っているとABIリサーチ社が報告したという、今回のニュース。

ブロックチェーンが、企業によって採用され始めていることが伺えますね。

しかし、ステラと提携していることで知られるIBMも様々な取り組みをしているようですね。

「分散化」の概念とは少し離れ、どちらかというと既存のサービスを「効率化」するということに焦点を当てているブロックチェーン技術とクラウドサービスの融合プラットフォームですが、果たしてBaaS市場はこれからも拡大していくのでしょうか。

クラウドサービスの市場シェア1位のアマゾンウェブサービスの動向には着目したいですね。

今後もブロックチェーン技術の認知度を高めるBaaS市場に注目していきましょう!