ハーバード暗号学者、そもそもブロックチェーン技術は「必要ない」

「ビットコインではなく、ブロックチェーン」とよく言われているが、これは本当だろうか。

そもそもブロックチェーンという革新的な技術は、本当に必要なのだろうか?

実際にも、ブロックチェーンを採用したことで何かに成功したという専門分野は現在でも存在しない。

そんな中、米ハーバード大学の暗号学者であるブルース・シュナイアー氏によると、ブロックチェーンに「存在価値はない」という。

ブロックチェーンはいらない!?技術に対する〇〇欠如

ハーバード大学暗号学者であるシュナイアー氏が、Wiredの記事で「パブリックブロックチェーン」を厳しく批判した。

ネットワーク参加者が限定され、一般的に企業向けと言われているプライベートブロックチェーンは「完全につまらない」と主張するシュナイアー氏によると、誰でもネットワークに参加できる「パブリックブロックチェーン」にですら価値はないという。


出典:014 Keynote Can Blockchain Technology Solve The Social Problem Bruce Schneierからのスクリーンショット

まず、同氏は議論の前提として、以下の三つの特徴を持つ「パブリックブロックチェーン」をブロックチェーンと見なすとした。

1.出来事がどのような順番で起こったかという記録が公開されており、台帳に記録された過去の出来事を誰かが変更できない。

2. 全ての台帳が同じであることを確かめるために、(PoWのような)「コンセンサスアルゴリズム」が採用されている。これに於いて、特定のノード(ネットワーク上のコンピューター)を信頼しない。

3.ネットワークへ参加する「動機付け」を調整するために必要な要素である通貨(デジタルトークン)が存在する。トークンの取引は、台帳に記録される。

 

また、2に於いて、データ維持やマイニングに必要な電気消費量を考慮した上で、ビットコインはこれまでになく「高価なコンセンサスアルゴリズム」を持っている、と付け加えた。

知らない人同士がどのように「信頼」できる?

同氏によると、これら3つの特徴を持つブロックチェーンを巡る議論の核心は、どのようにネットワーク参加者間で「信頼」が築かれているか、ということだそうだ。

「信頼には、個人的なものがある。例えば、 “友人を信頼する”と言う時は、友人の意図を自分が信頼し、その意図が行動に反映されることを意味する。 また、信頼には個人的でないものもある。他人の動機やその人を個人的に知ってなくとも、将来の行動を信頼できる。ブロックチェーンは、この種の信頼を可能にする。ビットコインマイナーを(個人的に)知らなくとも、彼らがプロトコルに従ってシステム全体を機能させることを信頼できる。」

また、同氏によると、社会には人々に「信頼」できる行動を奨励するための4種類のシステムがあるという。

最初の2つは、「道徳」と「評判」。

これらは小規模なコミュニティには十分だが、大規模なものには委任を始めとする形式的な対応が必要だという。

(これに関して、Holochain代表がこちらでわかりやすく説明している。)

3つ目は、集団の規範に従って行動することを促す規則や法律があり、そうしない人々に制裁を課す、「機関」。

すなわち、ルールを作ることによって、「評判」を形式化・パターン化しているわけだ。

4つ目は、ドアロック、警報システム、監査システムなどの「セキュリティシステム」。

これら4つの要素が、信頼を可能にするために連携して機能している、と同氏は説明した。


 

テクノロジーへの信頼が「落とし穴」、結局は中央集権化されている!?

これらを踏まえた上で、ブロックチェーン技術が本質的に行なっていることは、人や機関への信頼の一部を「技術への信頼」にシフトすることだと同氏は語る。

すなわち、既存システムが人や企業への信頼を必要とするのに対し、ブロックチェーン技術が提供する解決策はプロトコルや暗号技術を始めとする技術へ信頼を移しているということ。

しかし、それはテクノロジーが絶対的な信頼を必要とする「単一障害点」になっている、とも理解できる。

また、仮にビットコインの「暗号技術」には問題がなくとも、人々はビットコインを信頼しない、と同氏は強調。

システムのセキュリティを評価するには、仮想通貨エコシステム全体を考慮に入れる必要があるとし、以下のように述べた。

「取引所がハッキングされた場合、お金を全てを失うことになる。ビットコインウォレットがハッキングされた場合、お金を全て失うことになる。ログイン情報を忘れると、お金を全てを失うことになる。スマートコントラクのコードにバグがあると、お金を全てを失うことになる。誰かがブロックチェーンのセキュリティをハッキングすることに成功すると、お金を全てを失うことになる。多くの点でテクノロジーを信頼することは、人々を信頼することよりも困難だ。監査する専門知識を誰も持っていないようなシステムと、(従来の)人が関わる法的なシステムのどちらを信頼する?」

つまり、例えBTCネットワークび頑強なセキュリティがあったとしても、それを取り巻くエコシステムのセキュリティや未知な部分が多い技術そのものが、多くのユーザーからの信頼を損なわせているという。

また、一部の取引所にユーザーが集中していることや、少数のマイニング機器製造企業が市場を独占していることについて言及し、中央集権化の問題が完全に解決されていない、と同氏は付け加えた。

最終的な結論としては、パブリックブロックチェーンは重要なセキュリティ問題を一切解決せず、それへの「誤った信頼自体がリスクになる」とのこと。

さらに、仮想通貨は「使い物にならない」とし、投機家、法定通貨を好まない人々、および闇市場でお金を交換する方法を望んでいる犯罪者によってのみ使用されている、と主張した。

インフラ構築は進捗していると言われているものの、果たして技術を完全に「信頼」できるような日は来るのだろうか。

原典:THERE’S NO GOOD REASON TO TRUST BLOCKCHAIN TECHNOLOGY

ここまでの内容と考察

ハーバード暗号学者がパブリックブロックチェーンの必要性について批判したという、今回のニュース。

エコシステム全体や「信頼」を考慮した、仮想通貨やブロックチェーン技術に対する鋭い批判ですね。

パブリックブロックチェーンの必要性を吟味する上で、同氏は以下の質問をするべきとしています。

ブロックチェーンは、システムの信頼を「意味のある方法」で変更するか、それとも単にそれを他へ移すだけか?

信頼を検証に置き換えようとしているだけか?

既存システムの信頼関係を強化するものか、それともその逆か?

新しいシステムにおける信頼は、どのように悪用される可能性があるか?また、それは古いシステムにおける潜在的な悪用よりも優れているのか?

ブロックチェーンを使用しないシステムはどうか?

これらを踏まえた上で、同氏はパブリックブロックチェーンによる解決策を「選ぶべきでない」としたようです。

ちなみにですが、取引所を含める仮想通貨エコシステム全体への批判や、マイニングを採用するビットコイン自体への批判は新しいものではありません。

取引所やウォレットを巡る問題に関するインフラ整備は進捗しており、また膨大な電気量は新たな「金融インフラ」を構築する上では必要だという意見もあります。

(すなわち、既存のインフラを代替するようなネットワークの「セキュリティ」は、どんなに高価なコストが掛かろうが絶対的に高い必要がある、という見解です。)

しかし、パブリックブロックチェーンを基盤とする実用性のあるアプリが存在しない現在、それの存在理由が疑問視されるのは当たり前なのかもしれません。

パブリックブロックチェーンの特徴を「長所」として使用するような「キラーアプリ」は登場するのでしょうか。

様々なビジネスがブロックチェーン技術に興味を持っている今日、これからが楽しみですね!

今後も仮想通貨の普及やブロックチェーン技術の発展に注目していきましょう!

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