シティバンク銀行マックローリン氏、クリプト化された「未来のお金」を語る


シティバンク銀行のTony McLaughlin(トニー・マックローリン)氏が、ビットコインの誕生によって提示された「様々な通貨が競合するようなお金の近未来」について考察した。
 
 
こちらの記事は、マックローリン氏がEUROMONEYへ寄稿した「A Treasurer’s Guide to the Future of Money」と題されたシティバンク銀行のスポンサー記事の許諾を得た「日本語版リプリント」です。


 

 
 
融リスクの管理(金利、外貨など)、投資収益の最大化、収益と支出のマネジメント、資産と負債、短期および長期の資金調達…全てにはお金が関係している。

現代の会計を動かすお金の媒体は、見かけほど単純なものではなく、当たり前のものとして扱われるべきではない。
 



 
会計は、法定通貨システムにおける「商業銀行の層」という一つの金融スリップストリーム (何か他のものを残しながらも金融を支援する力)の下に動いている。

そもそも現代の法定通貨システムは、米大統領リチャード・ニクソン氏が米ドルから金への転換を一時停止したブレトン・ウッズ体制の終焉に由来するものだ。

過去には、コモディティのお金、何かを代理するお金、管理されたお金など様々な種類のお金があった。

それでも、何をお金として見なすべきかを決めるのが主権者の特権だということはバビロニア時代にまで遡る不変的なことだ。
 



 
新技術は、将来のお金には様々な可能性があるということを示唆するまでになった。

それぞれの可能性は、金魚鉢の液体の性質を変えるのと同じくらいの影響を会計へ与えることだろう。

私たちは今こそ現状に疑問を投げかけ、お金の未来についての議論すべきだ。
 



 
法定通貨システムに対する批判は暗号通貨が出現する前からあったが、2008年のビットコインホワイトペーパーは「watershed (流れを変えた)」瞬間だったと言える。

デジタル通貨の「二重払い」の問題を解決するのにおいて、ビットコインホワイトペーパーは独立国家のような主権者によって発行されないグローバル通貨が存在できることを示した。
 



 
2008年は金融危機の結果として実験的な金融政策の時代を迎えた年でもあったが、量的金融緩和マイナス金利のような政策は、いつか中央銀行が借金で刺激される経済モデルを支持するためのツールを使い果たしてしまうという印象を与えた。

また、法定通貨建ての社会的富と所得の不平等が、世界中でポピュリスト政治の台頭を引き起こすことに。

この結果は、法定通貨通貨システムのバグではなく、先天的な特徴であると主張する人もいるだろう。
 



 
1976年に発表された「The De-nationalization of Money(貨幣の国営化解除)」と題された論文で、ハイエクは民間によって発行される価値が安定してお金が、主権者の独占的な支配力を持つお金とを打ち倒すと議論した。

民間のお金が複数のコモディティによって価値が担保されるべきだと主張した彼は、そのようなシステムがどのように形作られ、実装されるかを段階的に示した。 

(金本位制に関する経済学で一般的な)グレシャムの法則は「悪いお金は、良いお金を追い払う」と説いている。

もし2枚のコインを持っていて、その内の1枚に切り込みがあった場合、あなたが使うのは一部が欠けている方(=悪いお金)であるように。

これと反対に、ハイエクは価値が安定した良い民間通貨が、価値が減少する悪い法定通貨を追い払うと主張。

この論文が発表された40年後に、大手企業が次世代のお金として「ステーブルコイン」の開発を手掛けたり、暗号通貨コミュニティから愛されるようになることをハイエクは予期していなかっただろう。
 



 
ステーブルコインは、第一世代の暗号通貨がお金として使用されることを妨げていた価格変動の問題を克服しようとしている。

これを実現するには、2つの方法がある。

1つ目は暗号通貨交換における供給のアルゴリズム管理による方法で、2つ目はトークン価値をゴールド、米ドル、米国債、または複数の通貨で担保する方法だ。

ステーブルコインの中には、しっかりと規制された親しみ深いPaypal、PayTM、Alipay、WeChat Payのような「電子マネー」のようなものもある。

他にも、国家の法定通貨システムと競合する民間主体のステーブルコインのような、ハイエクが思い描いていたビジョンを実現するもっと過激なものがある。
 



 
何千年もお金の独占を楽しんできた規制当局と政府は、お金のモノポリーに対する脅威に比較的楽観的だった。

しかし、テクノロジー大手によって発行されるステーブルコインの普及は、彼らの計算を変えるかもしれない。

そんな潜在的な未来を論議するためには、新しい用語が必要だ。

ドル化に対する)「クリプト化」は、国家が金融政策を遂行する能力が民間によるステーブルコインによって挑戦されることを示す有用な用語だろう。
 



 
各国の法定通貨と競合する国際的なデジタルマネーとして機能するステーブルコインの出現を意味する「クリプト化」は、一部の中央銀行に「CBDC(中央銀行デジタル通貨)」の発行を強いるような刺激になるかもしれない。

CBDCは、個人や企業が中央銀行と直接口座を開設するのを可能にすることを示唆し、国家が相手となるカウンターパーティーリスクのみを伴う通貨へのアクセスを可能にする。

また、利子を生み出せるCBDCは、中央銀行が経済および銀行システムにおいて、「新たな舵取り」が出来るようになる可能性を示す。

さらに、CBDCによる送金は、全ての既存決済システム、商業銀行および電子マネー機関を迂回可能だろう。
 



 
商業銀行システムとフィンテクが、金銭的優位を巡るCDBCと民間によって発行されるステーブルコインの間の激しい戦いに巻き込まれる可能性がある。

2つの全く新しい分野から発生するこの預金や支払いサービスの競争は、銀行システムの財政安定性と信用創造のプロセスに深刻な影響を与えるかもしれない。

 



 
世界の法定通貨システムではまだ明らかになっていないような変化に基づく、未来のお金の可能性があると言える。

RTGSACH、迅速な支払い、オープンバンキング、またその他の技術革新を含む「法定通貨の構造」の近代化は、21世紀の目的に適した「法定通貨システム 2.0」を提供するようになるかもしれない。

それは、より即時的で、透明性があり、費用対効果が高く、追跡可能な、デジタル経済の需要に応えるものだ。
 



 
結論としては、会計は法定通貨システムの中で機能するもので、それが彼らの居場所だろう。

暗号通貨と法定通貨の世界を合わせるのが難しいということについて、厳しい教訓から学んだ人もいる。

例えば、FX /資本管理国によって動かせない現金を、ビットコインを介して解放するのはよくない考えだ!

お金の性質が変わると、会計の役割も変わると言えるだろう。

それがCBDC、暗号通貨、または法定通貨システムのどれであろうと、未来は「ハイパー・コネクティッド (非常に繋がっている)」で、常にオンラインだろう。
 
 


 
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