中国ブロックチェーン革命、分散型ではなく「非仲介型システム」

取引を検証可能かつ永続的な方法でデータの記録できるオープンな分散型元帳、などと説明されることが多いブロックチェーン技術。

AIやIoTを含む全ての最新技術のインフラとなるWeb 3.0の中核となるものとして認識され始めている同技術は、様々な中央集権型の機関の分散化を図る「革命的」な一面を持つ技術としても一般的に見られている。

言い換えると、(西洋では)政治的なニュアンスも含める同技術だが、そのような思想を中国は全く気にしていないようだ。

ワシントンポストによると、中国はブロックチェーン技術を分散化や非中央集権化を達成するためのツールではなく「非仲介者システム」を実現するものと見なしているという。

中国の戦略は投資と規制?

「第13次5カ年計画」の一部にブロックチェーンを入れている中国政府の戦略は、ブロックチェーンの開発、革新、実装に多大な投資をする一方で、制御できないシステムを取り締まるというものだそうだ。

実際にも、中国は2017年までに他のどの国よりも多くのブロックチェーン関連特許を申請したり、中国開発銀行はブラジル、ロシア、インド、南アフリカとの研究協力に関する覚書に調印している。

また、地方自治体レベルでは、サプライチェーン管理、徴税、食品および医薬品の安全性などにおいてブロックチェーンが導入された。

一方、北京では仮想通貨交換業が禁止。

さらに、ユーザーコンテンツを中国政府が検閲また利用するために、ブロックチェーン企業は顧客情報を収集することが強制されている。

このように、一見ブロックチェーン関連の取り組みに意欲的なように捉えられる中国政府だが、実は同技術に対するビジョンは西洋の考えと根本的に異なるようだ。

それを如実に表すのが、過去に放送された州統制テレビによるブロックチェーン技術に関する特別番組。

同番組によると「ブロックチェーンの価値はインターネットの10倍」であるものの、中国政府のそれに対するビジョンは「分散化」ではなく、仲介者なしのシステム構築だという。

同番組に出演した中国当局者Xu Hao氏は以下のように言い切った。

「中心を取り除く方法はない。」

中国によるブロックチェーン関連の取り組みに関して、著名ブロックチェーン企業ConsenSysの執行役員であるビクトリア・アダムズ氏は中国のWeb 3.0は「オープンで透明なビジョンになることはない」と述べている。

また、「中国政府が管理する権威主義的システムになるだろう」と付け加え、以下のように続けた。

「このようなブロックチェーンにより、中国はWeb 3.0の条件を設定し、ベルト・アンド・ロードシステムを通過するデジタル通信、資産移転、および世界的な物流を管理することができるだろう。これは、米国の利益に深刻な影響を与える可能性がある。」

ブロックチェーン技術に対するビジョンは大きく異なるものの、他国よりも最新技術に積極的な中国の動向に注目が集まる。

原典:China is racing ahead of the United States on blockchain

ここまでの内容と考察

中国政府によるブロックチェーンの取り組みに関してワシントンポストが報告したという、今回のニュース。

最新テクノロジーに対して積極的な中国ですが、ブロックチェーン技術に対する見解は一般的に言われているものと大きく異なるようですね。

ちなみにですが、仮想通貨交換所が禁止されている中国ですが、中国投資家は継続して様々な方法でクリプト投資をしているようです。

☞中国政府vs.投資家、抜け道は「VPN」か

果たして中国が目指しているビジョンは実現するのでしょうか。

仮にそれが実現したら、どのような社会になるのでしょうか。

今後も中国を始めとする海外のブロックチェーン事情を追っていきましょう!

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