海外口座利用者はどうなる?課税タイミングや税金の確定申告は?

海外口座を利用者の仮想通貨取引にかかる税金の仕組み

仮想通貨取引をされている方の中には、海外取引所を利用されている方も多いのではないでしょうか。

国内取引所では取り扱っていない通貨や、ドルやユーロ建てで取引できるのも魅力の一つだと思います。

しかし、税金の申告では細心の注意。なぜなら、誤った認識や、課税制度について正確な知識を持っている方が少ないためです。

勝手な判断をしてしまうと、余計に税金を払う羽目になってしまうかもしれません。

そこで今回は、海外取引所を利用した際の課税タイミングや実際のところ税務当局にバレるのか?など、詳しく見ていこうと思います!

税金額は海外口座でも日本口座でも同じ

まずはおさらいとして、日本で課税される税金について見ていきます。

日本で仮想通貨に課される課税方法は「総合課税」に分類されます。

総合課税とは?

総合課税は、給与を含めた年間の総所得と合算し、その合計金額に対して課税をする仕組みを指します。

そんな総合課税の中でも、仮想通貨は「雑所得」という所得区分に分類されます。

仮想通貨取引による利益はこれらの所得と合算され、課税金額が決定します。

気になる実際の税率は以下です。

課税対象の所得金額(課税所得額)税率控除額
195万円以下5%0円
195万円~330万円以下10%97,500円
330万円~695万円以下20%427,500円
695万円~900万円以下23%636,000円
900万円~1,800万円以下33%1,536,000円
1,800万円~4,000万円以下40%2,796,000円
4,000万円以上45%4,796,000円

こちらに住民税10%が加算されるので、最大で55%もの税金が課せられるのです。

参考までに計算してみましょう。

仮想通貨による利益が400万で、給与所得が600万の場合(その他の所得がない場合)は、合計所得が1000万円なので23%の税率が課せられますね。

さらに住民税10%が一律でかかるため、33%の税金がかかる計算になります。

では海外の取引所を利用しているユーザーはどうなるのでしょうか?

答えは、海外取引所であっても国内の税制が適用されてしまいます。

つまり海外の取引所であっても、仮想通貨の売買などによって生じる利益に対してはしっかり税金を支払う必要があるのです。

ということは確定申告も必要ですね。

ただもしかしたらここまでの内容を踏まえて、「海外ならバレないんじゃないの?」と思った方もいるかと思います。

そこで、具体的な詳細を専門家に直接聞いて見ましたので次で見ていきましょう!

専門家に聞いてみた!海外口座に関する税金のQ&A

ネットに流れている税金に関する情報はどれも微妙に違う…なんてことあるかと思います。

しかも、税金に関する情報はかなりシビアなだけに、しっかりとした情報が知りたいですよね。

そこで今回、仮想通貨ニュース.com編集部は、海外移住をサービスとして提供しているOWL Hong Kong(オウル・ホンコン)さんに直接インタビューしてきました。

やはり気になるのは、「海外の取引所を利用していれば、確定申告をしなくてもバレないのではないか?」ではないでしょうか?

そこをピンポイントで聞いて見ました。

 

―昨年より話題になっている仮想通貨の利益に対する確定申告ですが、確定申告をしなかった場、税務当局が利益確定の情報を掴むことって可能なのでしょうか?
 

小峰:そうですね。日本の取引所を経由して行っている場合の情報は全て税務当局が把握していると言えます。

一方、海外にある取引所を利用しているユーザーも多いですね。

「BINANCE(バイナンス)」とか「Bittrex(ビットレックス)」とかですね。

こういった海外の取引所で行われている売買の情報は、税務当局に流れていない可能性が高いです。

例えば最近拠点をマルタに移したBINANCEは、金融ライセンスなどが必要のない国でやっていますし、日本の税制・規制対象になっていないんです。

日本では金融庁に登録してライセンスを取得しますが、BINANCEなどは規制当局の対象外。

ただ、最近では日本の金融庁も海外の取引所に対して

「日本の居住者向けのサービスをやめてくれ」

という警告を発していますし、それによってKrakenをはじめとする多くの取引所は日本から撤退もしています。

一方それは見方によっては、日本の金融庁に協力的だとも言えますので、もしかしたら今後海外の取引所が金融庁に情報を渡すというのも可能性としてはなくはないと思います。

 

―では、噂レベルでよく聞く話として、香港やシンガポールなどタックスヘブンの国に法人を立てて、その会社の名義で仮想通貨の投資をするということは節税になるのでしょうか?
 

本名:「海外に法人を立てれば単純に節税になる」というのは実際複雑で、簡単な話ではないんです。

小峰:問題なのが日本居住のまま、ただ法人を設立するだけということ。

実は私は2010年から香港にいるのですが、当時FXトレーダーによる香港法人の設立が多かったです。

それはまさに今お話しているように、香港に法人を設立してFXトレードを行えば日本の金融当局は把握できないだろうという思惑のもとでした。

しかも実際にバレていなかったのだろうと思います。

これと同じように、仮想通貨の売買においても香港法人でやってしまえば把握まではされないだろうというのはあります。

実際のところ、私のほうにも「上記のやり方なら大丈夫ですよね?」という質問はよく来ますが、バレていないだけで違法という場合もあります。

なので、それは大丈夫ですとは言えないんですよ。

バレなきゃいいというのでしたらどうぞご自由にとなりますが、これからの規制によってどうなるかわからないので、慎重にやったほうがいいですよね。

これからの規制によってどうなるかわからないというのは、最近各国の税務当局による国際協力が進んできているという背景があります。

つまり、これまではバレていなかった隠し財産もバレる可能性は年々高くなってきているという訳です。

本名:ちなみに他のケースで、

「お父さんの代で設立した香港法人があるのですが、それを利用すれば節税ができるのか?」

と質問を受けたこともあります。まあ20年以上前は香港も今より銀行のチェックが緩かったので、隠し口座のようなものができたのだと思います。

ただ先ほども説明した通り、今は銀行のチェックも各国の税務当局の国際協力も厳しくなってきているので、そういう面からも単に海外法人を設立すればいいってもんじゃないと言えますね。

やはり我々のような熟知している専門家にサポートしてもらいながら対応していく必要はあります。

 

とのことです。

ちなみにここではインタビュー内容を一部抜粋しましたが、こちらにインタビュー内容全編を公開していますので、気になる方はチェックしてみてくださいね。

>>55%の税金が実質ゼロ?海外移住で合法的に節税が可能

 

課税額の計算には注意!

海外取引所であっても、国内取引所と同様に申告する必要があります。ここではその計算方法について考えてみましょう。

課税タイミングとパターン

大きく分けて、仮想通貨に課される税金の課税タイミングは以下の3つです。

①仮想通貨を円に換金した場合
②仮想通貨で物を買った場合
③仮想通貨を別の仮想通貨にした場合

シンプルで理解しやすいのは、①でしょう。

上記の3点は日本であろうと海外の取引所であろうと変わらず、基本的に利益確定をした際に、購入時より利益が出ていたらその分だけ課税されます。

仮想通貨でモノを購入した際にも、一旦持っている仮想通貨を利益確定し、モノやサービスを購入するという過程を踏んでいるのです。

一見難しいようですが、基本は非常にシンプルなので上記3点は覚えておきましょう。

ちなみに当サイトに課税タイミングについて細かく紹介している記事もありますので興味のある方は是非!

>>仮想通貨の税金が課せられるタイミングとは?

 

脱税を考えない!確定申告は確実に

2018年から海外口座について自動的情報交換がスタートしているそうです。

自動的情報交換とは、諸外国との租税条約に基づく情報の提供をいい、この制度によって、例えば外国に預金を持っている人の預金情報が、日本の国税庁に自動的に連絡されることになるというものです。

これは先ほどOWL Hong Kongさんがお話していた、世界の取引所が協力し合ってきているということ。

そしてもちろん、義務があるにもかかわらず申告しなかった場合、税務調査によって未納が発覚する可能性があります。

税務調査によって150万円の未納がばれた場合を考えてみましょう。

この場合、ペナルティーとして課せられるのは、「無申告加算税」になり、計算方法は以下の通りです。

① 50万円まで:15%
② 50万円を超える分に対して:20%

つまり未納が150万円の場合、①が50万×15%=7.5万円、②が100万×20%=20万となり、合計27.5万円が上乗せされて徴収されることになるのです。

それに加えて2万円の滞納税がかかるため、キチンと申告していれば、100万円でよかったものが、130万円ほど支払うことになってしまいますね。

さらに調査の中で嘘をついたり、悪意持った隠ぺいなどが発覚したりした場合は、「重加算税」が最大で40%も加算されます。

ルールを守って申告することが結果的に節税につながるといえますね。

こちらに確定申告の方法や具体的な手順について紹介している記事もありますのでチェックしてみてください。

>>仮想通貨にかかる税金の対策や確定申告、計算方法などを完全網羅

 

仮想通貨の正しい節税方法

ここからは、しっかり税金対策をしていきたい正しい節税方法について考えていきます。

経費を利用する

まず一つ目は、経費を使う方法

仮想通貨取引による利益は雑所得になるとお伝えしましたが、雑所得は以下の計算で求められます。

雑所得=雑収入―必要経費

仮想通貨取引の場合、雑収入にあたるのは取引の利益です。そして、必要経費については、所得税法で以下のように定められています。

1) 総収入金額に対応する売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額
2) その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額

具体例を挙げて考えてみましょう。

「その総収入金額を得るために直接要した費用の額」とありますが、仮想通貨の取引をするためにかかったコストとは一体何でしょうか。

まずはパソコンやスマートフォンがないと取引できませんね。

また、インターネット環境を整える必要があります。人によっては通常以上の通信速度が必要かもしれません。

また自宅や事務所など取引のための場所が必要です。

これらをもとに考えてみると、パソコンの購入費用や、通信費、家賃などはコストと考えることができます。

ですが注意点としては、プライベートや仮想通貨取引意義にも使用している場合はそれらコストを全額経費計上できない場合もありますので、実際の申告の際は専門家のアドバイスを受けて下さい。

確定申告の時期には無料の相談サービスもありますので、そのサービスを利用するのも手ですね。

>>仮想通貨の税金アプリおすすめ5選!確定申告はこれでOK!

 

法人を設立して取引する

二つ目の方法は、法人化による節税

この方法は、個人に対する税率と法人に対する税率の差を利用したものです。

前述した通り、個人で取引した場合、4000万円以上の利益に対しては約50%の税率がかかるので2000万くらいは税金で持っていかれることになりますね。

一方で、法人資産として仮想通貨取引を行った場合の実効税率は約37%です。

4000万なら、税金の負担はおよそ1480万円になりますので、520万円の節税効果になるのです。

1億円の利益確定をすれば個人では5000万円のところを、法人なら3700万円で1300万円の節税につながります。

ただし注意点としては、法人で利益を出した場合その利益は全て法人の資産になり、個人のお金にはなりません。

自分のお金にするためには、給与として出すことになります。

ただし、給料として出すと、所得税や厚生年金などの支払いがありますので、実質的には37%よりは多少増えてしまうのです。

>>法人化で対策?節税効果やデメリットを解説

 

海外に移住する

日本の所得税法は、「非永住者以外の居住者」の国内外で発生した所得に対して課税されます。

「居住者」とは、我が国の所得税法では、「居住者」とは、国内に「住所」を有し、又は、現在まで引き続き1年以上「居所」を有する個人をいい、「居住者」以外の個人を「非居住者」と規定しています。

「住所」は、「個人の生活の本拠」をいい、「生活の本拠」かどうかは「客観的事実によって判定する」ことになります。

つまり、非居住者となれば日本の納税の義務の対象外となります。

「非居住者って、そんなのハードルが高すぎるよ」

と思う方もいるかもしれませんが、実はOWL Hong Kongという会社は海外移住に必要な手続きを全て代行してくれるサービスを提供しています。

日本での手続きはもちろん、シンガポールやマレーシア、香港をはじめとする海外での手続きまで全てパッケージでやってくれるのです。

特に多くの億り人はすでにパッケージを利用して移住しているそうで、実質0%の税制の国にも移住できるので大きいですよね!

興味がある方はお問い合わせしてみてはいかがでしょうか?

>>55%の税金が実質ゼロ?海外移住で合法的に節税が可能

 

まとめ

ここまで、海外に絡む仮想通貨について考えてきました。

海外の取引所を使えば全く違うと思っていた方もいるかもしれませんが、居住地が日本であれば結局は同じです。

そういう意味では、究極の節税はやはり海外移住かもしれませんね。

いずれにせよ仮想通貨取引をするのであれば基本的な知識は身に付けたうえで、実際の申告にあたっては専門家の意見を聞くことをおすすめいたします。