米国をついに超えたか、ICOパラダイス「シンガポール」の近状

仮想通貨税金の少ないことや、規制が明確なことから、様々な市場参加者から注目されているライオンの町、シンガポール。

米国におけるICO規制強化に伴い、「クリプトフレンドリー」な環境を求めて多くのプロジェクトが同国を目指している。

金融センター「シンガポール」、米国をついに超すか

ブロックチェーン分析会社エレメンタスの報告によると、米国では15プロジェクトが今年8月中にICOを行ったのに対し、それを上回る17プロジェクトがシンガポールで資金調達を実施した。

出典:The ICO market is not collapsing. It’s maturing.

上図のように、同月ではシンガポールで主催されたICOプロジェクトの数が米国を上回る結果となった。

2018年ICO市場の現状

弱気市場を理由にICOプロジェクトの数が減少しているのではないかという声がある一方、今年8月はICO全体で約14.66億ドル(約1660億円) が調達された。

これは昨年11月の強気市場で調達された約14億9000万ドル(約1694億円)とほぼ同額。

また、これまで約284億ドル(約3.2兆円) が調達されたと見積もられているICO市場だが、その大半は仮想通貨価格が過去最高値を下回った今年の弱気市場で調達されている。

投資家の「頭の良さ」が関係か

同社の報告によると、ICOプロジェクト間の投資家確保を巡る競争が高まっているという傾向が浮上しているという。

最低100,000ドル(約1100万円)の調達を「成功」と見なした場合、昨年6月の成功率が「84%」であったのに対し、今年8月にはそれがなんと「22%」にまで低下した。

これは、個人投資家や機関投資家の仮想通貨投資に関する「知見の深まり」が要因となっているのではないかと考えられている。

加えて、製品が存在せずにホワイトペーパーだけで1億ドル(約110億円)以上を調達することが困難になっているとのこと。

これらのことは、ICO市場が「成熟」し始めていることを示唆する、と同社は結論付けた。

最近では、有価証券がトークン化された「セキュリティートークン」を販売する動きが活発化する中、ICO市場の熱もまだまだ冷めていないようだ。

原典:Flippening? Singapore Hosted More ICOs than the US in August: Report

ここまでの内容と考察

シンガポールで行われたICO数が米国を上回ったという、今回のニュース。

シンガポールは、アジア仮想通貨業界の「ハブ(中心)」として注目されており、バイナンスやOkex(オーケックス)取引所を始めとする様々な仮想通貨企業の海外進出先となっています。

また、規制の曖昧さが懸念されるICOですが、シンガポール規制当局は「仮想通貨をカテゴリー化」するなど他国よりも仮想通貨規制が明確。

よりICOプロジェクトが進出しやすい環境が迅速に整えられています。

また、最近ではマルタやシンガポールに続き、韓国も積極的に仮想通貨企業を受け入れる体制を整えているとのこと。

この辺は、日本やアメリカ政府の仮想通貨規制に対する方針の違いが見受けられますね。

ベンチャーキャピタルを「民主化」するという、歴史的にも意義のあるようなICOに今後も注目していきたいですね。