米著名経済学者、米上院でビットコインをバッシング

ニューヨーク州議会に仮想通貨対策委員会を設置か!?

仮想通貨規制が強まる風潮がある米国で、ビットコインを巡る熱い議論がされている。

米国上院委員会によって開催された聴聞会で、ニューヨーク大学経済学者のNouriel Roubini(ヌリエル・ルビーニ)氏と、CoinCenter(コインセンター)のリサーチディレクターであるPeter Van Valkenburgh (ピーター・ファン・フォルケンバーグ) 氏の二人が、仮想通貨に関するを証言し、質疑応答を行った。

仮想通貨は、「詐欺で、不安定な、役立たずの技術だ」

前述のように米上院議員に訴えるのは、2008年の金融危機を正確に予測したことで名高い「Mr. Doom (壊滅の預言者)」の異名を持つルビーニ氏。

「2020年」に金融危機が再来すると公言したり、分散化というブロックチェーン技術の概念がただの「myth (作り話)」だとバッシングしたことで、同氏は最近大きな注目を浴びている。

イーサリアム創設者であるVitalik Buterin (ビタリック・ブテリン)氏を「独裁者」と呼ばわりするなど、業界人に対する否定的なコメントが目立つ同氏だが、ブロックチェーン技術に関する理解を欠くような発言も多いとも専門家から指摘されている。

今回の聴聞会でも、既存の銀行業務やフィンテックシステムがブロックチェーンが解決しようとする問題の「全て解決している」という、曖昧な主張を議論の軸に仮想通貨批判を繰り返した。

以下が同氏の発言を抜粋した内容だ。

「犯罪者とテロリストだけが仮想通貨を使用する」

「仮想通貨マイニングは環境に大きな害を及ぼす」

「仮想通貨ユーザーが望んている、政府や規制当局の関与がない分権化されたユートピアの概念は、非常に馬鹿げている」

「パンプや仮装売買などの広範に渡る腐敗が確認されている」

「ほとんどのトークンは、証券取引法に準じていない」

「ユーティリティトークンの物々交換のような仕組みは、石器時代に戻るのと同じことだ」

「大部分の企業が、ブロックチェーン技術がデータベースより優れていると認めていない」

「企業や政府は、パブリックブロックチェーンを使いたがらない」

ビットコインは、「犯罪目的」に使えない!?
今月31日にビットコインホワイトペーパーがリリースされてから10年の時が経つことになるが、世界がビットコインの恩恵を受けているか尋ねられた時、

ルービニ氏は「まったく恩恵を受けていない」とバッサリ切り捨て、それが犯罪者が匿名で送金するための「抜け穴」であると主張した。

一方、フォルケンバーグ氏は、アフガニスタンの女性起業家がビットコインによってビジネスを維持することができた事例について説明した。

アフガニスタンの銀行は「男性にのみ」口座開設をする権利認めていない。

そのため、彼女は夫の銀行口座を使用したが、彼が会社の資金を盗んだため、従業員への報酬を渡すことができなくなることがあったそうだ。

そんな中、ビットコインは従業員への支払いを可能にし、ビジネスを継続させたという。

また、ビットコインの「犯罪目的」なユースケースについて、規制当局はビットコイン送金を「大歓迎」していると、フォルケンバーグ氏は続けた。

過去の取引を全てを確認できるビットコインでは、従来の国際的な銀行システムよりも簡単にマネーロンダリングを追跡することができるそうだ。

仮想通貨やブロックチェーン技術の不確かな情報がネット上で散乱する中、より正確な情報を業界人ではない人々にわかりやすく「伝える」ことが、今後この業界の課題となるかもしれない。

原典:Dr. Nouriel Roubini vs. Bitcoin: Senate Hearing Breaks Down His Arguments

ここまでの内容と考察

米国上院委員会の聴聞会で、経済学者が仮想通貨をバッシングしたという、今回のニュース。

ルビーニ氏の発言全てが「間違っている」とは断定できませんが、事実とは異なる内容も少なからず含まれていることが懸念かもしれません。

また、上述のビットコインにおけるマネーロンダリングなどのユースケースですが、規制当局にとってより効率よく取り締まりができるようになる、という見解が多いようです。

取引履歴が全て公開されているビットコインは、犯罪にはあまり使えないのかもしれませんね。

ちなみにですが、ルビーニ氏はイーサリアム創設者であるVitalik Buterin(ビタリック・ブテリン)氏やJoseph Lubin (ジョセフ・ルービン)氏に対しても「挑戦的」な態度を見せ続けています。

「議論に勝っている」と強気な姿勢を見せ続ける同氏ですが、果たして彼の見解は正しいのでしょうか?

ビットコインに関する規制当局の方針が少しづつ形づけられる中、今後はどのような議論が繰り広げられるのでしょうか?

今後も著名人の発言や業界の変化に注目していきたいですね。

様々な専門分野を持つ人々が意見を直接ぶつけ合うのは、仮想通貨業界特有の「醍醐味」かもしれませんね。