大手術開始、イーサリアムが「第三次ブロックチェーン」になるまでの道のり

ICOトークン発行プラットフォームとして大注目されていたイーサリアムに、大きな変化の時が訪れようとしている。

大衆向けにはまだ使えない?急ピッチで行われている「大手術」とは

「イーサリアムは、農場で乗り回すような軽トラからレースカーへ変化している。」

このように述べるのは、イーサリアム開発者であるLane Rettig (レーン・レティッグ)氏。

同氏は、coindeskの取材に対し、イーサリアムがEOSやCardanoなどの俗に「第三次ブロックチェーン」と呼ばれるプラットフォームと競合できるように急ピッチで開発が進められている、「EVM(イーサリアム仮想マシン)」について説明した。

プラットフォームを構成する数万のノードから成るEVMは、スマートコントラクの発動やトークン取引などプラットフォーム上全ての情報処理を実行する。

(*ノードとは、ネットワークに能動的に接続されている電子デバイスのこと。)

また、EVM上で実行されるスマートコントラクトは、「Solidity」 というプログラミング言語で記述され、最終的にEVM上の「EVMバイトコード」という機械言語に変換され発動する。


出典:Python Boot Camp

(*プログラミング言語は人間でも比較的簡単に扱える言語だが、人間は機械言語を直観的に扱えない。そのため、最初はプログラミング言語で記述され、それが機械言語に変換されるという過程が取られる。)

これが簡略されたEVMの仕組みになるが、それには根本的な問題があると同氏は語る。

「EVMはスイスナイフの様なものだ。様々なことができるが、性能はそれ程高くない。」

同氏によると、現在のEVMのままでは大衆向けの分散型アプリを展開することは非現実的。

そのため、現在のEVMは「eWASM」という新しい仮想マシンに置き換えられる計画が立てられているそうだ。

eWASMは、Webの維持と標準化を担当する開発者チームWorld Wide Web Consortium(W3C)によって作成された「WASM(ウェブ・アセンブリー)」のイーサリアムバージョン。

これを使用することで、開発者はSolidityだけでなく、複数のプログラミング言語でプログラミングすることが可能となる。

また、プラットフォームの様々なパフォーマンスが向上すると言われている。

この技術を採用したメインネット展開に至るまでには来年一杯はかかるそうだ。

しかし、それがリリースされると、イーサリアムは同技術を採用しているイーオス、トロン、カルダノといったプロジェクトと競合できるチャンスがある。

原点:Open Heart Surgery: Inside Ethereum’s Crucial Replacement of the EVM

ここまでの内容と考察

イーサリアムがWASMを採用することで第三次ブロックチェーンと競合できるようになるという、今回のニュース。

まだまだイーサリアムには課題が多いかもしれませんが、少しずつ大衆向けのプラットフォームへ成長しているようにも伺えます。

しかし、あまり時間をかけ過ぎるとライバル達に追い抜かされてしまうかもしれません。

ちなみにですが、「WASM」は、グーグル社、アップル社、フェイスブック社、またマイクロソフト社など名だたる大企業が現在進行形で開発を進めています。

イーサリアムがこれを採用することによって、Solidity開発者に限らず、より多くの開発者が分散型システムを基盤としたアプリケーション開発を手掛ける様になれるかもしれませんね。

道のりは長く険しいかもしれませんが、これからもイーサリアムに注目していきたいですね。