ビットコインキャッシュ、ハードフォークを巡って内戦勃発!?

今年11月に予定されているビットコイン・キャッシュのハードフォークを巡り、プロトコールの開発を手がけるBitcoin ABC とnChainの対立が激化している。

善良的な独裁者 vs. 自称ビットコイン創設者

今回のハードフォークを巡る議論は、主にBitcoin ABC開発チームを率いるAmaury Séchet (アモーリ・セシェー)氏とnChainチーフサイエンティストであるCraig Wright(クレイグ・ライト)氏の間で行われているようだ。

前者は、ビットコイン・キャッシュの「善良的な独裁者」として幅広く知られており、後者は「自称ビットコイン創設者」として話題になった人物。

論点を簡略して説明すると、Bitcoin ABCがBCHプロトコールへ改善案を提出してことに対して、nChainはそれがビットコインホワイトペーパーの精神に反するものであると反対している。

そのため、nChainはビットコインキャッシュのブロックサイズを現在の4倍(128MB)にする独自のBCHクライアント「Bitcoin SV(ビットコイン・サトシ・ビジョン)」をリリースすると発表。

結果的に、Bicoin ABC とnChain両方のクライアントが変更される今年11月のハードフォークは、現在のBCHネットワークを2つの競合するネットワークに分割させることになる。

「競合する必要性はない」

BCHプロトコールを巡った議論が過激化する中、Bitcoin Unlimited(ビットコイン・アンリミテッド)主任開発者Andrew Stone(アンドゥリュー・ストーン)氏が妥協案を提出した。

Stone氏のBCH改善案「BUIP098」によると、Bitcoin Unlimitedのクライエントを使うことにより、Bitcoin ABCとnChainが予定しているプロトコールの変更に対して、両方とも対応できるそうだ。

ストーン氏は、

「今回の変更は相互互換性があるが、どちらのグループも他方の変更を拒否している」

と指摘し、

「皮肉なことだ」

とコメントした。

しかし、現状ではStone氏の妥協案は両開発チームに検討すらされていないとのこと。

また、今回のBCH開発チーム同士の議論は技術的進歩やユーザーへの普及」が目的ではなく「権力とエゴ」によって行われているStone氏は考察する。

「それぞれの解決策以外、いくら合理的であろうが全く検討しない両開発チームの姿勢から、今回のハードフォークは残念ながらまた権力とエゴが目的であり、技術進歩やユーザーへの普及ではない」

と語った。

BCHネットワークの現状

現状では、BCHノードオペレータの3分の2以上がBitcoin ABCを実行しており、残りの3分の1以下がBitcoin Unlimitedクライアント使用している。

しかし、nChainの新しいクライエントを採用すると公表している世界最大級のBCHマイニングプールであるCoingeek (コインギーク)は、BCHハッシュレート全体約25-28%を支配している。


出典:「Coin Dance

原典:「Bitcoin Unlimited Calls for Ceasefire in BCH Hard Fork War

ここまでの内容と考察

ビットコインキャッシュのハードフォークを巡る今回の議論。

イーサリアム共同創設者として知られているVitalik Buterin(ビタリック・ブテリン)氏は128MBへのブロックサイズ変更に伴う危険性を指摘しています。

そのため、nChainの改善案に対して、「大惨事だ!」とコメントしWright氏をビットコインキャッシュコミュニティから追放するべきと主張しています。

一方で、ビットコイン・キャッシュ奨励者として知られるRoger Ver(ロジャー・バー)氏が沈黙を続けている模様。

昨年は、ビットコイン&ビットコイン・キャッシュのハードフォークが大きな波紋を呼びましたが、今年のビットコイン・キャッシュのハードフォークはどうなるでしょうか?

今後も注目していきたいですね。