ニューヨーク司法長官、バイナンスやクラーケンは「規制違反」!?

米国が仮想通貨規制を一層強める動きを見せている。

ニューヨーク州司法長官Barbara Underwood(バーバラ・アンダーウッド)氏が、3つの主要仮想通貨取引所が「バーチャル通貨規制」を尊守していないとし、ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)に報告した。

司法長官によって名が挙げられた取引所は、バイナンス、ゲート、およびクラーケンの3社。


参照: Virtual Markets Integrity Initiative Report

また、提出されたレポートには、セキュリティ、内部統制、市場監視などの仮想通貨取引所運営における懸案事項が詳述されていた。

これまでのできごと

今年初旬、司法長官は仮想通貨事業の透明性を向上させることを目的としたアンケートに応答するように以下の13社へ要求した。

・GDAX
・Gemini
・BitFlyer USA
・Bitfinex
・Bitstamp USA
・Kraken
・Bittrex
・Poloniex
・Binance
・Tidex
・Gate.io
・itBit
・Trust Company
・Huobi.Pro

これに対し、クラーケンCEOであるJeff Powell(ジェフ・パウエル)氏は、

「34の質問に2週間で答えろという要求を見た時、権力者の大胆さを感じた。

これは、ビジネスに対する無礼で、私たちのロードマップを完全に崩壊させようとしている。

3年前にクラーケンがニューヨークから移り去ったのは正しい決断だった。」

と司法長官を強烈に批判。

また、クラーケンだけでなく、バイナンス、ヒュオビ、およびゲイトも、ニューヨークでの取引を許可しないと公表した上で、アンケートに参加しない方針を明らかにした。

これを受けて司法長官は、4社の取引所運営に関する調査に乗り出す。

その結果、クラーケン、バイナンス、ゲートの3社が勧告されたという、今回の発表にまで至る。

クラーケンは「警戒すべき」

司法長官は、取引所の規制と監督の欠如を批判し、

「クラーケンの公的対応には警戒するべきだ。 詐欺が横行していると認めながらも、市場操作は仮想通貨トレーダーにとって重要ではないと宣言している。」

とアンケートに対する「警戒すべき」応答をしたクラーケンについて言及した。

また、仮想通貨取引所はトークン上場と引き換えにプロジェクトから支払いを受け取った可能性があることをユーザーへ警告した。

これに対して、クラーケンCEOは、「クラーケンには上場手数料がかからない」と主張している。

規制当局に従順な取引所が増加する本日、今後の仮想通貨取引所のあり方や規制方針に関する議論が次第に熱を帯びる。

原典:Cryptocurrency Exchanges Binance, Kraken May Be Operating Unlawfully in New York: AG Report

ここまでの内容と考察

ニューヨーク州司法長官が仮想通貨取引所3社が規制違反をしているとニューヨーク州金融サービス局に勧告したという、今回のニュース。

「投資家保護」の徹底を考えると、規制を強化するのはやむを得ないかもしれませんが、それによってマルタのような仮想通貨にフレンドリーな地域にプロジェクトや取引所が去ってしまうかもしれませんね。

また、取引所に関する規制において、最近ではKYC分散型取引所を巡る議論が活発になっています。

さらにイーサリアムが有価証券か否かというSECの大きな決断にも注目が集まるなど、未だ規制的には明確なことが分かっていない現状があります。

従来の中央集権型の機関に挑むような仮想通貨が規制に苦しむというのは皮肉なようにも思えますが、ビットコインに限っては「有価証券でない」という判断がされているなどネガティブなニュースばかりではありません。

やはり「分散化」が大きな鍵のようですね。

今後も規制当局の動向に注目しながら、分散型システムの普及に注目していきたいですね。