ビットコイン元祖奨励家白旗を掲げる、ついにシェイプシフトもKYC強制

多種仮想通貨銘柄をワンクリックで交換できることで有名なShapeShift(シェイプシフト)取引所がKYC (顧客確認)を強要すると発表。

この取引所は、匿名性、財政上の自立性、個人の安全保障を尊重することで多くのユーザーから「宝庫のようだ」と賞賛されていたが、ついに規制に屈してしまう日が来たようだ。

シェイプシフト、これまでか

「個人情報を顧客に引き渡すよう求める慣行は、当初から私たちがもがいていたものだ。」

このように語るのはシェイプシフトCEOであるEric Vorhees(エリック・ボアヒーズ)氏。

今月4日、仮想通貨業界初期から第一線でビットコインの普及をリードしてきた同氏が、KYCを完了したユーザーへの割引や取引限度額などの特典についてツイッター上で発表した。

「基本的な個人情報を収集する。現在はオプショナルだが、すぐに強制的となる。この詳細は残念かもしれない。これが必須でない方が好ましい。

人種、宗教、国籍にかかわらず、個人の思考、関係、およびコミュニケーションにおいてプライバシーの権利があるのと同じように、財政的プライバシーの権利があると確信している。」

と同氏は記述した。

また、今回の決断はアカウント機能の増加、トークンを使ったユーザーへの報酬、そして規制の3つが大きな理由だそうだ。

「デジタル資産が法的に曖昧な位置付けがされている限り、アプローチを慎重に考える必要がある。」

と現在の仮想通貨に纏わる不透明な規制について同氏は言及した。

嘆きの声が相次ぐ
シェイプシフトによる今回の発表は、様々な業界著名人から悲嘆された。

以前ビットコインETFの問題について一般の意見とは大きく異なる見解を明らかにしたAndreas Antonopoulos (アンドレアス・アントノプロス)氏は「失望した」とツイート。

しかし、ボアヒーズ氏がプライバシー保護に関して完全に諦めたわけではない。

「中央集権型の機関は将来的にこのような圧力をかけられるだろう。そのため、仮想通貨が可能にする分散型の基盤が重要となる。」

と分散型技術への期待を表した。

また、今回の発表を鋭く考察する証券・防衛訴訟弁護士であるJake Chervinsky(ジェイク・シャービンスキー)氏は、「規制当局が静かに仮想通貨を侵害している」と主張。

また、同氏はシェイプシフトは今まで匿名取引を可能にしていたと述べ、ボアヒーズ氏を

「財務的プライバシーと国と金融機関を分離することについて情熱的に話す、真のビットコイン信者だ。」

と称賛した。

加えて、同氏は米政府が監視の難しい匿名仮想通貨取引を「悪夢」と呼んでいるとし、財務省FinCen(金融犯罪取締ネットワーク)が取引所に対して執行措置を脅かしていると推測する。

「残念ながら、このようなことはよく行われる。規制当局が裁判で失敗する可能性もあるような弱い説得力の理論に基づいて取引所の違反行為を非難する。

しかし、公的に戦うには多額なコストや大きなリスクがあり、結局企業は協力する。」

と指摘した。

原点:Crypto Exchange ShapeShift Sees Criticism for Mandating Memberships with KYC Norms

ここまでの内容と考察


匿名取引を奨励していたシェイプシフトがついにKYCを強要するようになるという今回のニュース。

今回の決断は、発表内容と真逆のことを信じているボアヒーズ氏にとっては苦渋な選択だったでしょう。

しかし、ビジネス観点から見ると従業員の解雇や株主の損害など様々なことを考慮しなければなりません。

総合的に考えた上で、KYCを強要することに踏み切ったのでしょうね。

ちなみにですが、そもそもKYCが必要な理由は以下だと一般的に言われています。

・資金洗浄
・テロ資金調達
・脱税
・経済制裁の回避

金融機関としてはこれらを絶対に防ぎたいでしょうが、それをするためには代償もあるのが難しいところ。

取引所を始め中央集権型の機関が徐々に舵を切り出している仮想通貨業界。

しかし、真のキャプテンは誰なのでしょうか。

今後もこの業界の変化に注目していきたいですね。