ソウル市長、約60億円が注ぎ込まれるブロックチェーン地区の構想を語る

ソウル市長、約60億円が注ぎ込まれるブロックチェーン地区の構想を語る

隣国が国を挙げてブロックチェーン技術に関する「本気の取り組み」を開始する。

韓国政治家が、ソウル市内のブロックチェーン地域開発を促進するために、5333万ドル(約60億円)の資金を調達したようだ。

ソウル市、アジアブロックチェーン業界の中核になるか

「ブロックチェーンは、将来のIT産業を形作る第4次産業革命の中核技術であることは間違いなく、私はソウルを同産業の中心とするために努力する。」

前述のようにソウル市の今後に向けた抱負を語るのは、Park Won-soo (パーク・ウォンスー)氏。

同氏は、ブロックチェーン技術に意欲的に取り組むスイス、エストニア、スペインへの10日間に渡る外交訪問の中に、韓国政府が2021年までにブロックチェーン関連の新興企業を促進するために大規模な複合施設を建設する意向を明らかにした。

スイスのZug(ツッグ)市のビジネス環境をモデルに、ソウル市をブロックチェーン技術の「ハブ(中心核)」化することを狙い、今後5年間で730名のブロックチェーン専門家を訓練するという。

韓国は、以前からブロックチェーンスタートアップへの支援に積極的で、ソウル市は地元の新興企業、研究センター、専門家の訓練のために、約8856万ドル(約100億円)程投資済み。

また、韓国政府は、公共福祉プログラムに資金を提供したり、民間請負業者に報酬を与えるために、「S-coin(エスコイン)」と呼ばれるソウル市が後押しする仮想通貨を発行する予定だ。

同仮想通貨を使用することによって、ソウル地方自治体が改ざん不可能な支出詳細を公開できるようになり、財務状況の透明性が高まるのではないか、と期待されている。

サムスンとのパートナー提携

パーク氏主導の下、ソウル市はサムスンSDSと2017年にパートナーシップを締結し、都市ブロックチェーン開発の枠組みを確立。

2022年までにソウル全体の市町村を統合する目的で、サムスンが開発したブロックチェーンプロトコル「NexLedger (ネクスト・レジャー)」のテストを開始した。
 

 
また、ブロックチェーンの上に輸出通関を構築するという「世界初」の取り組みを最近発表し、既に1年前から韓国-中国の間の出荷におけるをテストしていたことを明かしている。

将来的には、デジタルID、オンライン決済、デジタル記録などにブロックチェーンを利用することを目指しているようだ。

シンガポールがブロックチェーン新興企業の海外進出先として注目されている中、ソウル市が同技術を促進するアジアの「ハブ」となる日も来るのかも知れない。

原典:Seoul Mayor Announces $53.39 Million Fund for Blockchain Districts

ここまでの内容と考察

ソウル市がブロックチェーン地域開発を促進するために約60億円の資金を用意しているという、今回のニュース。

「投資家保護」を優先し、ブロックチェーン・仮想通貨事業の規制が中心となっている日本とは対照的に、韓国では「イノベーション」に焦点を当てられ、アグレッシブにブロックチェーン技術が推進されているようです。

ツイッター上でも、韓国の国を挙げての取り組みに対する賞賛や、日本の遅れに対する指摘の声があります。

しかし、「S-coin」というネーミングは、日本金融大手SBIが発行を計画している「S coin」と混乱されるような予感がします。

ネーミングセンスに関する話は別として、ユーザーが分かりやすいような配慮がこれから必要になるかも知れませんね。

また、アジアとして隣国を応援していきたい一方、日本でもブロックチェーンや仮想通貨がもっと盛になるといいですね。

例えば、つくば市では選挙にブロックチェーン技術の使用が検討されているなど、少しずつではありますが日本でもブロックチェーン技術の普及は進んでいるようです。

今後も日本の仮想通貨スタートアップの取り組みや、日本から世界へ発信される技術について注目していきたいですね。