光あれ、ETH取引処理能力がなんと3200%アップする!?

イーサリアムの「拡張性問題」解決へ向けて様々な研究が日々行われている。

そんな中、イーサリアム共同創設者であるVitalik Buterin(ビタリック・ブテリン)氏が、取引処理能力を約3200%増加させる新たな方法を明らかにした。

今回の提案によって、イーサリアムが「大衆向けのプラットフォーム」へまた一歩近づくかもしれない。

使い物にならない、分散型アプリの現状

イーサリアムにとって、拡張性問題を解決することは同プロジェクトの将来に大きく影響する最重要事項。

現在のところ、1つ以上の大規模なユーザーベースを持つアプリが仮にでも構築されると、アプリを使用するための手数料が急騰してしまう。

すなわち、フェイスブックのようなアプリをイーサリアム上でリリースすることは現状では不可能。

将来的な手数料を懸念してか、同ブロックチェーン技術を基盤とする分散型アプリの普及率は伸び悩んでおり、アクティブユーザーはたった500人しかいない。

取引処理能力激増、15 tx/s から500 tx/sへ

このような背景の下、拡張性問題解決に向けての開発が急がれる中、ブテリン氏が新たな方法をイーサリアムリサーチフォーラムで明らかにした。

その内容によると、匿名通貨Zcash (ゼィー・キャッシュ)の技術を採用することで、取引処理能力を大幅に改善できるというのだ。

この技術は「ZK-SNARKS」と呼ばれ、イーサリアムに実装されることで「実際に計算しなくとも取引の正確性を検証できる」など多くの利点がある。

また、イーサリアムとZK-SNARKSが統合されると、1秒間における取引処理件数が15件から最大500件にまで向上できるようだ。

これは、取引の大部分をオフチェーンに移さなくとも、主体となるブロックチェーンで取引を処理し、セキュリティを維持した上で、取引処理能力を高められることを意味する。

(オフチェーンとは、主体となるブロックチェーンを使用せずにデータのやり取りを行う方法や技術のこと。ブロックチェーン技術の拡張性問題に対する一つの解決策として考えられているが、セキュリティ面で懸念材料があると言われている。)

そのため、今回のブテリン氏による提案によって顕著なイーサリアムの改善が達成できると期待されているようだ。

しかし、批判の声も少なからずある。

イーサリアムの「殺し屋」と称されるEOS開発責任者であるDan Larimer (ダン・ラリマー)氏は、今回のブテリン氏の提案は「overkill (やりすぎ)」だという。

「過剰に複雑な提案だ。powとposを使用するブロックチェーンは1秒間に500件よりも多い取引処理を何年間も行っている。」

と批判的なコメントを寄せた。

拡張性問題の解決が急がれる中、プラットフォーム開発は少しずつ進捗しているようだが、イーサリアムが「大衆向け」となるまで進化を遂げるにはまだまだ時間を要すると見られている。

原典:Vitalik Says Ethereum Can Scale to 500 tx/s Using Zcash Technology

ここまでの内容と考察

イーサリアム共同創設者であるブテリン氏が、イーサリアム拡張性問題に対する新たな解決策を提示したという、今回のニュース。

かねてより話題となっていたように、イーサリアムの拡張性問題がすぐに解決されるということはありません

しかし、そんなイーサリアムは現在でもICOを行うためのプラットフォームとしてはキングの座に君臨していることは事実。

また、「非中央集権化」を強く意識し、開発もそれを常に念頭に置きながら進める、本日では希少なプロジェクトと言えます。

同氏の以下のツイートからもそのような確固たる姿勢が垣間見れますね。

「問題を技術面だけで単純に考えると、重要な政治的な問題を見落とす。」

今後はやはりライバルたちと競合できるようなプラットフォームを一刻も早く展開することが重要になってくるかもしれません。

分散化を強く意識するイーサリアムプロジェクトの進捗にこれからも注目していきたいですね。