キャッシュ8割キャッシュレス2割、欧州中央銀行は仮想通貨を発行しない

欧州連合で用いられている法定通貨「ユーロ」が仮想通貨として発行される予定は現在のところないようだ。

キャッシュ8割 キャッシュレス2割

「欧州中央銀行とユーロシステムは、デジタル通貨を発行する計画はない。」

このように強く言い切るのは、欧州中央銀行の上役であるMario Draghi (マリオ・ドラギ)氏。

同氏によると、分散型台帳技術には「大幅な開発が必要」なのに加え、そもそもキャッシュレスの決済手段が緊要ではないそうだ。

最近行われた調査によると、EU全体での決済手段は、

・現金:78.8%
・クレジット・デビットカード:19.1%
・他の商品:2.1%

であることが判明している。

デジタル通貨を現時点で発行するべきでないという判断を下すのは、欧州中央銀行に限らない。

香港、オーストラリア、またニュージーランドの中央銀行が同様な発表をしている。

しかし、世界中の中央銀行が分散型技術を疑問視する一方で、その可能性を積極的に調査する動きもあるようだ。

今年8月下旬、タイ中央銀行はデジタル通貨発行に向けてのコンセプト実証試験の第1段階を来年3月までに完了する予定であると発表。

また、中国人民銀行はデジタル通貨に関する40件以上の特許申請を提出済みであり、既存する通貨システムと仮想通貨を組み合わせる思惑で開発を進めている。

原典:ECB Has ‘No Plans’ to Issue a Digital Euro, Says Mario Draghi

ここまでの内容と考察

欧州中央銀行が仮想通貨を発行する計画は現在ないと発表したという、今回のニュース。

実際に金融機関が分散型技術を使用して何かを構築し、それがしっかりと機能しているという事実がほとんどないため、現段階で中央銀行が仮想通貨発行へ踏み出すのは少し難しいかもしれません。

また、「キャッシュレスの時代はすぐそこ!」と最近よく言われていますが、まだまだ数字を見るとそれが普及しているとは言い難い。

しかし、それが5年後、10年後にどうなっているかはわかりません。

これに関してベンチャーキャピタリストのTim Draper (ティム・ドレイパー)氏は、5年後には仮想通貨が主流の決済手段となるだろうと発言しています。

スマホの普及が世界中で進む中、これが不可能だとは言い切れないかもしれませんね。

また、法定通貨決済が無くならなくとも、仮想通貨でも法定通貨でも払えるという「オプション」があるということが大事なようにも思えます。

中央銀行が仮想通貨の普及の触媒となるとは考えにくいですが、今後も中央銀行の仮想通貨に対する姿勢に注目していきたいですね。