CFTC委員長、「機関投資家が市場を成熟させる」

水面下の動きが活発化していると言われているものの、弱気市場が継続する現在の仮想通貨市場。

規制の不明確さ、仮想通貨詐欺、ハッキングなど課題はまだまだ多い。

このような現状に直面し、米規制当局の立場から問題を解決しようとする人物によると、機関投資家による仮想通貨市場への参入が同市場を 「成熟」させるそうだ。

機関投資家やトレーダーが、目立って増加している?

米規制当局の取り組みについて、

「より多くの機関投資家が参入するにつれて、業界が成熟するだろう」

と語るのは、CFTC(米商品先物取引委員会)チェアマンであるChristopher Giancarlo (クリストフファー・ジアンカーロ)氏。

しかし、その道のりはまだまだ険しく、直物為替レート、透明性の欠如、利害の衝突、システムの安全性などの懸念があると同氏は言う。

そんな中、仮想通貨市場の規制に関して、CFTCは2種類のアプローチが取っているそうだ。

一つ目は、「enforcement (訴訟の提起)」。

これまで米国連邦裁判所は、CFTCが仮想通貨詐欺行為を行っている個人または団体に対して、「商品取引法」に基づき規制を実施する権限を持っている、という判決を2回に渡って下している。

まず、ニューヨーク連邦裁判所は、CFTCにはCabbageTech(キャベジ・テク)社のビジネスを規制する「権限がない」という、同社CEOであるPatrick McDonnell (パトリック・マクドネル)氏の主張を却下し、「大胆かつ悪質な詐欺」を行ったことで同氏に賠償請求・罰金の支払いを命じた。

これに続いて、CFTCが商品取引法に基づいてMy Big Coin (マイ・ビッグ・コイン)とその創設者を提訴できる、という判決をボストン連邦裁判所が下している。

二つ目は、「first do no harm approach (最初は過度な規制をしない)」。

CFTCは、国内のブロックチェーン技術に関する製品の「技術革新」を推進するという。

これについて、ジアンカーロ氏は、

「サンフランシスコ連邦準備銀行によると、昨年のバブルを弾けさせたのはビットコイン先物商品が登場だそうだ。最近のビットコイン市場は、昨年のバブル時に比べて持続可能な状態と言えるだろう」

とコメントした。

規制を強化するべきだという風潮が広がる米国だが、イノベーションに対する理解はあるようだ。

原典:CFTC Chair Giancarlo Says Institutional Investors Will Help Crypto ‘Mature’

ここまでの内容と考察

米商品先物取引委員会のチェアマンであるジアンカーロ氏が、機関投資家の仮想通貨市場への流入が仮想通貨市場を 「成熟」させると発言したという、今回のニュース。

ビットコイン先物商品の登場がバブルを崩壊させたという、気になる前述の同氏の発言ですが、サンフランシスコ連邦準備銀行は以下のような調査報告を発表しています。

住宅バブルは、楽観的な投資家を集めた金融革新によって引き起こされた。

その後のバブル崩壊は、悲観的な投資家が住宅ローン市場で賭けることを可能にした「金融商品の登場」によって推進された。

同様に、ブロックチェーンの出現により、ビットコインという新金融商品が誕生。

楽観主義的な投資家が値をせり上げた後、ビットコイン先物商品が登場し、悲観的な投資家が市場に参入できるようになり、ビットコインの価格動向の逆転に寄与した。

最近は、ビットコインETF申請に関する話題で溢れていますが、果たしてそれの承認はどのような影響を呼ぶのでしょうか?

今後も市場に多大な影響を与える規制当局の動向に注目していきたいですね。