WeatherBlock創設者が語る「天気データ収集だけで不労所得を可能にするイノベーションについて」

WeatherBlock(ウェザー・ブロック)創設者のDaniel Han (ダニエル・ハン)氏に仮想通貨ニュース.comが独占インタビュー!

天気予報で発表される気温はあくまでも予想気温であり、リアルタイムで計測された気温でないことを知っている人は多いかも知れない。

しかし、このような天気予報の「当たり前」が天気業界の既存インフラにおける根本的な問題を如実に表していることを知っている人は少ないのではないだろうか。

ブルームスカイ社業務取締役兼ウェザー・ブロック創設者であるダニエル・ハン氏による、天気業界は多くの人々からの協力なしには前進できないという。

JPモルガンのような金融大手が独自コインを発行するようになった昨今、デジタル資産の将来性は確信できるものだと強調する、ハン氏。

しかし、ブロックチェーン技術は「ツール(道具)」であり、解決策ではないという。

同氏率いるウェザー・ブロックは、エコシステム参加者全員に利益があるトークン経済を形成することで、斬新なイノベーションを頭打ち状態の天気業界へ提供する。

それというのも、従来の天気業界では政府や大企業が天気データを集めるのが一般的なのに対し、同プロジェクトのプラットフォームでは個人がデバイスを通じて、ベランダや裏庭で天気データを収集し、企業へ売れるそうだ。
 

また、このようなクラウドソーシング型のモデルを採用することにより、天気業界が直面しているリソースに関する問題を抜本的に解決できるだけでなく、一般ユーザーは不労所得を得られるようになるという。

そんなウェザー・ブロックの創設者が語ってくれた様々な業界の経験から得たビジネスのナレッジ。

また、「クラウドソーシング x ブロックチェーン 技術」によってもたらされる、類型破りなビジネスモデル。

そして、「天気」データという専門分野におけるブロックチェーン技術の価値について、ありのままお届けする。

 
 

ーダニエルさんはこれまでどのようなキャリアを築いてきたのですか?

アメリカのニューヨーク州にあるペース大学でビジネスを学んだのですが、何をやればいいか分からなかった大学生の頃は、キャリア選択によく迷っていました。

それでも、何かを構築したいということは、その時でも唯一確信していたんです。

技術に焦点を当てたエンジニアリングという訳ではなく、何か「イノベーション」をしたかった。

個人的には「テクノロジー」と「イノベーション」は全く異なる別々の概念だと考えており、イノベーションは何かを行う方法だったり、アイデアだったり。

テクノロジーは、イノベーションをするための「道具」という表現が正しいかもしれません。

最初は金融を勉強していた私ですが、マーケティングを学び始め、その後はビジネスのストラクチャーや基盤を作るインターナショナルマネジメントという役職に就くようになりました。

初めて就いた仕事は、Viacom社のMTVを中国という新しい市場でローンチするというもの。

これは、製品に全く馴染みのないような市場で新しいものを広めるという初めての体験でしたね。

その後、アジア圏でMAXIM Magazineをローンチするという仕事を経験したんですが、それからは「何かをローンチする」というのが私の「MO(機能する方法)」となりました。

何もないところから新しいものの「基盤」を確立する。

これが私のキャリアのアプローチで、複数の企業の消費者対象の製品に携わったり、様々な分野におけるブランド品のローンチを支援しました。

ブルームスカイ社に加わったのは2015年で、当初の責任はユーザー獲得やコミュニティにとって何か価値を生み出すということだったんですが、2017年の12月にマネジングディレクターの役職に就きました。
 

ーこれまで様々な業界を経験した中、ビジネスにおいて何か共通するような発見はありましたか?

これまでのキャリアで気が付いたことは、業界で成功するためには深い知識が必要であるということ。

後は、どの業界でも4つのことは必ず念頭に置いて物事を考えるようになりました。

まず、ビジネスでやることの全てにおいて、「人が中心になっている」ということに気が付きました。

私はメディア、一般消費者用の製品、またIOTや流通など様々な業界に世界中でチャレンジしてきましたが、どこで何をやろうと、ビジネスをやっていればそれは対人で行われるビジネスです。

また、この「人」は、顧客だったり従業員だったりと様々で、データに関して何かをやろうが、食品だろうが、人なしにはビジネスは成り立ちません。

次に、全てのビジネスにおいて、テクノロジーは「解決策」ではなく、あくまでも「道具」であるということ。

革新的な方法やアイデアは、テクノロジーを適応するよりも収益性があります。

三つ目は、「生産性(productivity)」と「活動(activity)」を区別するということ。

「何かをする」ということ自体を目的に行動するのではなく、何か他の物へ影響があるような行動を取るということを考えるようにしています。

例えば、テレビで見るような広告は、多くの視聴者にとって単なる「活動」と思えるかもしれませんが、広告を打っている方としては何か生産性のあるものに変えなければいけません。

消費者が実際に広告を見て商品を購入したくなるようにしたり、ある商品の同じようなカテゴリーを見た時に「ブランド」がしっかりと覚えられているか、など。

四つ目は、やっていることの80%が問題を見つけることでなければ、もっと大きな問題を抱えているということ。

これら4つは現在でも意識するようにしており、私の「プレーブック(作戦帳)」となっています。
 

ーダニエルさんはビットコインをいつ頃耳にしたんですか?

「シルクロード」に関する報道がきっかけでしたね。

出典:How the founder of the Silk Road made millions on his illegal startup on the Dark Web

米国では銃やドラッグなどの犯罪が多いのですが、特にマネロンは違法活動における決定的な要素となっています。

そのこともあり、ビットコインは闇市場の追跡できない「匿名決済手段!!」なんて報道されていました。

それゆえに、最初はいい印象を持てなかったですね…。

メディアが良くないイメージを植え付け、私は含める一般人の多くは怖くて手が出せなかったと思います。

また、このような報道は一概にも嘘とは言えず、実際にもビットコインは闇市場で取引されていました。

だから、シルクロードがビットコインを広めるきっかけになったのは紛れもない事実でしょう。

でも「悪い広告は良い広告」という言葉があるように、もしシルクロードがなかったらビットコインが露出する場がなく、今のように有名にはならなかったかもしれませんよね。

現在でもビットコインに対する懸念は残っていますが、社会からのイメージはだいぶ変わったと思います。

JPモルガンのような金融大手が独自トークンを発行するようになった現在、デジタル通貨やデジタル資産が未来だということは確信を持って言えます。


出典:JP Morgan to launch its own cryptocurrencyからのスクリーンショット

金融機関を含める多くの企業が考えるのは、ブロックチェーン技術がどうこうではなく、既存ビジネスが顧客のためにより便利で効率よくなるかということ。

デジタル通貨が提供する「スピード」や「便利さ」の価値に、JPモルガンは気が付いたのでしょうね。
 

ーブロックチェーン技術に長期的な将来性は本当にあるのでしょうか?

短い答えは「イエス」です。

世の中にはあまり耳にしないようなテクノロジーが沢山あります。

しかし、もしその技術が一つの企業にでも有効活用されれば、「良いテクノロジー」と言えると思います。

ブロックチェーン技術には制限された使い道しかないかもしれませんが、実際に人々から使用されています。

これは私自身がメディアをやっていたこともあるので分かるのですが、一般消費者は魅力的でセクシーな技術を好む傾向にありますよね。

仮想通貨、とか。

しかし、世の中の90%以上の技術はそんなものではなく、話題にすらされません。

それでも、消費者が気付いていない中で実際に使用されているものなんです。

これがテクノロジーの「本当の美しさ」と言えるでしょう。

言い換えると、もしあなたのビジネスが技術の将来性を消費者にアピールしなくていいのなら、本当に需要がある製品を持っているということ。

実際にも、ブロックチェーン業界にもマーケティングなどに注力せず、密かに開発を進めている企業もあります。

これが本来の姿であるべきなのかもしれませんね…。

このような企業は、実際に道具としてブロックチェーンの価値を利用しています。
 

ーブロックチェーン技術には具体的にどのようなユースケースが挙げられますか?

「監査証跡」はブロックチェーン 技術が提供する一つの機能です。

例えば、農業業界の既存サプライチェーンで、監査証跡というものは存在しません。

商品の透明性を向上させるためにも、作物を追跡できる便利な機能はあるべきですが、現時点ではないです。

これがリアルタイム行えたら…。

もし作物に関する問題が発生すれば、即座に問題の起源を特定できるでしょう。

例えば、最近アメリカのレタス農場で人の健康に大きな影響を与えるような問題が起きたのですが、原因特定までに何ヶ月もかかりました。

ブロックチェーンを実装すればこのプロセスを効率的にもの凄いスピードで行えるようになるため、お金を節約できるだけでなく、消費者が作物を食べる前から問題を未然に防ぐことができるようになる、と考えられています。

そのため、実際に米国の公共機関と民間企業は食品の安全性向上のためにブロックチェーンを採用しようとしているんです。

他のユースケースとしては、「P2P決済」や「通貨」など金融部門のものがやはり多いですね。

相手を信頼すること必要とせずに取引ができることを実現した仮想通貨は素晴らしいと思います。

また、決済手段以外には、仲介者が必要な特定の既存ビジネスも挙げられます。

例えば、ライドヘイリングを世界中で展開するUberのような大企業は、実際にユーザーや自動車を持っているわけではなく、ユーザーと運転者がプラットフォームを使用しているだけ。

出典:Uber公式ページ

つまり、繋がりを作ることで手数料を取るというビジネスモデルです。

しかし、近い将来にはこのような「繋がりを作ることで収益を得る企業」の必要性がなくなるかもしれませんね。

このようなことが大規模で始まる予兆は見えており、例えば仮想通貨の場合はこれまで送金業を担っていた金融機関なしで国際送金を瞬時に行うことを可能にしてしまっています。

これがもう現実。

ソーシャルメディア、ホスピタリティ(接客)、交通機関でもこのようなことが少しずつ見え始めるでしょう。

しかし、このような社会的な進化には時間がかかるものです。

 

ーウェザー・ブロックは、天気データ取引という新しいモデルを採用しようとしていますが、そもそも「天気データ」がどのようなものかについて教えて下さい!

そうですね…、まず特定地域に住んでいる人は天気に敏感かもしれませんが、都会人はそうではないものです。

例えば、アメリカのNY市とLA市を比べると、天気がほとんど変化しないLA市の住民は天気をあまり気にしません。

しかし、NY市にはクリアな四季がありますよね。

また、天気はビジネスが展開される場所にも大きく影響します。

例えば、農業を始める際にその辺の土地でいきなり始めることなんてできません。

ビジネスを成功させるためには天気を出し抜くような考え方を持たなければならなく、ある特定地域における天気に関する厳密な情報が必要不可欠。

また、これはあまり知られていないかもしれないですが、小売業界はよく天気データを分析し、気候がどのように交通や購買意欲などに影響するかを見ています。

これにおいて、特定されたスポットの「超ローカルなデータ」は非常に重要であり、需要があります。

例えば、どんな天気の時にどのようなユーザーがどの店舗で拾われるのか、などをUberは分析しているんです。

というのも、何かビジネスに関する決断を下すにおいて、1種類のビッグデータで十分なケースなどなく、他の種類のデータと合わせて分析する必要があるもの。

多種類のデータにアクセスできることで、より多くのインサイトを得られます。

それでもデータ採集に関しては幾つかの問題があるんです。

例えば、よくデータを集めることの重要性がアピールされていますが、それを実際に効率的に活用する方法がわからない場合も多かったり。

しかも、他の企業が「データ蓄積をやっている!」と勝手に信じ込み、自社でもやり始めます。

そのため、データを保存するためにリソースやお金が使われ、ユーザーも組織や大企業にデータを提供しているのにも関わらず、データが「サイロ化」している、と言えるかもしれませんね。

また、データ集めが重要だとは言ったものの、特に行動データなどは短期間でしか価値がないことも。

例えば、店舗にいるユーザーの購買行動に影響を与える必要がある小売業界において、リアルタイムで行動データを分析できなければあまり意味がないですよね。

最近発展している多くのストリーミングサービスのように、全ては「オンディマンド(需要に対してすぐに対応すること)」で進んでいるため、リアルタイムでデータを使って収益化できるかが今後は重要だと言えるでしょう。

しかし、多くのビジネスはデータを保管しているだけの場合が多いんです。

データを保管しているだけでは、そのデータの価値がなくなっていくだけの場合もあります。

でも、これは全ての種類のデータに言えることではなく、天気データにおいて過去のデータも非常に貴重。

天気データと個人データは全く分野が違うもので、天気予報を行うには最低でも過去一年間のデータが必要なように、天気データは成熟する必要性があります。
 

ー天気業界がデータを採集する方法にそもそも問題はあるのでしょうか。

現在天気業界が直面している本質的な問題としては、政府が「天気モデル」を作れるようなリソースがあるのにも関わらず、十分なデータがないということ。

まず、天気データには主に二種類あり、機器を地上に配置して採集するような「地上検証」のデータと、衛星からのサテライトデータがあります。

出典:NASA Brings Earth Science ‘Big Data’ to the Cloud with Amazon Web Services

より正確な天気モデルを作るには莫大なデータを採集しなければなりませんが、そのためには大量のデバイスとそれを配備するための土地が必要。

これはなかなか難しいタスクで、非常にコストがかかります。

また、天気モデルを作るだけでも政府や大企業しかアクセスできないようなスーパーコンピューターが必要。

これは大企業にとってですら高価なため、一般的に政府が天気データを採集するケースが多いです。

要するに、みんながおいしいコーヒを飲みたく、コーヒー機器もあるのに、コーヒ豆だけがあまりないというような状態なんです、天気業界は。

この例えを用いると、ブルームスカイ社の目的は誰もがコーヒー豆を持てるようにするということ。

そして、既にあるコーヒー機を利用し、みんなでおいしいコーヒーを楽しめるようにします。

つまり、誰もが天気データの提供者になれるため、天気データを分析する企業がより良い予報を人々へ提供できるようになる、ということです。

出典:@bloomskyのツイート

 

ーブルームスカイとウェザー・ブロックの関係性について教えていただけますか?

ウェザー・ブロックはエコシステムの発展を推進する非営利組織です。

ブルームスカイは、ウェザー・ブロックエコシステムに参加する企業の一つと考えてください。

ウェザー・ブロックはエコシステム上で企業が協調しやすくし、また個人と企業のコラボを容易にします。

プラットフォーム上の他の参加者には、例えば天気予報者、データプロセッサ、データストレージプロバイダー、データ承認者、ブローカーなどなど。

私たちとしては、単一企業が天気業界における全てのことをやるようにはしないようにし、それぞれの市場参加者が一番得意なものに注力すべきだと思っています。

IBMのような大企業でも全てを自分たちで全部できるわけではないですよね。
 

ーブルームスカイは具体的にどのような解決策を提供しているのですか?

ブルームスカイはAIを使用し、提供されたデータを使用して天気予報をユーザーへ提供します。

例えば、もしブルームスカイのデバイスを持っていれば、ピンポイントであなたの裏庭の予報ができます。

出典:ウェザー・ブロック公式ページ

例えば、あなたがスマホで天気を見る時に、20℃と表示されていたとします。

この情報源をあなたは知っていますか?

実は、このデータを採集している天気ステーションは、東京にすらないことを知っていたでしょうか。

また、20℃というのはリアルタイムなデータではなく、実は単なる予報なんです。

これは、以前から問題と言われていましたが、依然として解決されていません。

もしあなたや隣人が近所の天気データを採集することが出来れば…。

もう東京から遠く離れたところにある天気ステーションを頼る必要はないです。

もっとローカルで正確な情報を得られるでけでなく、リアルタイムデータを見ることができるようになるでしょう。
 

ー少数のプレイヤーだけでリソースを確保するのではなく、大勢のリソースを使うというわけですね!

ブルームスカイはそもそも個人から天気データを集める「クラウドソーシング」のような概念から始まっています。

このサイトへ行くと、ブルームスカイを利用してるユーザーを確認できますよ。

出典:ブルームスカイ公式ページ

天気業界のような明確な問題がある業界は、クラウドソーシングのような方法でデータ採集をしない限り、業界が進展することは難しいでしょう。

ビジネスモデルとしてクラウドソーシングは確立しており、例えば交通データをクラウドソーシングするWaze社やベッドルームをクラウドソーシングするAirbnb社のように、天気業界もこれを強みにできます。

 

ーブルームスカイのデバイス持っていれば、もう既にデータ売買を行えるのでしょうか?

もしデータを売却できるような企業や個人がいればできますが、これを簡単に行う方法はまだ存在しません。

だから、ウェザー・ブロックはそのような天気データ取引プラットフォームを提供しようとしているんです。

ウェザー・ブロックのデータマーケット市場がやろうとしていることは、現在のモデルでは仲介者となっているブルームスカイからではなく、データ購入者がデータ提供者から直接購入できるというもの。

また、ユーザーがアップロードするデータが検証・認証された上でブロックチェーンで処理されます。

もちろんこのようなモデルが成功する確証はありませんが、天気業界においてもしコミュニティや人々への報酬がなければ業界が前進することができません。

そのため、天気業界の問題を抜本的に解決できる道具となるブロックチェーン技術の登場は、実はとてもタイミングいいのかもしれませんね。
 

ー多くのユーザーにとってデータ取引は馴染みがないと思いますが、どうやってユーザーを呼び込むのですか?

ウェザー・ブロックは、経済的な動機を作り出し、人々がデータを採集するように促しています。

これは、実はベーシックインカムの概念に少し似ており、誰もが自然に発生する天気データを提供するだけで報酬を与えるというもの。

裏庭の天気データをブルームスカイが提供するデバイスで集め、それをデータ市場で売却できます。

また、データ採集は不動産と少し似ており、データ採集を始める場所が重要。

出典:ブルームスカイ公式ツイート

例えば、天気データがあまり採集されていない地域にあなたが住んでいるとすると、そのデータを持っているのはあなただけになるため、データ価値が上がります。

もちろんユーザーが増加するにつれ「飽和問題」が出てくるかもしれませんが、しっかりと全員が報酬を得られるような仕組みに整えています。

例えば、一年目に近所に一台のデバイスしかなく、収集するデータから一定期間で1ドルを得られるとしますよね。

一年後、近所に配備されるデバイスが50台まで増加するとします。

この場合、これまで得られていた1ドルが50セントに変わり、残りの半分は他の人へ平等に配分されます。

つまり、誰でも報酬を得られますが、最初にデバイス設置する人に多くの利益があるということ。

また、データ採集を始めるタイミングも重要かもしれません。

例えば、天気予報を行うには最低でも過去一年間のデータが必要なんですが、これは天気データを今から集めようとしている人にとっては都合がいいです。

というのも、データ取引が現時点では不可能だとしても、将来的にはそれを資本化可能。

銀行で貯金しているようなものですね。

 

ー実際にどれくらいのお金を天気データから稼ぐことができるのでしょうか?

日本市場における価格の予想は困難ですが、私たちが構築することを考えているエコシステムでは300-450ドルのデバイスへの初期投資を3-6ヵ月くらいでカバーできるようなものになるでしょう。

しかし、もしあなたの近所に沢山のデバイスがあれば、データを売却することで得られる報酬も減少します。

それでも、例えば日本ではまだ20-30台くらいのデバイスしかありません。

また、現段階では天気データを売却できませんが、今からデータ収集を始めた場合、私たちがデータ市場をローンチするまでに蓄えるデータでデバイスコストを賄えるかもしれません。

過去の天気データには需要があり、貴重なものですが、一度見逃すと永遠になくなってしまうものです。
 

ー取引される天気データの品質はどのように担保しているのですか?

ウェザー・ブロックは、専門グループによるデータの形式的検証を採用することで、天気データの質を保ち、欠格によって問題が起こることを防ぎます。

一つの技術が全てのビジネスを管理するべきでないと考えており、一部のエコシステムは従来のビジネスのようにマニュアルで行われます。

例えば、デバイスを配備する時に、それがどのように配置されたり、どこに設置されているかによってデータの品質に影響しますよね。

また、データが誰かによって認証されたということは重要。

もし私が「サンフランシスコのものだよ!」と言ってあなたにデータを売ったら、あなたは私の言葉を信じなければなりません。

公式な団体によるチェックがあれば、データ購入者はデータ採集者を疑う必要がなくなります。

また、形式的検証は一種の学習ステップとも捉えることができ、デバイス設置が分からない人には重要。

要するに、「品質コントロール」ですね。
 

ーそれは結局ウェザー・ブロックが「仲介者」になっているのではないでしょうか…?

ウェザー・ブロックとのやり取りを作っていることは確かですが、競争性がある環境を作り出しています。

全てのユーザーが品質を巡って競争するのを促し、例えば、デバイスがオフラインになった際にすぐにそれを直すなどデータ採集に慎重になる動機付けとなるでしょう。
 

ーエコシステム上で実際にデータを購入することに興味がある企業は現時点であるんですか?

現在幾つかの企業と交渉中ですが、私たちブルームスカイが天気データを買う最初のバイヤーです。

私たちは天気データを買うためにエコシステムを作っているので、デバイスがしっかりと配備してあればデータが売れないという心配はそこまでないです。

現時点では10,000台のブルームスカイの機器が世界中に散らばっており、ブルームスカイは実質的に「無料」でこのデータを使用できます。

しかし、ウェザー・ブロックが提供する新しいエコシステムではもうユーザーが提供するデータを無料で使用出来ず、ちゃんと購入しなければなりません。

言ってしまえば、私たちは自ら強制的にデータを購入しようとしているということ。

「なんでそんなことやるの?」なんて言う人もいますが、これは誰にとっても利益があるモデルだと考えています。

もし無料でずっとやるようなモデルは、いずれ機能しなくなる。

しかし、もし経済をユーザーとシェアすればコミュニティと共に成長することができるため、長期的にはそれほど馬鹿な決断だとは考えていません。

実際にも、このような方法でもっと多くのデータを集めることができますしね。

「何か正しいことを行うタイミングいつでも間違いない。」

 

ー最後に何か一言ありますか?

これまでの経験で気付いた重要なことを集約すると「経験」という言葉になります。

全てのビジネスは、人に対して何かしらの経験を創り出そうとしており、ビジネスの価値はどのような経験を人々へ与えるかで決まります。

それが天気取引だろうが、ブロックチェーン開発だろうが、ジャーナリストとして記事を書くことだろうが。

もし何かを経験する人々がいなければ、ビジネスは成り立ちません。

私の過去の過ちとしては、「素晴らしい製品やブランドを作ろう!」ということに注力し、製品が人々が本当に欲しいものについて考えていなかったことがありました。

そのため、ウェザー・ブロックのデータ取引でも「人」を意識しています。

ある天気データを本当に人々が欲しているかという質問をした後、

「天気データを本当に人々が集めたく、売りたいか」

「この天気データは本当に信頼できる品質で、人々は本当にそれを買いたいか」

などを考えています。

このように、ウェザー・ブロックはユーザーの「経験」と「期待」を橋渡ししようとしています。

 


以上、WeatherBlock創設者のダニエルさんのインタビューでした!



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