中国のICO規制を経て新たに注目を集めるシンガポール

先日発表された中国のICOと取引所への規制によって、仮想通貨市場は大きく揺れた。そんな中シンガポールは少し違った形でICOに対して準備をしており、次のICOホットスポットになりうるという。

中国での取り締まり強化

2017年1月より、中国は一層仮想通貨ビジネスに注目し始めている。中国政府は取引手数料をさらに増やす法令や顧客の身元を確認するための厳しい措置など様々な動きを見せている。

そして9月1日に、ビットコインが過去最高値である5,000ドルを突破したと同時に、中国メディアグループ「Caixin」はICO取引を禁止、取引所も停止すると発表した。

この発表をうけ、中国の人気取引所「Huobi」や「OKCoin」が猛烈な反論を行い、「政府からはそんな命令を受けていない。」と主張した。

こうした中国の一連のやり取りを大手ニュースメディア「Marketwatch(マーケットウォッチ)」や「Forbes(フォルブス)」は、

「Bye, Bitcoin」や「Why China Crushed bitcoin」

といった見出しを含むメディアを配信したという。

シンガポールという避難所

シンガポールは優良な規制基準、支援的な税制といた特徴から、新興企業からかなり注目を集めている。

実際にシンガポールで行われた「TenX(テンエックス)」という新規トークンの売り上げは8,000万ドル(約87億円)もの資金を調達した。他にも「Golem(ゴーレム)」というICOは500万ドル(約5億円)近くを調達し、Fintechの新興企業がシンガポールで良いスタートアップをしている。

こうしたICOに協力的である背景に、シンガポール独自のブロックチェーンプロジェクトがある。5月末にシンガポール金融通貨局(MAS)は、シンガポールドル(SDG)をトークン化した形式のものを独自のブロックチェーン上で管理するという計画を発表している。

このようにシンガポールは国を挙げて仮想通貨やブロックチェーンに対して前向きな姿勢を示しているのだ。

そして今年8月にはシンガポールもICOに関する規制を発表した。シンガポールのICO規制は中国のような全面規制ではなく、一部のICOを規制するというもので、詐欺やマネーロンダリングに対する規制に近い。

ちなみにシンガポール内で行われるICOは「有価証券」として識別されるため、米国証券取引委員会(SEC)に対して別のアプローチが必要になる。

デジタルトークンが有価証券の定義に含まれる場合、そのトークン発行者はシンガポール金融通貨局(MAS)に目論見書を提出し、登録する必要がある。そしてその目論見書が審査に通らない限り、財務顧問法の下でライセンス要件の対象となる。

ICOにおけるシンガポールの未来

中国のICO規制の後も依然として上下を繰り返している仮想通貨市場によって、シンガポールはICOを行いたい企業やICOに投資したい人々に希望を与える存在になっている。

こうした仮想通貨に対する税制や姿勢、そして近未来的な都市景観も相まってシンガポールはICOのようなクラウドファウンディング活動の避難所として潜在的に価値のある国になってきている。

原典:「Singapore – A haven for ICOs after China regulation?

ここまでの内容と考察

9月4日に中国で規制されたICO。このICO規制によって一時仮想通貨市場は大きく下落しましたね。

主要仮想通貨は軒並み下落し、時価総額はマイナスを示す赤い文字で埋め尽くされていました。他にもロシアやマレーシアといった国でもICOの規制が入り、ICOを行う、もしくはICOに投資をすることが難しくなってきています。

そんなICO業界にとって避難所のような存在になりつつあるシンガポール。タックスヘイブンとしても注目されているシンガポールはICOに対する規制も緩く、新しい新興企業がICOを始めやすい環境になっているのです。

仮想通貨やブロックチェーンに対してかなり前向きな姿勢を取っているシンガポールは中央銀行のトークンを発行する「Project Ubin」を掲げています。

これによって、シンガポール国内の銀行間の支払いを短縮化、そして速度アップを目指しており、既に第1フェーズの実験は成功しているといいます。

このようにシンガポールは仮想通貨に対して積極的になっており、国全体をデジタル化する計画を考えているそうです。

もしかしたら今後、ほとんどすべてのICO案件がシンガポールで行われるなんてことも十分あり得ますね。