Aion創設者が語る「仮想通貨業界を変えうる投資家が持つ力」
- 2018/4/27
- 独占インタビュー
編集部がAion(アイオン)の創設者であるMatthew Spoke(マシュー・スポーク)氏に独占インタビューしました!
独立して存在するビットコインやイーサリアムなどの多数のブロックチェーン。
仮想通貨が大衆への普及するには、これらのブロックチェーン同士が繋がり、簡単にやり取りできるようにならなくてはなりません。
これはとてつもなく大きな課題。しかし、それが実現される日が来るのもそう遠くはありません。
Aionは、そんな今後の仮想通貨の将来に絶対欠かせないテクノロジーを開発しています。
今回編集部はpart2として、世界から大注目されているAionプロジェクトのCEOであるSpoke氏に独占インタビューしました。
「相互運用性」と呼ばれる仮想通貨業界が今後絶対に解決しなければならない課題を真っ向から取り組んでいるSpoke氏。
Enterprise Ethereum Alliance(エンタープライズ・イーサリアム・アライアンス)の代表取締役も務めています。
そんな多くの業界人からも期待されているSpoke氏から聞いた、「仮想通貨業界を変えうる投資家が持つ力」ありのままお届けします。
ちなみに前編であるpart1から見たいという方はこちらをチェック!↓
「プロジェクト同士が協力して、大企業と競争する」
ー仮想通貨がもたらす仮想通貨の経済についてお聞きしたいのですが?
テクノロジーの歴史から考えてみましょうか。
インターネットが始まる前は、銀行や保険会社などの国内の大手企業・銀行が多く、市場を支配していました。
しかし、インターネットが広く普及することで市場が大きく変化しましたよね。
「インターネットジャイアント」の出現です。
Google やAppleのような規模が100兆円以上のモンスター達が生まれました。
当時多くの人は、インターネットジャイアントが国内大手企業・銀行のサービスを民主化してくれるのではないかと期待していました。
しかし、実際は権力が国内ジャイアントからインターネットジャイアントへ移っただけ。
また、最初は「カッコイイ」ようなイメージがあったインターネットジャイアントにも大きな問題があることに世間が気付きはじめました。
例えば、最近では多くの人がインターネット上のサービスを無料で行えると思っていますよね。
FacebookとかTwitterとか。
「タダ」で使えるから便利なんて思っている人が多いですよね。
しかしもし製品やサービスに対して料金を払っていなければ、あなた(ユーザー)は製品だということを忘れないようにしましょう。
ユーザーが大企業に共有しているデータは売られています。
また最近では、金融取引はもちろんのこと、データ管理・アクセス権など大企業が行う多くのことが公に問題視されるようになりました。
ほとんどの人は「これはしょうがない」とあきらめていますが、これが私たちができるベストでしょうか?
もっといい方法はないでしょうか?
そこで出てきたのが「ブロックチェーン」。
ブロックチェーン技術には、人々が行うインターネット取引を大きく変える力があります。
いわゆるブロックチェーン技術基盤の分散化された「web 3.0」を利用して、現在のインターネットの問題をすべてを解決しようとしています。
分散化システムを使うことにより、大企業のような中央集権化されたユーザーのデータ管理体制が大幅に減少するでしょう。
また、金融取引や健康記録に分散型システムが使われたりするなど、仮想通貨業界が提供できる将来は無限大でしょう。
私たちがこの業界で作ろうとしているのは、すべての業界に応用できるシステム。
これは確実に人々がビジネスの仕方を変化させます。
ーもう少し具体的に分散化システムの普及がどのような影響を及ぼすのか説明してくれますか?
今までは中央集権型だった従来のサービスと同じものが、分散化システムを使用して提供できるようになります。
これが可能となると、大企業が行う一部のサービスをスタートアップが行えるになるんです。
つまり大企業同士の競争が減り、大企業の一部のサービスとブロックチェーン技術基盤のスタートアップが行う小規模のサービスの間で行われる競争が増加するようになるということ。
分散化システムが社会で普及すると、スケール(事業規模)に焦点を当てた規模の経済がなくなるでしょう。
今までなぜ大企業が続々と生まれてきたかというと、ビジネスが拡大するにつれて「スケールする(事業規模を大きくする)」必要があったからですよね。
もちろん従来の仕組みでは、インフラにかかるコストを考慮すると、大企業なような組織を生み出す意味が理解できます。
しかし、もしブロックチェーンでインフラにかかるコストが大幅に抑えることができれば、スタートアップが従来の大企業や銀行が提供するたくさんのサービスの一部を提供することができますね。
例えば、銀行が行うサービスを始めようと思っても、それだけの規模のインフラを整えるにはとてもコストがかかりますよね。
ブロックチェーン技術が発展すれば、スタートアップが銀行の一部のサービスを行うためのインフラを安価で簡単に手に入れることができます。
このようなビジネスモデルを展開するスタートアップが沢山集まり、それぞれがマイクロサービスのように機能すれば、銀行のようなビジネスモデルでは収益を上げられなくなるでしょう。
もし、100以上の小規模でサービスのクオリティが高いスタートアップが、銀行と同じサービスをできるようになれば、銀行の勢力が弱まるのは当たり前ですよね。
例えば、もし「Golem(ゴーレム)」などの使って分散型クラウドサービスが使えるようになったら、Amazonが現在提供するクラウドサービスよりも安く同じサービスが使えるようになります。
これは、今まで主流だったビジネスモデルを変化させるでしょう。
Googleは今でも次の競争相手となる大企業を探していますが、これはちょっと考え方がずれていますね。
ブロックチェーンプロジェクトはGoogle のような市場を独占するような大企業になるために動くべきではありません。
プロジェクトは、「大企業の存在理由がなくなるようなサービス」を展開するべきです。
次の競争相手は大企業ではなく、分散化された「エコシステム」とも言えるでしょう。
ちなみに、Aionは将来のブロックチェーン基盤のインフラに欠けているものを補うようなプロジェクトです。
しかし、Aionはあくまでも将来のインフラを実現されるための一つの貢献でしかありません。
重要な貢献ですがAion以外にも多くのプロジェクトが必須です。
「分散型クラウドコンピューティング」や「デジタルアイデンティティ」などのプラットフォームが将来必然的に必要となります。
なぜなら、これらのようなプロジェクトが集まって、ようやく次世代のインフラが完成するからです。
これは、従来のような企業間での競争とは大きく異なりますね。
プロジェクト同士が協力して、大企業と競争すると言ったほうがいいかもしれません。
ーAionは分散化を強く意識していることもあり、非営利団体ですよね。仮想通貨プロジェクトが行う一般的な資金運営について教えていただけますか?
資金調達をするには大きく分けて二つの方法があります。
1つ目は、トークンやコインをマイニングなしに最初から発行し、その一部をプロジェクトの運営費として確保すること。
イーサリアムやビットコインで募る資本金のほかに、発行総枚数の一部を運営費として使うためにロックアップします。
もしプロジェクトが成功すれば、アセットの価値は必然的に上がります。
例えば、イーサリアムの場合は、イーサリアムブロックチェーンが多くのプロジェクトに使われ普及することでイーサの価値が上がるということです。
そのため、プロジェクトが成功するれば、わざわざ余計に資金調達する必要がありません。
2つ目は、マイニング報酬の一部を徴収し、プロジェクト資金に回すという方法。
Monero(モネロ)、Zcash(ジー・キャッシュ)のモデルがこれに当たります。
もしコミュニティーが一定のキャッシュフローが必要だと思えば、それをサポートするでしょう。
しかし、コミュニティーがそのような方法は一部の人をお金持ちにする仕組みだと思えばこのような方法はなくなるでしょう。
ハードフォークを行って、プロジェクトへマイニングや台帳管理の報酬の一部がプロジェクトに行かないようなアルゴリズムを作り出すと思います。
もちろんこれが可能なのはオープンソースを使用しているからです。
例に出すと、Zcashがマイニング報酬の一部がプロジェクトに奪われないように、Zclassic(ジー・クラシック)が生まれましたよね。
コミュニティーが「プロジェクトにマイニング報酬の20%を渡すのが嫌だ」といって。
この業界では、テクノロジーが向かう方向はコミュニティーが中心です。
しかし、仮想通貨プロジェクトを開始するにあたり、最初の数年は資金が十分あることは必要です。
仮想通貨に関する研究はとても難しくお金がかかります。
しかし、ある程度の時期が過ぎると「プロジェクトはなぜマイニングの一部などの定期的なキャッシュフローが必要なのか?という疑問の声が上がるでしょう。
この点に関しては私はまだ確信が持って、「プロジェクトはこのように資金調達するべきだ」とは断言できません。
ちなみにAionはプロジェクトのためにコインを発行しましたが、それは3年間ロックアップされています。
これらは、毎月一定額がプロジェクトのために使われます。
また、最初に行ったICOの資金もあるので最初の数年の資金は十分にあります。
将来的にはAionの価値があがり、そこから資金を得るといったような流れになります。
また、プロジェクトはICOでは一度しか資金調達することしかできませんが、他にも資金調達方法がないわけではありません。
例えば、オープンソースOSのLinux(リナックス)のケースを考えてみましょう。
Linux財団は、仮想通貨プロジェクトではないのでアセットはありませんよね。
しかし、企業とコラボすることによって資金をもらえたりします。
また、Enterprise Ethereum Allianceも、非営利団体ですが、資金はメンバーシップの登録費から得ています。
これらのように、資金調達方法がICO以外にもあります。
「実はこの業界でとても大きな力を持っているのは投資家」
ー何か投資家へのアドバイスはありますか?
投資しているプロジェクトについてもっと深い知識をつけることがベストです。
今年に入ってから、酔いが冷めるような市場の下落をみんな経験しましたよね。
この業界は常に市場が上向きに進んでいくようなリスクの少ないマーケットではありません。
それに対して、個人ができることはもっと確かな情報を得て、自分が何に投資をしているかをきちんと理解することです。
また、簡単ではなく難しい質問をすること。
例えば、どのようなプロジェクトの方針はどのように決められているのか?
なぜ非営利団体ではなく営利団体なのか?
なぜプロジェクトは一定枚数のコインをキープするのか?
最近はこのような質問に答えられないプロジェクトが増えてきています。
そのため、難しい質問をして、あらかじめ定められた方針に対してプロジェクトにしっかりと責任を負わせる必要があります。
もし、このような質問をちゃんとしないと、プロジェクトは都合のいいように事を進めていくでしょう。
これは個人的な意見ですが、今の市場の様子を伺うと、プロジェクトがしっかりするには、投資家がしっかりするしかありません。
政府や規制機関ではなく、「投資家」です。
もし投資家が、「これとこれとこれをやらなければ、お金やらないよ。」
といった確固たる姿勢をとると、プロジェクトはそれに従うようになります。
もし監督機関や政府が言えば、プロジェクトはただほかの国に拠点を移すだけ。
何も現状を改善することはできません。
この業界が今後発展するためには、投資家の頭がよくなるしかありません。
あまり皆さんや気付いていませんが、実はこの業界でとても大きな力を持っているのは投資家なんですよ…