規制は強化される!?ICOへの金融庁の対応は?
最近、仮想通貨についてのニュースを見ているとICOや金融庁というワードをよく見かけますよね。
新たな資金調達の手段として注目されているICOですが、海外では規制をしている国もあることを知っている人もいるでしょう。
それでは、日本の監督官庁である金融庁はICOに対してどのような対応をとっているのでしょうか。
今回は、ICOに対する金融庁の規制の現状や今後の対応について紹介していきます。ICOに参加してみたいと思っている人もそうでない人も、今回の記事を参考にICOへの理解をさらに深めていきましょう。
では、早速金融庁による規制の現状から見ていきましょう。
金融庁による規制の現状
ICOに対する規制と言っても、現在のところ日本においてICOを直接規制する法律はありませんが、現在ある仮想通貨に関する法律としては「改正資金決済法」があります。
昨年の4月に資金決済法が改正され、この中で企業がトークンとして仮想通貨を発行する場合には、仮想通貨交換業のライセンスが必要となりました。
この仮想通貨交換業には、情報提供の義務や財務規制など様々な規制が適用されています。
さらに金融庁は、昨年10月にICOに関する「ICO詐欺」などに対する注意喚起を行ってきましたが、これらはあくまで注意喚起であり、仮想通貨の取引やICOを規制する動きではなかったようです。
しかし、コインチェックによって大量の仮想通貨が流失した事件など、仮想通貨の様々な問題が表面化してきたことを背景に、金融庁は仮想通貨交換業への登録に関する基準を高くする方針を示しています。
また、新たに「仮想通貨交換業に関する研究会」を今年4月に創設し、制度改正の必要性などについて議論を進めています。
仮想通貨交換業に関する研究会
仮想通貨交換業に関する研究会では、主にICOのあり方を巡って様々な意見がありました。
トークンには本来、購入者が支援した事業の利益分配が行われるはずですが、その裏付けがないトークンを購入させられる詐欺のケースが多発しています。
そのため、この問題を放置すればさらに深刻な事態になりかねず、問題をしっかり認識した上でどのような規制を加えるのか考えるべきだという意見があったようです。
その一方で、ICOは有望なベンチャー企業などが短期間に少ないコストで資金調達を行うのに有効であり、メリットに目を向けた規制を行うべきだと見解も出ていました。
このように、ICOを含めた仮想通貨の諸問題に対応する制度設計を議論しているというのが現在の段階と言えますね。
金融庁による規制の強化
それでも金融庁は、6月に仮想通貨交換業者6社への業務改善命令を出し、今月には仮想通貨交換業者を規制する法律を「改正資金決済法」から「金融商品取引法」へと移行する検討に入るなど、監視の強化や規制の整備を進めています。
また、4月に自主規制団体である「日本仮想通貨事業者協会(JCBA)」が発足し、安全基準やICOについてのルール作りを推進していくとしています。
このように国内のICOへの規制は少しずつではありますが、整備や議論が進められているのではないでしょうか?
では、海外ICOへの規制はどうなっているのでしょうか。
続いては、そちらを見ていきましょう。
海外ICOへの規制は?
コインチェックの事件を機に、金融庁による規制が厳しくなっていることから海外に法人を置いてICOを実施する方法が主流になってきており、多くの投資家は海外の取引所を利用してICOに投資をしていましたね。
しかし、金融庁は、3月に仮想通貨交換業務の登録をしていない海外法人のICOについて、日本国内に居住する日本人のICOへの参加を禁止する方針を示しました。
つまり、これまで行われてきた海外ICOの形を継続することは難しくなったのです。
これにはまだまだ詐欺などの犯罪が横行しているICOから投資家を保護したいという意図があるのはもちろんのこと、国内の仮想通貨市場をさらに整備していきたいという狙いがあるようで、国際的にも課題が山積している仮想通貨において、世界をリードしたいとしているのです。
ただ、ICOを海外で行っている企業のサイトにアクセスできる以上、完全に海外ICOを禁止することは難しいだろうという見解もあります。
海外ICOを完全に禁止することは本当にできるのか注視していく必要がありそうです。
ここまで金融庁による規制の現状を見てきましたが、今後の規制はどうなるのでしょうか。
最後にそちらを見ていきます。
今後の規制はどうなる?
仮想通貨やブロックチェーンの急速な普及を受けて、今年に入り国際的な規制への議論が国際会議でも行われてきました。
3月にアルゼンチンで開かれたG20(20ヶ国財務大臣・中央銀行総裁会議)においても仮想通貨に関するルール作りが議題になりました。
3月の会議においては、仮想通貨は監視の継続をしていく必要があるものの、直ちに具体的な規制はしないという結論に至りました。
そして、今月開かれたG20の会議では、10月までにFATF(マネーロンダリングに関する金融活動作業部会)の基準を明確にし、世界的な枠組みとして定めるとしました。
具体的な規制への取り組みを各国で検討し、統一された規制の方針を示すことが求められています。
その中で日本は、世界的に見ても本人確認やマネーロンダリング対策などの投資家保護を目的とした規制を推進してきました。
そのような日本の仮想通貨規制には定評があり、金融庁は今後も世界に先駆けて投資家保護のシステムを整備することで、業界全体をリードしていきたいとしているのです。
業界整備を目指した規制が、これからも金融庁によって進められていくことでしょう。
まとめ
日本でのICO規制は、世界でも先進的なものである一方、中国のように全面禁止を目指した目指したものでもありません。
むしろICOを含めた仮想通貨に対して肯定的な動きの一環として規制が行われ、現在もより良い在り方を求めて議論が行われているという状態です。
正しいルールや原則を策定し、世界に先駆けた仮想通貨市場を整備したいとしている金融庁によって、今後もさらなる規制が加えられていくことでしょう。
新しい資金調達の方法として注目を集めるICOは、その中でどのように規制され、どのような枠組みによって活用されていくのかますます注目です。