ロシアのマンションが3,000ビットコインで売買できない?

ロシアの地方にある邸宅が、約3000ビットコインで販売されている。しかし、電子通貨が法的にきちんと定義されていないため、ビットコインの処理が複雑になる。

ビットコインで売りに出されるロシアの邸宅

モスクワに本社を置く不動産会社、カリンカ・グループは、先週、「ビットコインを利用して高級住宅を売却した最初の事例」を発表した。

930平方メートルの面積を有する地方の邸宅が、3,000ビットコインの価格で販売されている。邸宅はモスクワの西にあるRublyovo-Uspenskoe高速道路のNikolino村にある。

不動産評価が行われた時点では、3,000ビットコインの金額はわずか482百万ルーブル(約894万円)であったという。しかし、現在は1,200万ドル(13億2,000万円)以上の価値があります。それにもかかわらず、販売価格は2017年8月17日現在、3,000ビットコインのままである。カリンカ・グループの取締役会会長であるEkaterina Rumyantseva(エカテリーナ・ルミャンテスワ)氏は次のように述べている。

「初めて、仮想通貨を利用して不動産を売りたいと考えた。このような取引は、世界の不動産市場にとってまだ目新しいものである。私たちは不動産事業のパイオニアであり新しい未来を開くことができて喜んでいる。」

ビットコインの法律制定が不十分

Rumyantseva(ルミャンテスワ氏)は、ロシアの法律では仮想通貨の分類が法律できちんとなされていないと説明している。そのため、不動産売却でビットコインを利用する際の手続きが複雑になっているというのである。

また、カリンカ・グループは仮想通貨に関する法律の制定を訴え、

「仮想通貨による取引の可能性を慎重に検討している。しかし、ビットコインによる商品販売を規定する法律の枠組みが決まっていないため、顧客は法定通貨で支払うことを余儀なくされている。」

と述べている。

2017年5月、news.Bitcoin.comは、ビットコインを含む電子通貨を電子商品として分類するロシア中央銀行の提案について報告した。

ロシアにおいて3,000ビットコインの邸宅販売において法律が整備されていないことによって問題が発生しているため、ロシアの議員は電子通貨の枠組みを決める法案を作成している。

しかし、法案の制定に関して、仮想通貨をどう定義すべきかという議論が長引いていると伝えられた。

news.Bitcoin.com は先週、ロシアにおいてビットコインを日本に似た”支払い手段”として分類する可能性は低いと報じた。電子通貨は、米国のIRSやSECと同様に、電子債権または財産に分類される可能性が高くなる。

ビットコインが有形資産に分類されている場合、バーター協定の下で売買中に取引することが可能であると、グループは詳述した。

「仮想通貨が現金としてロシアで認められれば、不動産の売却は法定通貨で行われなければならないので、取引は不可能である。」

「Nikolino村の邸宅売却は、おそらく不動産市場における法的慣行の第一例目となるだろう。」

とRumyantseva(ルミャンテスワ氏)は語った。

「仮想通貨による革新的な支払い方法は、既にビジネスにおいて利用されているため、世界中の取引の事例を慎重に研究すること、仮想通貨に関する法律を一早く制定することが必要である。」

と語っている。

ビットコインの法律的な解釈が出る前にその邸宅の購入者が現れたら、3000ビットコイン(約13億2,000万円)に相当するルーブルでの販売をクライアントに求めなければならない。

原典:3000 Bitcoin Mansion for Sale in Russia Hindered by Lack of Regulation

ここまでの内容と考察

日本国内の仮想通貨に関する法律である、「改正資金決済法」が2017年4月に施行されました。この法律では、仮想通貨は、次の3つの性質を持つものを言います。

・不特定のものに対して、代金の支払い等に使用でき、かつ、法定通貨と相互に交換できる
・電子的に記録され、移転できる。
・法定通貨または法定通貨建ての資産(プリペイドカード等)ではない

つまり、仮想通貨が「支払い手段」として認められたのです。世界的にみると、日本の改正資金決済法は先進的な法律制定です。

日本の法律と似た方向性で法律を制定する国も出てくると思います。

ロシアにおいては、仮想通貨が決済手段として認められておらず、不動産の売買がビットコインを利用してできないということでした。しかし、今後ビットコインのさらなる普及に伴って、政府も認めざるを得なくなっていくことが予想されます。

法律の制定が遅れれば、世界的な流れに取り残されていくことになります。

将来的には、ビットコインが通貨として世界中で利用できるようになり、世界中でビットコインを利用した買い物することが当たりまえの世の中になっているかもしれませんね。